「お父さんのラーメン、食べておけばよかったな…」映画『ゆらり』内山理名インタビュー

11月4日(土)より公開の映画『ゆらり』は、舞台、映画、ドラマなどで話題作を多数執筆している脚本家の西条みつとしが自身が主宰する劇団TAIYO MAGIC FILMで上演し、好評を得た舞台作品の映画化。

民宿の「赤木箱」を舞台に世代をまたいで3つの家族の愛を描いた今作で、シングルマザーという役どころの泉ゆかりを演じた内山理名さんにお話を伺いました。

ゆらり サブ2

──まず脚本を読んだときに、どのような感想を持ちましたか?

内山理名(以下、内山):時間軸がいくつかあるので、年代や名前を確認しながら何度も読みました。でも、読み終わったときには、「あぁ、なんて素敵な脚本なんだろう」と感動でした。早く、この世界観の中に入りたいなという思いでした。

──たくさんの作品に出演されている内山さんですが、今回の撮影で初めて経験したことはありますか?

内山:こういうファンタジー要素のある作品への出演はあまりなかったんです。作中では、現実にはないだろうな、というあるアイテムが出てくるのですが、そういうものにどうやって感情が入るんだろう、というのをこの作品に出演して初めて経験しました。

でも、親子というテーマが一本通っていたので、過去・未来・現在が交差していくなかで筋が通っていて、時代を経ても変わらないものを描いているんだなと思いました。

もともと舞台作品だったということは特に意識せずに演じたのですが、そういうファンタジー要素は舞台的な発想なのかもしれないですね。

逆に、原作の舞台と映画化の両方に出られていた方は「映画ってこうやって撮るんですね!」というお話もされていたので、舞台ではどういう感じだったんだろう、と気にはなりました。舞台だと、セットが変わっていなくても、ここが未来だと言えば、未来になってしまうものですから。

──でも、最後の最後までファンタジー要素がある作品っていうのがわからないですよね。

内山:ヒューマンファンタジー作品と言われても、「どこがファンタジーなの?」って思うかもしれないですね。でも、いつのまにかファンタジーの世界に入っている、というところも、この作品の面白さのひとつ。本当に自然なので、先入観なくヒューマンドラマとして観ることできるところがすごいなと思いました。

──内山さんが演じたゆかりは、幼少期も含めるとすごく長い時間劇中に登場している存在だと思うのですが、意外とどんな人なのか、ということは描かれていないと思います。役作りにおいてはどのように捉えて演じられたのですか?

内山:監督と常にセッションしながら進んでいきました。幼少期のシーンもありますが、そこはまた年代が違うので、シングルマザーとして頑張っているゆかりというところに重点を置いて、他の時代で筧礼ちゃんが演じている幼少期のゆかりについては、特には意識しませんでした。

ゆかりがどういう人、というよりも、親子という関係において、どういうお母さんでいようかという点、子どもに対しての思いを大切に演じました。子どものことが大好きで、大事だからこそ、思いが溢れてしまったりとか、自分でどうしたらいいかわからない、っていう感情が伝わるように演じました。

──では、横尾初喜監督から、演じるうえでのリクエストはあったんでしょうか。

内山:シーンごとに、シチュエーションの大事なポイントっていうのは常に話してました。このシーンで何を撮りたいか、というのをすごく大事にしていて伝えてくださる方です。

こう演じて、と何か言うというよりは、まず、青空(そら)役の高橋幸聖(さんた)くんと2人でやってみて、という感じで、信頼して委ねてくださっていたように思います。

あとは、嘘っぽくはしたくない、という感じで、ドキュメンタリーのようなイメージでした。例えば、病気といっても、突然倒れる、みたいなわざとらしさのない感じで。すべて自然にやっていきたいという感じでしたね。

そういう部分が不自然だと、一気に冷めちゃうと思うんですよね。バランスが難しい。だからこそ、監督も役者から出るものを拾ってくださるというか。だから私も、いいものが出るまで粘って、感情をすごく大事に演じました。

ゆらり サブ10

 

──素直に謝ることができない息子にうまく促すシーンなどもあって、子どもとの関わりかたも上手な、いいお母さんとして描かれていたので、感情を爆発させるシーンはやはり印象的でした。

内山:母になってひとつひとつ子供から教わる、という話をよく聞きますし、多分、完璧なお母さんなんていないんですよね。私自身、どうしたらいいかわからなくて感情が爆発してしまう、ということはわからなくはないです。

しかもゆかりは、やり残したことも伝えたいこともあるのに、病気で死んでしまうかもしれないという不安があるわけですから、想像できないくらいの不安だと思うんですね。そういう時って、身近な人に当たってしまうこともあると思うので。

やっぱり、いいお母さんでいたい、と思うからこそ、そうなってしまうんじゃないかな。お父さんの代わりにもならなきゃっていう部分もあると思いますし。

──そんなときに、別れた旦那さんが息子の面倒を見てくれる、というのも複雑な気持ちですよね。

内山:その2人が仲よくしてる姿を見てると複雑ですよね。みんな悪くないし、想い合っているんだけど、その形がちょっとずれるだけで、うまくいかなくなってしまうこともある。

──ちなみに内山さんご自身には、ご両親との印象的な思い出はありますか?

内山:難しい質問ですね(笑)。でも、この物語と同じというわけではないですが、私は父が亡くなってから、父のことを知ることが多くて、すごく会いたいなって思った期間があったんです。

会って話したいなとか、お父さんのラーメン、食べておけばよかったなって。よくお父さんがラーメンを作ってたんですけど、私はラーメンがそんなに好きじゃなかったから、それを食べたことがなくて。今になって、あれって何が入っていたんだろう、とか。小さいことなんですけど、なんかそういうことが忘れられないな、って思いますね。

──最後に、本作の見どころをお願いします。

内山:大切な人に思いを伝えたくなるような作品なので、ファンタジーだとかヒューマンドラマというカテゴリーを意識せず、フラットな気持ちで見ていただけたらと思います。自信を持って、どんな世代にも響く作品としておすすめします!

映画『ゆらり』は11月4日(土)より、池袋シネマ・ロサにて公開(全国順次)です。

ゆらり ポスター

【公開情報】
出演:岡野真也、内山理名 、戸次重幸、萩原みのり、山中崇、遠藤久美子
平山浩行、渡辺いっけい、鶴田真由
監督:横尾初喜
原作/脚本:西条みつとし(TAIYO MAGIC FILM)

(撮影:結城さやか、ヘアメイク:サカノマリエ(allure)、スタイリスト:加藤暢子、取材・文:大谷和美)
<衣裳協力> ジュエリー:スティーブン デュエック神宮前本店(03-3499-4228)

(C)2017映画「ゆらり」製作委員会

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    ライタープロフィール

    大谷和美

    大谷和美

    高校2年の時に観た「バトルロワイアルⅡ」に衝撃を受け、映画の道を志すも、縁あって雑誌編集者に。特撮誌、若手俳優グラビア誌等の編集・ライター、WEB編集者を経て、現在はフリーランスで活動中。人間の感情や社会の闇を描いた邦画が好きで、気づけばR指定のDVDばかり借りていることも。一方、元々好きだったライダー・戦隊などの特撮作品やコメディ映画も好んで観ます。他、元上司のバカタール加藤が主催するニコ生番組「崖の上の生放送」に準レギュラーで出演中。

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