映画コラム
紀里谷和明監督、独占インタビュー「スタートラインに立たせてもらった」
紀里谷和明監督、独占インタビュー「スタートラインに立たせてもらった」
―キャスティングはどういった基準で選ばれたのですか?
単純に好きな役者ばかりを選んだという感じですね。すごくシンプルな発想で、主役は最初からクライヴ・オーウェンだと決めていて「やってほしい」と言い続けていた。モーガン・フリーマンにしても、受けてもらえるかどうかは分からないけど、あの役は彼しかいないと思っていました。
―伊原剛志さんも出演していますが、素人考えで「日本人監督だと、ついつい日本人をフューチャーしようとか考えるのかな?」と思っていたんです。けれど、全然そんなことなくて、人種も肌の色も全く関係ない世界がそこにありましたね。
その通りですね。ミスキャストはないですよ。全員確実にハマっていたと、100%のキャスティングだと思っています。
観終わったあとに、見つめてほしい。
―今回はマイナス20度の極寒の地でも撮影されたとのことですが、どうしてそんな過酷な撮影をされたのですか?
役者にとって、グリーンスクリーンでの撮影※というのは、ストレスが大きいんですよね。実際に生身で感じられるところにいたら、それをしっかりと演技で返してくれる生き物が役者だと思っているんです。だから、そういう環境が欲しかったんですよね。今回は、それができるだけの予算をいただいたので、できました。
※CGで作られた映像を背景として使う際、CGと差し替えやすくするために、緑色の布の前で役者に演技をさせ撮影する手法。
―つまり、監督にとっては悲願だという感じでしょうか?
スタートラインに立たせてもらったという感じでしょうか。欲しいツールが全部揃って、ようやくここからがスタートラインです。
―今後の展望をお聞かせください。
3部作が終わって、ここから先はもっともっと内面を掘り下げていく作品になると思います。派手なものはもっと排除されていく。
―内面を掘り下げるというと、どういうことでしょうか?
自分の心のなかに入っていくということですね。人って世界を探求するんですよね。しかし、外側は探求するけど、どこまでもいっても何も見つからない、そうじゃなくて、内面を探求していかないといけないんだという話を次にやります。今までとは全然違うものになりますよ。
―最後にこれから『ラスト・ナイツ』を観るひとたちへメッセージをお願いいたします。
とにかくシンプルに観ていただきたい。映画って劇場を出た後、どう感じてもらえるのかしか無いと思うんです。次の日に少しだけ社会へとの向き合い方に“勇気”が出るようなものになれればいいなって思ってます。この世の中って、個人対社会の向き合い方でしかなくて、3部作では、そこをずっと問いかけているだけなんです。
―そこを感じ取っていただけたらということでしょうか?
観終わったあとに、もうちょっとだけ、自分自身を見つめてほしいということですね。
映画『ラスト・ナイツ』は11月14日より公開!
映画『ラスト・ナイツ』は、『ミリオンダラー・ベイビー』などで知られる名優モーガン・フリーマンと『シン・シティ』のクライヴ・オーウェンを主演に迎え、紀里谷和明監督が5年の歳月をかけ完成させた意欲作。
戦士の時代が終わりを迎え、よこしまな政治が栄誉に取って変わろうとしていた封建的な帝国で、忠誠を誓った主君の不当な死に報いるために、気高い騎士たちが立ち上がる―
映画『ラスト・ナイツ』は2015年11月14日(土)よりTOHOシネマズスカラ座ほかにて全国ロードショー。
(C)Luka Productions
(取材・文/黒宮丈治)
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