「おむすび」患者さんがうなぎを喉に詰まらせた【90回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第90回を紐解いていく。

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90回 患者さんに寄り添う結

栄養士編に入って5回め。栄養士になって4年の結(橋本環奈)が栄養指導に特化した専門チームNSTに参加し、さらに患者さんの栄養面に気を配ろうとします。病院の食事は美味しくないと言われがち。食べない患者さんもいて、でも栄養を採らないと病気が治らない。そこで管理栄養士の力の見せどころです。今回は、結と対立した、気難しい、難病指定の患者さんが、病院食はまずいからと拒否し続け、息子が買ってきたうなぎを喉に詰まらせて、危うく亡くなりかけます。

もともと、嚥下機能が低下していて、だから、病院食が食べられなかったのを、意地になって「まずい」と言い張っていたのですね。担当医がこわいから、家族も症状を相談できずにいて、結は話を聞いて判明しました。担当医・森下(馬場徹)の立場なし。そういう話にするために森下はものすごくいやな感じの人物になっています。筆者は入院経験がないので、病院食のまずさは実感がありませんが、家族の入院で、お医者さんや看護師さんが冷たく感じることはありました。忙しくてひとりひとりを丁寧に見られないのかもしれないですが……。

そんなことを体験した人たちは少ないないのではないかと思うので、病院食を通して、ひとりひとりに向き合うことを描こうとしている「おむすび」を見て、どの病院もそうなっていくといいなと思いました。

それにしてもうなぎ、もったいない。

今日は、管理栄養士編がはじまり、完全復活した(この前の2週間あまり出演されなかった)橋本環奈さんのコメントを紹介します。

日常のささいな幸せを逃がしたくない、こぼしたくないという想いが伝わってくる根本ノンジさんの脚本が、私は大好きで


Q1 前半を振り返り、印象的だったことを教えてください。

米田家のシーンでは有起哉さん(聖人役・北村有起哉)も久美子さん(愛子役・麻生久美子)も里依紗さん(歩役・仲里依紗)も、本当の家族かのように撮影ギリギリまでずっとしゃべってるのが印象的です(笑)。久美子さんはいいお母さんすぎて一緒にいると自分が子供に戻ったような気持ちになる、里依紗さんは本当に楽しい方。有起哉さんは普段明るく、みんなの輪を取り持ってしゃべってくださいます。撮影が忙しくて大変になっても、米田家のみんなの顔を見るとほっとするし、安心感がありますね。

栄養学校編の撮影はあまりに楽しくて、笑いをこらえるのに必死でした。モリモリ(森川学)は小手(伸也)さんご自身のかわいさがすごく出ていたと思います。小手さんは芝居で離れすぎず、近づきすぎない距離感でいるのがお上手で感動的なシーンでも面白さに振り切れる方。モリモリとサッチン(矢吹沙智役・山本舞香)とカスミン(湯上佳純役・平祐奈)と結、J 班 4 人のバランスがすごく良かったと思います。

星河電器の社食メンバーもストーリーを際立たせるのにとても良いメンバーでした。立川さん(三宅弘城)は最初ツンケンしていましたが、実際は三宅さんとずっとサウナの話をしていました(笑)。原口さん役の萩原利久さんは 10 代の頃から一番仲が良い大親友。プライベートでも頻繁に会うので、共演できてめちゃくちゃうれしかったです。原口さんと結がタッグを組んで社食を変えてこうとする部分は、すごくコンビ感が出しやすかったです。


Q2 翔也との結婚、結が母親になったことについて

逆プロポーズは結の人生を変える部分。結と翔也(佐野勇斗)だから、この関係性なったんだと思わせてくれるシーンなので大切に演じたくて、監督の野田さんともよく話し合ってから臨みました。歩ほどではないにしろ、結も自由奔放に好きなことをやれていた中で翔也を気遣えていなかったと気づき、一歩大人になるのが逆プロポーズのシーン。実は段取りの時点ですごく泣いてしまって、感情がたかぶりすぎてやばい!と本番まで少し静かに過ごしていたら、はやちゃん(佐野さん)にいつもと違うと思われていたみたいです(笑)。そんな本番では、翔也の覚悟の目を見てすごくうるっときたのが印象的でした。

翔也と結は夫婦になったからと言って関係性が変わるような 2 人ではないので、糸島の港でカッパと呼んでいた頃から何も変わってないというのを体現したいですね。はやちゃんとは昔から仲がいいですし、彼が翔也そのものなので一緒にいると私も結になれてすごくやりやすいです。忙しいのに誰に対しても礼儀を欠かさず、余裕もあって空気を和ませられるってすごいですよね。いつも「俺は普通だ」と言い切るけれど、ド天然なのを自覚してほしいです(笑)。

母親役は新鮮です。特に 7、8 歳の花を演じる宮崎莉里沙ちゃんとは、以前、姉妹役で共演したことがあるので、今回は親子⁉︎という驚きが(笑)。母らしい立ち回りをしないと親子に見えないんじゃないかと思っていましたが、莉里沙ちゃんが現場で私たちを「ママ」「パパ」と呼んでくれるおかげでやりやすく、本当にありがたいですね。演じる上では「自分より子供優先」ということを念頭に置いて、どんなシーンでも心の中で花を想うようにしています。そうすることで無意識に行動に出ることがあるかもしれないと思っています。


Q3 管理栄養士という新たな夢を持った結について

つわりでしんどい時に「何だったら食べられる?」と寄り添ってくれた西条さん(藤原紀香)のおかげで結は自分もいろんな人の役に立ちたいという考えに至り、管理栄養士を目指します。私は実際に管理栄養士さんにお世話になった経験がないのですが、西条さんのような方がいたら病室にいても閉鎖的じゃなくて本当に心強いだろうなと思いました。

結の心を開いてくれるけれど、土足でズカズカと上がってくる感じではない、西条さんのそのあんばいは紀香さんにしか出せない部分。この人だったら心を許しても大丈夫だと、自然に思わせてくれるのがすごいです。紀香さんとは初共演で圧倒され、結と同じように私も気持ちを明るくしてもらったような感覚です。


Q4 ドラマ後半の見どころについて

今後、結は管理栄養士として患者さんに寄り添っていきます。管理栄養士は患者さんを指導する立場ですが、上から目線ではなく患者さんと同じ目線に立って寄り添うことが大事だと西条さんから学んだので、今までギャルや書道などいろんなことをやってきた結ちゃんだからこその管理栄養士像として説得力を持たせられるように演じていきたいです。

「おむすび」は偉大な何かを成し遂げた人の話ではないけれど誰もが誰かの人生に絶対に作用していて、1 人では生きていけないんだと伝えてくれる作品。結だけがみんなに影響を与えるのではなく、お母さんやお父さん、全員にバックボーンがあって全員が作用し合うところがすごくすてきで、それぞれ世界が枝分かれしつつもひとつの木として繋がっているのが魅力です。日常のささいな幸せを逃がしたくない、こぼしたくないという想いが伝わってくる根本ノンジさんの脚本が、私は大好きで、「すてきだな」と思う言葉もたくさんあるので、どうぞ最後までご覧ください。個性豊かなキャラクターも登場しますのでお楽しみに!

「日常のささいな幸せを逃がしたくない、こぼしたくないという想いが伝わってくる根本ノンジさんの脚本が、私は大好きで、『すてきだな』と思う言葉もたくさんある」という橋本さん。今日も、父の病気の情報をまったく知らなかった息子に「お父さんともっとしっかり話をしてください。家族なんですから」と毅然と言ってました。すてき。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第18週あらすじ}–

「おむすび」第18週あらすじ

第18週 「 おむすび、管理栄養士になる 」 2/3-2/7

結(橋本環奈)は無事、平成26年に管理栄養士の資格を取得し、星河電器社員食堂を退社。大阪の総合病院で働き始める。平成30年、結は管理栄養士として4年目を迎えていた。所属する栄養科の科長の塚本 (濱田マリ)は戦国武将好きで、会話にちょいちょい武将ネタが入ってくる。一方、娘の花(宮崎莉里沙)は8歳になり、翔也(佐野勇斗)はちょくちょくヘアサロンヨネダの手伝いに行く。そんな折、結はひょんなことから自分の担当ではない子どもの患者が気にかかり、塚本科長は結に NST (栄養管理サポートチーム)に入ることを勧める。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト

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