映画コラム

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2018年07月21日

「仮面ライダーフォーゼ」ファンも必見だった!実写映画『BLEACH』!

「仮面ライダーフォーゼ」ファンも必見だった!実写映画『BLEACH』!



(C)久保帯人/集英社 (C)2018 映画「BLEACH」製作委員会 



漫画やアニメの実写映画化は昔も今も収まるところを知らない勢いではありますが、7月20日から公開される『BLEACH』も久保帯人の同名漫画を原作にしたものです。

何せシリーズ累計発行部数1億2000万部の大人気作品だけに、原作ファンとしては漫画から実写への変換が上手くなされているか大いに気になるところではあるでしょうが、映画ファンや特撮ヒーロー・ファンとしてはまた別の視点で本作を楽しめる部分もあります。

なぜなら……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街322》

この作品、『仮面ライダーフォーゼ』出演者が久々に集結しているからなのでした!

フォーゼとメテオとなでしこ
舞台を変えての久々の同窓会!?



その前に、映画『BLEACH』の基本ストーリーを記しておきますと、霊感の強い高校生・黒崎一護(福士蒼汰)が、悪霊・虚(※ホロウと読みます)を退治する死神の朽木ルキア(杉咲花)と出会い、彼女の力を分け与えられて死神代行となったことから始まるダーク・ファンタジー・アクション。

今回は原作の第1章ともいえる《死神代行篇》と、続く《尸魂界篇》を基にドラマが構成されていますが、およそ2時間の映画にまとめる上での方法論として、なかなかの選択ではないかと思われます。

主人公・一護を演じる福士蒼汰は原作からそのまま飛び出してきたかのようにヤンチャで優しい雰囲気を携えており、またルキア役の杉咲花は原作と髪形を変えていることで原作ファンの賛否を呼んでいるようですが、漫画に似せた風貌を強いるよりも、演じる俳優自身の個性を際立たせながら、そのキャラクターの魅力を抽出していくのも、また一つの方法論として、私自身は大いに納得できるものがありました。

(事実、ここでは杉咲花の愛らしくも躍動的な魅力が、大いに作品を牽引してくれています)

また、実はこのふたり、既にアクション時代劇『無限の住人』(17)で敵味方の関係として共演しており、あのときも壮絶な殺陣が見ものでしたが、今回も負けず劣らずのソード・アクション・シーンの数々に、生身の肉体ならではのダイナミズムを堪能することができます。

さらに、福士蒼汰といえば何といっても特撮ヒーロードラマ「仮面ライダー フォーゼ」(12~13)で一躍人気を得たことでも知られていますが、今回は一護のクラスメイトながら実は絶滅したはずの滅却師(=クインシー/虚を退治する霊力を持つ人間の集団)の生き残り石田雨竜役で、吉沢亮が出演。

彼もまた「フォーゼ」で主人公のライバルであり後に友となる仮面ライダー メテオを演じて脚光を浴びており、今回もどことなく両者の設定が「フォーゼ」と似ているあたり、ニマニマさせられるのでした。

そして、一護に想いを寄せるクラスメイト井上織姫には真野恵里菜(祝ご結婚!)。

彼女は劇場版『仮面ライダー×仮面ライダーフォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』(12)などで、宇宙生命体SOLU=美咲撫子がフォーゼを不完全コピーして変身する仮面ライダーなでしこを演じており、このときフォーゼは撫子に一目惚れしていますが、今回は真逆の設定になっているあたりもどことなくユニークなのでした。
(ちなみに織姫も原作では霊力を持っていることが後に明らかになっていきますが、今回の映画化ではその片鱗を見せるに留まっています)

かつてのキャスティングの組み合わせがフォーマットを変えて再現される面白さを満喫できるのも映画ファンの特権。そう思えたら、今回の『BLEACH』も「仮面ライダーフォーゼ」プチ同窓会として楽しめるのではないでしょうか。



©久保帯人/集英社 ©2018 映画「BLEACH」製作委員会 



漫画原作ものにこの人あり!
佐藤信介監督作品の魅力


今回の監督・佐藤信介についても少し触れておきましょう。

『寮内厳粛』(96)『正門前行』(97)など学生時代から活動していた数々の自主映画で評価を得て、仲間由紀恵&伊藤英明主演のラブ・ストーリー『LOVESONG』(01)で商業用映画監督デビューを果たした彼ですが、その後小池一夫&上村一夫の明治ヒロイン時代劇画を原作にしつつも、舞台を近未来に置き換え、釈由美子主演で壮絶な殺陣を展開さえた『修羅雪姫』(01)やジャニーズのComing Century(森田剛&三宅健&岡田准一)主演の宇宙SF『COSMIC RESCUE』(03/余談ですが、堀北真希の映画デビュー作でもありました)などでエンタテインメント作品にも才を発揮。

こういったキャリアからやがて『砂時計』(08)『GANTZ』2部作(11)、『図書館戦争』2部作(13&15/こちらの原作は小説ですが、実写映画化の前にTV&劇場アニメ化されています)、『アイアムアヒーロー』(16)『デスノート Light up the NEW world』(16)『いぬやしき』と、漫画原作ものにこの人ありと謳われる存在となって久しいものがあります。

佐藤監督による漫画原作作品は、どれも原作をただ単にコピーすることなく、映画的アレンジを諸所に施しながら原作の味わいと映画ならではの醍醐味を満喫させようとする姿勢が貫かれています。

もともと絵のある漫画原作ものの場合、そのイメージが強すぎるせいもあって、原作にこだわりすぎて鑑賞しがちで、それゆえの意見もあれこれ出てくるのもやむなしかもしれませんが、佐藤監督作品は原作未見未読の人に、鑑賞後その原作を手に取りたくなるような力を備えたものばかりだと確信しています。
(私、実は『アイアムアヒーロー』と『いぬやしき』は映画を先に見て、あまりの面白さにいてもたってもいられなくなり、即原作を読みました)

『BLEACH』も同様で、正直なところ、これはシリーズ化して、今回は控え目だった他のクラスメイトらサブキャラクターの魅力などももっと引き出してもらえたら、などと願っている次第。

いずれにしましても漫画原作の実写映画化、なんだかんだで昭和のその手の作品を見るたびに愕然というか、「いったい自分は何を見ているのだろう……」とクモにつままれた気分にさせられっぱなしだった身としては、何とも感慨深いものがあるのでした。
(1970年代にSNSがあったら、もう大変なことになっていたことでしょう!)

(文:増當竜也)

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