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2020年02月15日

『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ 撃進」レビュー:富野由悠季監督ならではの絶妙の構成で成された見事なる“映画”!

『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ 撃進」レビュー:富野由悠季監督ならではの絶妙の構成で成された見事なる“映画”!



 (C)創通・サンライズ


日本のアニメーション映画にはTVアニメーション・シリーズの総集編というスタイルを採ったものが少なからず存在します。

そもそも今に至る空前の国産アニメーション・ブームを築きあげるきっかけになったのが、1974年から75年にかけて放送された同名TVシリーズ(全26話)を総集編映画としてまとめて1977年に発表するや空前の大ヒットを記録した『宇宙戦艦ヤマト』に他なりません。

最近では2011年のTVアニメーション・シリーズ『魔法少女まどか☆マギカ』(全12話)を2012年に再編集した『劇場版魔法少女まどか☆マギカ[前編]始まりの物語』『同[後編]永遠の物語』の総集編2部作映画として発表され、大ヒットしたのが記憶に新しいところ。その後完全オリジナルとなる続編映画『同[新編]叛逆の物語』(13)も製作されています。またこれらは世界10か国以上でも公開され、好評を博すとともに『[新編]』はアカデミー賞長編アニメーション映画部門の日本代表として出品されました(ノミネートはされず)。

また2017年に放送されたTVアニメ『メイドインアビス』(全13話)も『劇場版総集編メイドインアビス【前編】旅立ちの夜明け』(19)『同【後編】放浪する黄昏』(19)として劇場公開。そして現在、その続きを長編オリジナル映画として描いた『劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明』が大ヒット上映中で、さらにその後を描くTVシリーズの製作も予定されています。

さて、こうした日本におけるTVアニメーションの総集編映画の構築に多大な貢献を果たしたのが富野由悠季監督であることに異を挟む方は少ないのではないでしょうか。

1979年から80年にかけて放映されたTVアニメーション・シリーズ『機動戦士ガンダム』(全43話/俗に“ファースト・ガンダム”とも呼ばれています)の監督であり、それを基に自ら劇場用映画『機動戦士ガンダム』(81)『同Ⅱ 哀・戦士編』(81)『同Ⅲ めぐりあい宇宙(そら)編』(82)の3部作を発表し、これが空前の大ヒットになったことで、今に至るガンダム・ブームが世代を超えて受け継がれてきています。

そして現在、富野監督が久々にガンダム・ワールドに復帰したことでも話題を集めたTVアニメーション・シリーズ『ガンダム Gのレコンギスタ』(14~15/全26話)が、全5部作の劇場用映画『Gのレコンギスタ』として現在鋭意制作中……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街440》

2月21日からその第2作『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ撃進」が2週間限定で劇場上映&配信されます。これぞ既にTVシリーズを見ていた方も必見の、見事なまでの“映画”に成り得ているのでした!
(もっとも全く知識のない方は、2019年に公開&配信された劇場版第1部『Gのレコンギスタ 行け!コア・ファイター』を見ておいたほうが得策でしょう)

宇宙世紀から1000年後の未来を
舞台にした新たな若者たちの戦い


まずTVアニメーション・シリーズ『ガンダム Gのレコンギスタ』はファースト・ガンダムの世界観で宇宙戦争の歴史となり、最終的には人類滅亡寸前にまで追いやられた“宇宙世紀”からおよそ1000年後の未来“リギルト・センチュリー(R.C.)”を舞台に繰り広げられていく作品です。

R.C.1014年、宇宙世紀の惨禍を反省し、人類は技術進歩に自ら制限をかけながら徐々に繁栄していました。

その中で前世紀の遺物でもある軌道エレベータ“キャピタル・タワー”は、宇宙から供給される唯一のエネルギー“フォトン・バッテリー”を地球に搬入する経路として維持されるとともにいつしか神聖視され、タワー周辺の地“キャピタル・テリトリィ”は宇宙からの恵みを感謝しつつ技術の発展などを禁じる世界的宗教“スコード教”の聖地にもなって久しいものがあります。

一方、かつては北米とも呼ばれた大陸の国家アメリアと欧州地域国家ゴンドワンの間で大陸間戦争が始まり、それとともにアメリア側はスコード教が禁じる宇宙世紀時代の技術を蘇らせようとし、その一環としてキャピタル・タワーを我が物にしようと画策。

これに対し、キャピタル・テリトリィは自衛組織“キャピタル・ガード”を結成し、さらにはそこから対外対抗組織“キャピタル・アーミィ”が派生していきます。

そして本作の主人公は、キャピタル・ガードの養成学校に通う候補生ベルリ・ゼナム(声/石井マーク)。

敬虔なスコード教徒でキャピタル・タワーの運行長官ウィルミット・ゼナム(声/田中敦子)を母にする彼は、突如宇宙から降下してきたモビルスーツ“G-セルフ”と、中に乗っていた記憶喪失の少女ラライヤ・マンディ(声/福井裕佳梨)をめぐってアメリア軍の秘密独立部隊“海賊部隊”とキャピタルの諍いに巻き込まれたことを機に、やがて衝撃の真実を知らされていくのでした……。

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