映画コラム

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2015年08月07日

阿南の葛藤を多くの人に届けたい...「日本のいちばん長い日」原田眞人監督単独インタビュー

阿南の葛藤を多くの人に届けたい...「日本のいちばん長い日」原田眞人監督単独インタビュー



昭和天皇をきちんと描いた作品



―― と言いますと?

原田監督「昭和天皇は幼少期、冬になると3~4ヶ月、沼津御用邸で過ごしました。近くにある徳倉山(通称;象山)には毎週のように登ったそうです。僕は沼津の出身で、象山にはよく遠足で行きました。昭和天皇の歩いた道を歩いた、その辺りから始まった親近感なのですが、同時に、昭和天皇の聖断のおかげで、父が救われたという思いもあります。

1945年当時、19歳だった父は、鹿児島の知覧(特攻隊の飛行基地)で塹壕掘りをしていたそうです。本土決戦になっていれば連合軍は九州に上陸する予定だったので、父は殺されていたでしょう。」

―― 昭和天皇の聖断がなかったら、監督は存在しなかったと思うと感慨深いです。それはそうと、「昭和天皇」役としてセリフや演技があった作品というのは確かにありませんね。シルエットや声だけというのはありますが。

原田監督「ロシア映画『太陽(アレクサンドル・ソクーロフ監督)』では、イッセー尾形さんが主役の昭和天皇を戯画化して演じていましたね。晩年のくせであった口の動きとか、「あ、そう」を連発して。これにはかなり違和感がありました。日本映画で、昭和天皇を主役のひとりとして描くのは今回が初めてですね。初めて、昭和天皇を正当に描いた作品だと思っています。」

―― その点でも非常に画期的な映画だと思いました。ご多忙の中、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

原田監督「ありがとうございました。」

日本のいちばん長い日



(インタビュー終了)

登場人物の葛藤を、劇場で体感しよう



公開直前のお時間のない中、真摯にインタビューに答えて下さった原田監督。ブレのない一言一言に、『日本のいちばん長い日』という映画を作った覚悟と強い思いを感じることができました。

監督が何度も仰られていた『アンビバレンス』という言葉。皆さんもぜひ、アンビバレンスを感じながら、劇場で登場人物の心境に浸っていただけたら嬉しいです。

映画『日本のいちばん長い日』は、2015年8月8日より全国公開です。

(取材: 大場ミミコ)



(C)2015「日本のいちばん長い日」製作委員会

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