映画コラム

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2017年03月04日

『雪女』監督&主演・杉野希妃インタビュー、どんなキラキラ映画よりもキラキラと、美しくも哀しく輝く雪女の愛と絆

『雪女』監督&主演・杉野希妃インタビュー、どんなキラキラ映画よりもキラキラと、美しくも哀しく輝く雪女の愛と絆

■「キネマニア共和国」

雪女 ポスター


(C)Snow Woman Film Partners


怪談でおなじみ雪女の物語を知らない人は昔も今もほとんどいないだろうとは思われますが、その雪女を、これまでどの映画やドラマ、アニメなどでもお目にかかったことのない、斬新かつクラシカル、そして21世紀ならではの解釈で描いた、単にダーク・ファンタジーの一言ではすまされない映画愛を湛えた秀作『雪女』が、3月4日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、シネマ・ジャック&ベティほか全国で順次公開されます。

監督&主演を務めたのは杉野希妃さん。2005年に韓国映画『まぶしい一日』で映画女優としてデビューして以降、一貫して国境を越えた活動を果敢に行い、現在も日仏合作『海の底からモナムール』(ロナン・ジル監督)、ブルガリア映画『ユキとの写真(仮)』(ラチェザー・アブラモフ監督)が公開待機中。

本作でも、彼女でなくては醸し出せない雪女の美しくも哀しいサガを見事に体現しています。

一方で『歓待』(10)『おだやかな日常』(12)などプロデュース業に進出し、2014年には『マンガ肉と僕』で監督デビュー。本作は『欲動』(14)に続く監督第3作となりますが、その不可思議かつ幻惑的な映画の世界観や魅力などを少しでもお伝えしたいがため……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.210》

杉野希妃さんに取材してきました!



ワールドワイドな要素を持つ小泉八雲の世界


──杉野希妃監督の最新作『雪女』非常に面白く拝見させていただきました。原作の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が記した「怪談」に出てくる雪女は、これまで小林正樹監督の『怪談』(64)でアーティスティックに、田中徳三監督の『怪談雪女郎』(68)では哀しき怪談映画風に描かれていましたが、今回はどちらにも属さない杉野監督ならではの不可思議な世界観が確立されていました。

杉野 ありがとうございます。

── 実は杉野監督が小泉八雲の原作を基に『雪女』を映画化すると聞いたとき、ピンとくるものがあったのです。

杉野 それはどういったところからですか?

── 芸術家の岡本太郎が1950年代にヨーロッパに留学しているとき、フランスで小泉八雲が大流行していたのだそうです。そういった下地があってこそ、『怪談』はカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。つまり、小泉八雲の世界は非常にワールドワイドなものであり、その意味でも国際的映画活動を意欲的に続けてらっしゃる杉野さんが監督するのにふさわしい題材ではないかと。

杉野 ああ、そういっていただけるとすごく嬉しいです。

── ただ雪女の物語自体は非常にシンプルなものですから、それをどう解釈しながら長編映画にするのか、非常に興味があったのですが、作品を拝見してものすごく合点がいきました。

杉野 実は今回の映画、見る方によって全然感想が異なるとでも言いますか、「結構原作に忠実でしたね」という方もいらっしゃれば「すごく新しい映画でした!」とおっしゃる方もいて、もう全然違うんです。 原作の解釈からして千差万別ですから、ご感想を聞くことで、その人自身が透けて見えてくるなぁとも思います。

── おそらく日本人がみな慣れ親しんできたお話ですから、それぞれ雪女に対して持つ確固としたイメージがあるのでしょうね。その意味では海外での評価も俄然楽しみになってきます。

杉野 もともとニューヨークへ行ったとき、現地在住のプロデューサーの方が小泉八雲のエッセイ・フィルムを撮られるということで、そこで彼の素晴らしさを教えていただいているうちに「希妃さん、雪女やってみたら?」と(笑)。そのとき私は小泉八雲という名前は知っているし、「怪談」も子どもの頃に読んだことはあるけど、大人になってからちゃんと読み返したことはないなと思って、それで帰国後さっそく読んでみたところ、改めてすごいなと思ったんです。今から100年以上も前にギリシャ出身の方が日本にやってきて、日本の心みたいなものを的確に描いていらっしゃる。それこそ現代人が忘れているものがたくさん詰まっていて、これは今やってみる意味があると思って、映画化を進めていくことになりました。

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