2017年を締める男・二宮和也こと“ニノ”の俳優としてのこれまでを振り返ってみる



もう今年も数日を残すばかり。年末といえばお馴染みのNHK紅白歌合戦。引退宣言をした安室奈美恵や、桑田佳祐の特別出演も決まり話題性も高まって参りました。そんな今年の紅白の白組司会をするのが嵐の二宮和也。昨年の司会者が同じ嵐の相葉雅紀でしたから嵐から嵐への年末大一番のバトンつなぎというところでしょう。

俳優としての二宮和也を改めて考える






(C)2017 映画「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎



そんな二宮和也が二年ぶりに主演した映画が『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』です。
そこで改めて俳優、特に映画俳優としての“ニノ”の独特な立ち位置を再確認してみたいと思います。
  

“受け身の主役”巨匠に愛される男


嵐全員で出た作品やゲスト扱いの作品を除いた主演級作品をみると、その監督陣の豪華さに驚かされます。

『硫黄島からの手紙』のクリント・イーストウッド監督はちょっと別格すぎて素直にカウントしていいかどうか悩んでしまいますが、出演自体はオーディションで勝ち取ったうえに、“ニノ”の演技を見たイーストウッドが彼の役について脚本を調整したというエピソードもあります。この演技で“世界に知られていない日本の七人の演技派”に選ばれました。
Japanese actors who can actually act | CNN Travel

そもそも初の単独主演作『青の炎』は演劇界の巨星・故蜷川幸雄がメガホンを取りました。また、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞とキネマ旬報ベスト・テン主演男優賞とW受賞した『母と暮らせば』の監督は松竹が日本映画界に誇るレジェンド・山田洋二監督です。

他にも『GANTZ』二部作は佐藤信介監督(『図書館戦争』シリーズ)、『プラチナデータ』は大友啓史監督(『るろうに剣心』シリーズ)といったヒットメーカーとがっちり組んでいます。嵐全員で出ている映画の監督でも堤幸彦監督や犬童一心監督が名前を連ねています。

次回作として待機中の『検察側の罪人』も『駆け込み女と駆け出し男』『日本の一番長い日』原田眞人監督作品です。ちなみにテレビドラマでは超大物倉本聰(そうちゃんと呼んだそうです)や宮藤官九郎、三谷幸喜とも組んでいます。

受け身の主役“ニノ”


“ニノ”の主演級作品の彼を見ると、そこにいるのは物語のけん引役、視点役、語り部役のように見えますが、結果として物語の結末を最後に受け止めるというキャラクターが多いことに気が付きます。

『青の炎』『硫黄島からの手紙』といった文芸路線作品でも『大奥』『GANTZ』のようなエンターテインメント作品でも、彼の役どころの立ち位置だけをみると、直面する“現実という名の大きなうねり”を受けてそれに対して必死に抗おうとするキャラクターであることがわかります。家族の問題から戦争まで“直面する現実”の規模に大きな差がありますがキャラクターの立ち位置だけ見ると同じ位置に立っていると言えます。

『プラチナデータ』そして公開中の『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』ではいわば探偵役に回っているのですが、真相を知るのは事に関わる人々の中では最後の人間です。

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どちらもミステリーなので詳しいネタバレは避けますが、ミステリーといえば当然犯人なり謎を残した人なりがまずいます。この人たちが (もちろん事を起こした張本人なので当然ですが)真相の一番近くにいるのは当たり前ですが、事を巡る人々の中で“ニノ”演じる探偵役より先に真相を知る人たちがたくさん出てきます。

特に『プラチナデータ』『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』は、それぞれもう一人の主人公として豊川悦司、西島秀俊という抜群の演技派が登場します。この二人の演じる役が“熱量が高く、まず行動を起こす”というキャラクターであることもあって“ニノ”の受け身ぶりがより際立って見えるかと思います。

『大奥』に主演した際のインタビューで“ニノ”本人が「芝居のうまい人はいくらでもいる。監督や共演者、作品全体のパワーバランスがきれいな形を描くように、自分がアクセントになれたら。そのためにもアイドルでいた方がいいし、いたいと思う」と語っています。自身の立つべき場所が物語全てを受け止める場ではないということを意識していることがわかりますね。

唯一のけん引役『母と暮らせば』


そんな中でちょっと特異な立ち位置に立っている作品が『母と暮らせば』です。言ってみれば“トリックスター”ともいえる役どころで、物語をいい意味でかき回します。

オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」



そもそも彼自身の役が長崎に投下された原爆によって、3年前に命を落としている青年の幽霊という現世の人間とは別次元の存在なので、自然と今を生きる人間たちに大きな影響を与えて、振り回す立ち位置になるのはわかります。

とは言いいつも、なんといっても『母と暮らせば』で“ニノ”が振り回す相手が“あの大女優”吉永小百合というところが注目です。受け手に回った吉永小百合の実力については言わずもがなですが、その吉永小百合をちゃんと振り回せている二宮和也という俳優の凄さを感じます。

物語をけん引する側に回ろうと思えばちゃんと回ることができる。回ってみれば、相手がどれだけ大きな存在であってもちゃんと引っ張っていくことができる。いろいろ意見もあるかとも思いますが、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞受賞に充分値する演技だったと思います。

次回作は何と!


次回作は『犯人に告ぐ』などで知られる雫井脩介のベストセラーが原作の『検察側の罪人』で監督は先述の原田眞人監督です。そしてこの作品で対峙する相手は何と木村拓哉!

映画がある程度原作通りだとすれば、“ニノ”演じる若手検事・沖野は物語の前半は受け身の役どころで、物語が進むにつれて周りを振り回すような立ち位置になっていきます。となると今までの作品と『母と暮らせば』の時のハイブリッドのような役を演じる姿が見ることができるかもしれません。

終わってみれば今年の嵐もすごかった



紅白のこともありましてニノのことを重めに書いてきましたが、今年は他の嵐メンバーも個人、特に俳優としての活動が活発でした。

リーダーの大野智は久々の映画主演となった『忍びの国』で抜群の身体能力の高さと、飄々としたキャラクターが見事にはまり、夏映画の邦画の主役の一本となりました。共演者も石原さとみ、伊勢谷友介、そして来年の大河ドラマ『西郷どん』で主演する鈴木亮平と実に豪華でした。

映画「忍びの国」オリジナル・サウンドトラック



年明けにヒットドラマ「99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ」が待機中の松本潤は有村架純・坂口健太郎との共演『ナラタージュ』が秋に公開。行定勲監督の“観客を傷つけるような恋愛を描く”という思いを受け止め、監督のリクエストに応えていつもの松本潤を40%に抑え、今までにはない儚さ・脆さを見せました。

ナラタージュ メイン



(C)2017「ナラタージュ」製作委員会



キャスターとして総選挙報道もこなし、その一方で2018年平昌冬季オリンピックのキャスターも務めることになった櫻井翔。その合間を縫って新年のスペシャルドラマ「君に捧げるエンブレム」そして冬の連続ドラマ「先に生まれただけの僕」でも主演をはりました。

映画としては約4年ぶりの主演作となる東野圭吾のベストセラーの映画化『ラプラスの魔女』が来年のゴールデンウィークに控えています。ここでは広瀬すず、福士蒼汰という若手を正面から受け止めます。

相葉雅紀もドラマ「貴族探偵」で月9ドラマの主演という重責を担いました。自身の連続ドラマ初出演であった「僕らの勇気未満都市」の20年ぶりのスペシャルドラマに同じ嵐のメンバーの松本潤と出演し、先輩であるKinKi Kidsの周年イヤーに花を添えたのも印象深かったですね。

2016年大晦日の紅白司会のあと新春ドラマにはじまり、季節ごとにドラマと映画のタイトルが並びました。本業の歌手活動にライブツアー、さらにグループ、個人のレギュラーバラエティーなどもある中で、今年の紅白司会で改めて嵐としての出演に加えて司会も二宮和也がこなすということで、終わってみれば今年も嵐は日本のエンタメの中心軸として抜群の存在感を見せました。

もう、来年のことがいくつも発表されていますが、まだまだこれから発表される企画も多いことでしょう。来年も目が離せません。

(文:村松健太郎)

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