『DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団』は今年のベスト・テンに入賞すべき大傑作だ!

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2006年にTV『THE FROGMAN SHOW』に登場して以来、着実に人気を集めてきたフラッシュ・アニメの秘密結社鷹の爪団シリーズ、ついには劇場用映画にまで進出し、毎回見る側をア然ボー然ガク然(すべて誉め言葉です)とさせるギャグを銀幕に披露し続けています。

しかし、まさかこのようなコラボレーションが実現してしまうとは、一体誰が考えたことでしょう……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.264》

そう、あの鷹の爪団と、バットマンやスーパーマンなど海の向こうのDCヒーローズ“ジャスティス・リーグ”がタッグを組んでしまった『DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団』が、あろうことか、今年のアニメ、いや日本映画を揺さぶりかねないほどの面白さに満ちた一大傑作に仕上がっているのです。

結論から書いてしまうと、これはもう今年のベスト・テンに入るべき素晴らしさ!(私は入れるぞ)

敵も味方もDCキャラが日本上陸!
予算に応じて画面の質まで変わる!?

まずはざっとストーリーを紹介しますと、ある日東京に『バットマン」シリーズでおなじみの悪漢ジョーカーやハーレイ・クイン、ペンギンが来日し、東京でシェアハウスし始めます。

彼らは、世界征服を目論む悪の秘密結社・鷹の爪団から、ある秘密兵器を奪い、何やらよからぬことを企んでいるようなのです。

ジョーカーらの陰謀を察知したスーパーマンらジャスティス・リーグも日本に参上し、鷹の爪団と接触。しかしそこにはバットマンの姿がありません。どうやらバットマンはある理由でジャスティス・リーグを脱退してしまったようなのです。

やがてジョーカーたちの陰謀が露になり、日本は大パニックに! 

さあ、どうするジャスティス・リーグ! そして鷹の爪団!

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とまあ、こんな感じではあるのですが、とにもかくにも一体なぜフラッシュアニメの低予算映画“鷹の爪団”と、11月23日から超大作『ジャスティス・リーグ』も日本公開される(一応、宣伝しときました)DCヒーローたちのコラボが実現したのか? いや、それ以前にいったい誰がこんなありえないことを企画してしまったのか?

こちらのそういった疑問やお悩みなどどこ吹く風で、本作はいつものようにひたすらゆるゆるとアホなギャグを連発していきますが、そこにバットマンやスーパーマンなどが同席していること自体がもう最大のギャグというか、またフラッシュアニメとはいえ、彼らのキャラクターデザインがかなり格好よく描かれているので画面映えもよく、悪い意味でのチープな印象をもたらすことは皆無といってもいいでしょう。

また、毎回作品内に予算がどれだけ残っているかを画面右端のゲージで常に示し続ける“バジェット・ゲージシステム”は本シリーズの大きな特徴でもありますが、これが今回は特に大きなサスペンス(?)として機能します。

なぜなら、DCスーパーヒーローズの映画は予算がかかるから!

常に超大作として作られる続けるDCヒーローたちが、低予算映画の極みたる鷹の爪団とともに行動しつづけたら?

特にそのアクション・シーン。予算があるときはGONZO(2D)や白組(3D)が参加してのハイクオリティ・バトル・アニメが描出されていきますが、いざ予算がなくなったら一体どうなるのかは、見てのお楽しみ!
(しかし、これを見てDCのトップは何を思うのだろうか……?)

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秀逸な声優陣、痛快なパロディ
これぞ見たかったヒーロー讃歌!

それぞれのDCキャラもシンプルながらすこぶる引き立っていて、そこには鈴村健一(スーパーマン)や浪川大輔(フラッシュ)高木渉(サイボーグ)、中井和哉(アクアマン)など声優陣の「洋画の声あててます!」的なケレンミが実に銀幕の大画面にさっそうと映えていることとも無縁ではありません。

バットマン役の山田孝之も実にキャラに合っていて違和感なく、また敵側の安田顕(ジョーカー)や岩田光央(ペンギン)もすこぶる達者、また知英(ハーレイ・クイン)もちょっとたどたどしい日本語が逆に魅力となっていてナイスなのです。

個人的にもっとも燃えて萌えたのは松本梨香のワンダーウーマンで、そのキリリとしたキャラデザと声が見事にマッチしていてうっとりしていたら、実はそれだけで終わらずに、もう後半彼女に関して前代未聞のことが起きてしまい(きっかけはメイクアップ!)、もうこちらはスマホの待ち受け画面にしたくなるほど可愛らしい姿を披露してくれるのでした!(入場者限定ポストカードにワンダーウーマンも入れてほしかった!)

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また鷹の爪団といえば、毎回さまざまなパロディを盛り込むことにも長けていますが、今回も『君の名は。』はもとより『シン・ゴジラ』『シェア・ハウス』などなど、やはりやってくれたか! と快哉を叫びたくなるものばかりで、さらには当世政治事情を反映させながら、あの政治家もこの政治家もさりげなくカモにされている痛快さといったら!

監督だけでなく脚本にキャラクター・デザイン、録音、編集、さらには声の出演まで担う、鷹の爪団シリーズの生みの親でもあるFROGMAN(本名:小野亮)監督ですが、これまで劇場用映画をこつこつと作りあげてきたことが功を奏して、一作ごとに映画的なダイナミズムやカタルシスを描出することに秀でてきているように思えます。
前作『鷹の爪8 吉田くんの×(バッテン)ファイル』もなかなかの快作でしたが、今回はそれ以上の成果を収めています。

このハチャメチャな面白さは、もはや映画賞に値するものでもあり、少なくともこの作品を見た映画マスコミの人間で今年度のベスト・テンにこれを入れない奴はモグリだろう! と、思わず書いているこちらまで暴言吐きたくなるほどエキサイトしてしまうのです。

日本ではなかなかこういったコメディ映画の類と映画賞が結びつかない傾向にありますが、そろそろ真に面白い作品をもっと讃え、それなりの評価を下すべきではないかと強く訴えたいところです。

論より証拠、まずは見てみてください! マジにこれは面白い! 何よりもDCファンも含めて、本当に観たかったヒーローって、実は昨今流行りのトラウマまみれのものではなく、そんなものさえ明るく笑い飛ばしながら基本かっこよくポップに、そしてもちろんダイナミックに悪と対峙するものではないでしょうか。

『DCスーパーヒーローズVS鷹の爪団』は、そんな本当に観たかったヒーローたちが、画面狭しと(実際はほとんど動いてないけど⁉)活躍してくれているのです。

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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