映画コラム

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2016年06月17日

父と娘がかわいくて萌え死ぬ、父の日オススメ映画

父と娘がかわいくて萌え死ぬ、父の日オススメ映画

6月19日(日)は父の日ですね。
ストリーミングで観られる映画を毎週紹介する“金曜映画ナビ”にて、今回は父の日にぴったりの映画『父と暮せば』を紹介します。


父と暮せば 通常版 [DVD]



『父と暮せば』の物語は、原爆によって亡くなった父が、幻となって娘の前に現れるというもの。井上ひさしによる戯曲を原作としており、2015年にはその意思を受け継ぐ映画『母と暮せば』も公開されました。

本作の特徴を端的に言えば、原爆による生き残った女性の”後ろめたさ”が描かれているということ。そして、父と娘がとにかくかわいらしくて、萌えるということでした。

1. 娘(宮沢りえ)がかわいい!


本作の娘を演じるのは宮沢りえ。『紙の月』での熱演も記憶に新しいですが、本作ではどこにでもいるような、“ふつう”の女性を演じられています。

なにがかわいいかって、父に恋の話を切り出され「そんなんじゃないです!」と反論しまくること。でも、どう見たって娘はその話に出てくる男の人に惹かれているし、男の人も娘のことが好き。両思いであることがミエミエなんです。

それだけで萌えるのですが、中でも宮沢りえが子どもに聞かせるお話の練習をするシーンはたまらんものがあります。お話に出てくるおじいさんとおばあさんの声真似が愛嬌たっぷり、そのときに使ううちわのお面のイラストがこれまたかわいいんだ。

そのかわいいイラストの後ろで、宮沢りえのくったくない笑顔が見えるんだから……宮沢りえのファンは、これだけでも観て欲しいです。

2. 父(原田芳雄)はもっとかわいい!


父を演じるのは日本映画には欠かせない名優の原田芳雄。重圧な役を演じられることも多いのですが、今回はかわいくてたまらない人物になっています。

なにがかわいいかって、その“おせっかい”です。父は娘を思いっきりかわいがり、出会った男の人と仲良くしてほしいあまり、あの手この手を尽くそうとするのです。

男の人にあげる“じゃこ味噌”を一生懸命作ったり、家に来ると思えば「あの男は熱い風呂が好きかな、それともぬるいのか」と聞いたり、そのほかにもいろいろと娘の恋が成就するための準備をします。しかも自分自身を“恋の応援団長”と呼んだりするんです。

そんなわけで、そのおせっかいっぷりが娘からは少々ウザがられます(笑)。
でも、これこそ親の愛情ですよね。父にとって、娘の幸せが第一優先。それは当然のことです。

3.広島弁もかわいい!


本作は登場人物がほぼ3人のみ、舞台もほぼ1ヵ所、しかもほぼ会話のみで展開するというやや特殊な作風になっています。
それなのにまったく飽きないのは、この父と娘のやりとりがとにかくかわいらしく、ときにスリリングであること。そして広島弁の独特の響きに魅了されるおかげもあるのではないでしょうか。

たとえば「そうじゃ(そうです)」「いけんのう(いけないなあ)」「ちょっきり(ちょっぴり)」「ありがとありました(ありがとうございました)」「おとったん(お父さん)」などなど……“方言萌え”をしている人にもたまらんでしょう。

個人的にいちばん印象に残ったのは、“じゃんけん”を“ちゃんぽんげ”と言うことでした。
しかもこの“ちゃんぽんげ”は作中で重要な意味を持つようにもなっています。ぜひ、観て確認してみてください。

4,生きていて後ろめたい、だけど……


娘は“みんなが原爆で亡くなったのに、自分だけが生きていること”に罪悪感を覚えています。本作は戦争の爪あとに苦しむ人物を描く、 “反戦”のメッセージを掲げているといっていいでしょう。

父はそんな娘を心配してあの手でこの手で、前向きに生きてほしい、男の人といっしょになってほしいと訴えるのですが……娘も頑固で、なかなか考えを変えません。
ついには、父は娘に“後ろめとうて申しわけない病”という病名までつけるほどです(この病名をつけるところもかわいいなあ)。

だけど、娘がこう思ったのにしっかり理由があるのです。
それが明かされたときの気持ちは「わかるなあ」かもしれませんし、「理解できないなあ」かもしれません。

でも、やはり父が願うように、“生き残った人(娘)が幸せになってほしい”ということは多くの人が共通に持つ感情なのではないでしょうか。
父からの娘への愛情に絡めて、いま一度その感情を思い起こしてくれることに、本作の確かな意義を感じました。

それは平和になった世の中でも、多くの人が持っている大切な感情です。
この映画を観たあとは、父、または娘を大切にしたいと思うことができるはず。まさに父の日にうってつけというわけです。

5.『母と暮せば』と比べてみてもおもしろい!


『母と暮せば』では、『父と暮せば』から人物の配置が変更されています。
“幻”として現れるのは父から息子へ、幻と会話をするのは娘から母へと、ちょうど親子が入れ替わっている形ですね。

ふたつの映画で共通しているのは、その親子の関係をかわいらしく、かけがえのないのないものとして描いていること。そして、“自分が生きていること”に罪悪感を覚えている人物がいることです。

どちらの映画でも、戦争による爪あとはいたるところにあり、それはなくならないことを告げる一方で、“あなたは幸せになっていいんだよ”と優しいメッセージを贈っている作品です。
戦争を知っている方はもちろん、戦争のことを知らない若い世代にも…どちらの映画も観てほしいです。

ちなみに、配役がまったく異なるように思える『母と暮せば』と『父と暮せば』ですが、じつはひとりだけ共通して登場している俳優がいます。それが誰かは……こちらも観て確認してみてください。

[この作品を今すぐ観られるサービスはこちら](2016年6月17日現在配信中)
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父と暮せば| 2004年 | 日本 | 100分 | (C)2004「父と暮せば」パートナーズ | 監督:黒木和雄 | 宮沢りえ/原田芳雄/浅野忠信 |

(文:ヒナタカ

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