ハリウッドに捧げるオマージュ―映画愛に満ちた映画『ヘイル、シーザー!』

ヘイル、シーザー!



現在絶賛公開中の、アカデミー賞受賞監督のコーエン兄弟にとって集大成ともいえる最新作『ヘイル、シーザー!』。

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ハリウッドの黄金期である1950年代の撮影スタジオを舞台とした本作には、往年の名優ジーン・ケリーを髣髴とさせるミュージカル・シーンや、当時の人気女優エスター・ウィリアムズをオマージュしたかのような水中ショー、厳格なスタジオ・システムなど、50年代当時の映画業界の要素がふんだんに盛り込まれている。それはコーエン兄弟の、夢が生み出されるハリウッドという場所に対する大きな愛の表れだろう。

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彼らは本作を振り返り「この『ヘイル、シーザー!』は昔の映画に対する愛から生まれたんだ。この話を映画化する魅力のひとつは、過去の作品から少しずつサンプルを取ることができることで、この映画を撮る楽しみのひとつだったね」と、制作理由と撮影で得た喜びを語る。そして本作が映画愛に満ちた作品だとも明言。

「自分たちが生きていた時代ではないからノスタルジックになることはないけれど、この作品は意図的に1950年代のハリウッドを美化して描いたものなんだ。当時のスタジオは“映画の製作工場”や“映画を製作する機械”といった考えがあったけれども、美しくデザインされた映画というものを作っていたということで愛情と称賛という要素はあるね。当時の映画製作に対して、とても愛おしさを感じる描き方になっているんだ」

彼らの発言からは、ハリウッド黄金期を描いた本作は、コーエン兄弟からハリウッド映画へ送られたラブレターであることがわかる。

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コーエン兄弟の元、豪華オールスターが集結した本作だが、コーエン兄弟作品4度目の出演となったジョージ・クルーニーは「コーエン兄弟は皮肉った部分もあるけれど愛情をこめて当時を描いていて、例えばチャニングのダンスシーンをみればわかると思うけれど、盛大な拍手があがるんだよ。それはコーエン兄弟がこういう映画を愛しているからなんだ。彼らは映画を愛している。だから1つの作品でこれらの異なるジャンルの映画を全て撮ることができたんだ」と、これまでの出演作品と比べても特別だったと振り返っている。

本作が映画に対する愛に満ちていることは、他のキャスト陣のコメントからも伺える。

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ジーン・ケリーのような見事なタップダンスを披露したチャニング・テイタムが「この映画がどこを取ってもエンターテイメントに満ちている点だ。これは映画という芸術形式を称える映画だ」と語れば、映画監督を演じたレイフ・ファインズは「階層制、虚栄心、そして不安や孤独。成功の夢や失敗の悲しみを描いている。いかにして人間の脆さがむき出しになり、映画や劇場の世界で誇張されていくかを描いているんだ」と、映画に関わる人びとの栄光や悲哀が愛を持って表現されていることに言及。

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そして双子の記者を1人2役で演じたティルダ・スウィントンは「映画は今も人々を夢中にさせ続けているわ。幸運にもこの業界で働くことができた人々さえもね。映画には決して変わらない何かがある。当時の人びとにも夢が必要だったし、それは今も変わらないわ」と、コーエン兄弟の想いを代弁するかのように、昔も今も人々の夢であり続ける映画そのものの魅力を語っている。

映画『ヘイル、シーザー!』は、全国公開中。



(C)Universal Pictures

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