【決定版】タイプ別ヒーロー映画オススメ32選!
©Marvel Studios 2019
現在、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(以下、エンドゲーム)が公開中です。本作の全世界の興行収入は公開からわずか5日で10億ドルを突破し映画史上の新記録を樹立、さらに映画情報サービスのIMDbでは30万人以上の投票で10点満点中8.9点と全ての映画の中でもトップクラスのスコアを叩き出しています。興行と評価の両面において、『エンドゲーム』は映画というエンターテインメントの頂点であり、新たな伝説が生まれたと言っても過言ではないでしょう。
ここでは、『エンドゲーム』のとんでもない盛り上がりを知って、ヒーロー映画に興味を持った、または他の面白いヒーロー映画を観てみたいと思った方に向けて、特にオススメできる32作品を紹介します!
<目次>
※各項目クリックで該当箇所へジャンプ可能です(※一部提携配信サイト除く)
タイプ1:『エンドゲーム』の前に観ておくべき7作品はこれだ!
タイプ2:ヒーロー映画を知らない方もこの作品から!確実に面白い5選!
タイプ3:ダークな魅力に溢れているヒーロー映画5選!
タイプ4:子供から大人までオススメ!アニメのヒーロー映画7選!
タイプ5:子供は観ちゃダメ!R15+指定のヒーロー映画5選!
タイプ6:定番からは外れた、良い意味で変化球なヒーロー映画3選!
タイプ1:『エンドゲーム』の前に観ておくべき7作品はこれだ!
※『エンドゲーム』は「何を言ってもネタバレになってしまう」「ネタバレは絶対にダメ!」度も、映画史上最高レベルです。そのため、以下からは『エンドゲーム』の内容には全く触れずに紹介します。まずは、「『エンドゲーム』を最大限楽しむために観ておくべき作品」を挙げておきましょう。
作品を挙げる前に、『エンドゲーム』を観る前に必要と思われる最低限の知識と、“心構え”について解説しておきます。
『エンドゲーム』はアメリカン・コミック(アメコミ)のヒーローたちが世界観を共有して活躍するマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)の最新作です。MCUは1作目の『アイアンマン』から11年という年月を数え、実に21作という本数を積み立てて、やっと公開されたのが22作目の『エンドゲーム』なのです。
このMCUシリーズは世界観だけでなく物語も連続しています(後述しますが単独で十分に楽しめる作品もあります)。そして、『エンドゲーム』は今までのキャラクターへの思い入れがあってこその感動がある、膨大に張り巡らされた伏線が回収される、集大成な内容と言えます。そのため、当然これまでのシリーズを観ておいたほうが絶対にいい、というわけです。
では、MCUをあまり知らないという方は「21作品もある内からどれを観たらいいの?」と疑問が湧いてくるでしょう。その答えはMCUを追ってきたファンでは概ねで「全部観て!」で一致しています。これは冗談でも誇張でもなく本気です。“『エンドゲーム』を最大限楽しむ”ためには“MCUを全て観ておくこと”が条件なのです!
つまりは“一見さんお断り”度が半端ないわけですが、裏を返せば“最大限楽しむ”のが“全てを観た人の特権”とも言えます。その特権を手にした上で、リアルタイムで『エンドゲーム』を映画館で観れば……もう泣き死にしかねないほどの大感動が待ち受けているのですから! 『エンドゲーム』は日本でも大ヒットしていますので、上映終了までの時間はたっぷりあります。もし観ている作品に“抜け”がある方は、それをなるべく埋めておきましょう。過去のMCUを可能な限りたくさん観ておいて、そして伝説を見届けてください! それは一生の思い出、これからも自慢できる体験となるはずです!
しかし、「これから21作品も観るのはさすがにしんどい!」と思う方もいるでしょう。そこで、これだけはどうしても観ておいて欲しい!せめてこの作品だけは……!という7作品に絞って紹介します。すでに観ているという方も(記憶が薄れているところもあるでしょうから)『エンドゲーム』の前に再鑑賞してみるのもおすすめですよ。
1.『アイアンマン』
MCUの第1作目にあたる『アイアンマン』は、「ヒーロー映画を1本も観たことがない」という方にもオススメできる内容です。その理由の筆頭は“カラッと明るい”雰囲気であること。劇中の設定そのものは深刻なところもあるのですが、主人公のオタク気質かつ無邪気な性格、そして間違いに気づき今まで持ち得なかった正義感に目覚めていくという成長物語は、誰でも感情移入がしやすいでしょう。『アイアンマン2』『アイアンマン3』も観ておけば、さらに彼に思い入れができるはずです。
『アイアンマン』については以下の記事でも解説しています↓
□『アイアンマン』をもっと楽しむための「3つ」のエピソード
2.『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』
MCUにおいて、アイアンマンと双璧を成す重要キャラクターと言えるのがキャプテン・アメリカです。他のMCU作品と違うのは時代設定が1942年という、第二次世界大戦の真っ只中ということ。その時代に生きていた彼がなぜ現代でも現役ヒーローとして活躍しているのか……ということは、実際に観て確認してみてください。「もやしっ子がひょんなことからムキムキの筋肉マッチョになる」「でもマスコットキャラクターとして軍に利用されてしまう」といったあらすじは、これまた感情移入がしやすいですよ。
3.『アベンジャーズ』
前述のアイアンマンとキャプテン・アメリカだけでなく、女スパイのブラック・ウィドウ、北欧神話の神がモチーフのソー、怒りにより緑の怪物へと変わるハルク、弓の名手であるホークアイというメンバーが、アベンジャーズという名前のチームとして集結する内容で、MCUの中核を成す重要作と言っていいでしょう。正直に申し上げると中盤まではヒーロー同士の会話シーンが多くやや退屈に感じてしまうところもあったのですが、クライマックスのニューヨークでの決戦はアイデア満載で大興奮&迫力満点! キャラクターそれぞれの独自の戦い方にも注目です。続編の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を合わせて観てみてもいいでしょう。
4.『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
前述の『キャプテン・アメリカ』の2作目です。本作はキャッチコピーに「アベンジャーズ以外、全員敵」とあるように、周りの協力がないまま行動をせざるを得ない、誰か敵なのかがわからない“疑心暗鬼に”なるというサスペンスが展開するということも大きな特徴。アクションはとにかく破壊しまくり、キャプテン・アメリカの体術が炸裂しまくりで、前作は前フリと言わんばかりの圧倒的なサービス精神に溢れていて、ドラマ面でも重圧さを増しています。MCUの中でもかなりの高評価を得ていることも納得できるでしょう。
5.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
本作の特徴の筆頭は、主人公チームがダメ人間の集まりということ! 主人公は小銭目当ての賞金稼ぎで、紅一点の宇宙人は主人公の宝を横取りしようとして、元囚人までいたりします。内容も良い意味でノリが軽くて、次から次へと展開する物語運びはサービス精神たっぷり。日本人でも知っている70年代の名曲の数々がたっぷり使われていることも手伝って、誰もが「楽しい!」と思える痛快エンターテインメントに仕上がっていました。他のMCU作品を観ていなくても、単体で存分に楽しめることも長所ですね。続編には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』があり、こちらではさらに彼らが“家族”として絆を深めていく過程が描かれていますよ。
6.『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
『キャプテン・アメリカ』シリーズの3作目で、これまで登場したヒーローたちが2つのチームに分かれ、戦い合ってしまうという内容です。そうであればダークな雰囲気になりそうなところですが、意外にもゲラゲラと笑えるギャグも多い、楽しい作品に仕上がっていました。双方のチームのヒーロー(アイアンマンとキャプテン・アメリカ)の言い分にも納得できるドラマ運び、膨大な人数のヒーローたちが満遍なく活躍するというスキのなさ、そしてヒーローみんなが可愛く見えてくる“キャラ萌え”を堪能できるなど、完成度はMCUの中でもトップクラスでしょう。
7.『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
この『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』の物語は地続きで、前者を“前編”、後者を“後編”と言っても過言ではない内容になっていました。今では宣伝などで明かされていますが、この『インフィニティ・ウォー』の結末は衝撃的なものであり、MCUのファンは『エンドゲーム』の公開までほぼ1年間「どうなるんだよ!」と続きを待たされていました(そりゃもう、みんな『エンドゲーム』を公開後すぐに観にいくよ)! キャラそれぞれの細かいセリフや行動に『エンドゲーム』への布石となるところが多いこともあり、この『インフィニティ・ウォー』はMCUの中でも“鑑賞は必須”、記憶が薄れてしまっているという方も可能であれば観直しておいた方がいいでしょう。
なお、『エンドゲーム』の1作前の作品には『キャプテン・マーベル』があり、こちらは残念ながら日本では劇場での上映が完全に終了していて、現在は物理的に観ることが不可能になっています。配信やソフト化もまだまだ先でしょう。そのため、「『キャプテン・マーベル』を見逃してしまったのに『エンドゲーム』を楽しめるんだろうか……」と悩んでいる方もいるかもしれませんが、個人的には観ていなくても大丈夫、「めちゃくちゃ強い女性ヒーローがいる」という認識を持っている程度でも問題ないと思います。
また、『インクレディブル・ハルク』も他のMCUとの関連性は薄めで、主人公ヒーローを演じた俳優が以降と異なってしまっているという違和感もあるかもしれないので、無理には観なくても大丈夫でしょう。
■<目次>に戻る
タイプ2:ヒーロー映画を知らない方もこの作品から!確実に面白い5選!
ここからは、ヒーロー映画を観たことがないという方にもオススメしたい、そのヒーローのことを全く知らなくても存分に楽しめる、エンターテインメント性に満ちた5作品を紹介しましょう!
1.『アクアマン』
ここまで紹介したMCUは、マーベル・コミック(出版社)の作品でした。もう1つのヒーロー映画のシリーズに、スーパーマンやバットマンなどのDCコミックスのヒーローが世界観を共有して活躍するDCエクステンデッド・ユニバース(以下、DCEU)があります。こちらはシリーズの初期にはダークな作風のものが多く、作品によってはかなりの賛否両論を呼んでいました。しかし、そのDCEUの6作目となる『アクアマン』は雰囲気そのものが明るめで、シリーズを観ていなくても物語は問題なく理解でき、最初から最後までアクションが満載、誰もが大興奮して楽しめるという万人向けの娯楽作に仕上がっていました。「クリスチャン・ラッセンの絵が暴れている」「戦闘力の高いスイミー」などのパワーワードで賞賛されていることも大納得できるでしょう。Blu-ray&DVDの発売日は7月3日ですが、デジタル配信が5月8日より早くもスタートです。
2.『シャザム!』
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
こちらは現在公開中の作品です。最大の特徴は「見た目は大人、中身は子ども」というどこかで聞いたような主人公の設定で、ヒーローのパワーを得た(見た目はおっさん)の子どもが大はしゃぎをするということ。一見するとコメディのようではありますが、監督がホラー畑の方のため怖いシーンがあったり、家族の物語として泣ける展開があったり、ヒーロー映画としてのカタルシスも存分と、絶賛に次ぐ絶賛も納得の多様なジャンルが同居した素晴らしい作品になっていたのです。『グーニーズ』や『E.T.』を彷彿とさせる“子どもが主人公の昔のファミリー向け洋画”の雰囲気も満載なので、ぜひお子さんを連れてご家族で観てほしいです。DCEUの7作目でもあり、“スーパーマンやバットマンが同じ世界にいる”ことも重要になっていますよ。
3.『スーパーマン リターンズ』
DCEUの『マン・オブ・スティール』や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のスーパーマンは良くも悪くも暗めのキャラに思えるため、人よっては感情移入がしにくいかもしれません。しかし、この『スーパーマン リターンズ』では、スーパーマンがダイナミックな方法で人々を助け賞賛されたり、見ているだけでイチコロになりそうな爽やかスマイルも繰り出したりと、ストレートにヒーローとしての活躍を楽しめる内容になっていました。主人公が新聞社に復職するも、5年の間に彼を知る者はいろいろと様変わりしてしまっていた……という物語は切なさもたっぷりだったりします。リブート(シリーズの仕切り直し)ではなく、『スーパーマン』(1978年)および『スーパーマンII/冒険篇』(1980年)の続編に位置付けられていていますが、本作からでもほぼ問題なく楽しめますよ。
4.『X-MEN ファースト・ジェネレーション』
マーベル・コミックにはX-MENというミュータント(突然変異で特殊な能力を得た者)が活躍する大人気シリーズもあります。そのシリーズの中でも特に評価が高く、また最初に観るのがオススメなのが、この『X-MEN ファースト・ジェネレーション』。シリーズのエピソードゼロ的な内容で、キャラクターそれぞれの心理描写、「正義と悪がなぜ生まれたのか」という疑問に迫る物語はグイグイと興味を引き、クライマックスのアクションも迫力満点とスキのない作りになっています。なお、X-MENシリーズは現実の差別や迫害の風刺にもなっており、キャラクターそれぞれが抱えた問題は決してフィクションの中での絵空事ではない、だからこそ彼らに感情移入がしやすくなっているということもポイントです。作中の時代は1962年というソビエト連邦が存在し、キューバ危機が起きようとしていた時であるので、当時の情勢や(キャラクターの生い立ちに関わっている)ナチス・ドイツの最低限の知識を知っておくとさらに楽しめるでしょう。なお、X-MENシリーズの最新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』が6月21日公開予定となっています。
5.『アントマン』
こちらはMCUの中の1作です。本作がヒーロー映画を全く観たことがないという方にもオススメできる理由は、主人公がとても親しみやすいということ。他のMCUのヒーローは超金持ちだったり神様だったりと現実離れしているのですが、アントマンはアイスクリーム屋でバイトせざるを得ない状況になったり、あまつさえヒーローにあるまじきコソ泥なこともやって、その一方で子煩悩なパパであったりするのです。彼がいちばん大好きなヒーローになるという方もきっと多いでしょうし、物語そのものも良い意味で規模が小さく親近感が湧く内容になっていますよ。言うまでもなく『エンドゲーム』の前に観ておくと良いことがありますし、合わせて続編の『アントマン&ワスプ』も観てみるといいでしょう。
■<目次>に戻る
タイプ3:ダークな魅力に溢れているヒーロー映画5選!
ここからは、ダークな作風でありつつも、万人にオススメできるヒーロー映画の5作品を紹介します!
1.『ダークナイト』
その評価および興行成績は大成功という言葉では足りない、ヒーロー映画の歴史において最も重要な位置付けになっている作品の1つです。誰もが絶賛するのは悪役のジョーカーを演じた故・ヒース・レジャーの怪演で、その笑い声のおぞましさ、予測不能かつ極悪非道の行動の数々はトラウマになってもおかしくないほど。善と悪の存在理由に迫るシリアスかつ重厚な物語、衝撃の展開の連続など、ヒーロー映画に限らず、エンターテインメントの常識を打ち破った名作になっていました。『バットマン ビギンズ』の続編に当たりますが、そちらを観ていなくてもオススメします。
2.『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』
マーベル・コミックとDCコミックスに次ぐ規模の出版社・ダークホースコミックスのヒーローの映画化作品です。その魅力は『パンズ・ラビリンス』や『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督のクリエイターの執念が結集したのような美麗なビジュアルで、明らかにジブリ映画の『もののけ姫』や『ルパン三世 カリオストロの城』を意識したシーンもあるということ。キッチュなキャラクターもみんな魅力的で、ダークさを備えつつも大人から子供まで楽しめるエンターテインメントになっていました。前作『ヘルボーイ』を観ていなくてもほぼ問題はないでしょう。ギレルモ・デル・トロ監督のヒーロー映画では『ブレイド2』もダークで面白い作品になっていますよ。ちなみに、日本で2019年秋に新作『ヘルボーイ』が公開予定で、こちらは本国ではR指定がされるほどに残虐描写が満載の大人向けの内容へと変わっているようです。
3.『ダークマン』
殺し屋に襲われて全身に重度の火傷を負ってしまった主人公が、人工皮膚を利用して誰にでも化けられる超人となり、殺し屋たちへの復讐をするという“ダークヒーロー”ものです。ホラーとアクションが共存した内容は娯楽性が高く、上映時間が95分と短めで比較的観やすいのも長所、隠れた名作と呼ぶにふさわしい1作です。主役を演じるのは、後に“復讐もの”のアクションで主演を務めまくることになるリーアム・ニーソンで、そのキャリアの初期にもやはり“そういう主人公”を演じていたことも感慨深いものがあります。ちなみに監督は後に『スパイダーマン』3作を手がけることになるサム・ライミで、ある意味では『ダークマン』がなければ以降の実写のヒーロー映画の興隆もなかったかもしれない、こちらもヒーロー映画の歴史上で重要な作品と言えるでしょう。
4.『ヴェノム』
スパイダーマンシリーズで人気のヴィラン(悪役)である寄生生物・ヴェノムを主役に迎えた作品です。ポスターや初期の予告編のイメージではダークでバイオレントなイメージがあり、本編にもその要素は十分にあるのですが、実はそのヴェノムが「かわいい!」ということも話題となってもいました。人間の主人公との掛け合いは“バディもの”としての面白さも満載で、クスクスと笑えるシーンも多くて、その2人の関係性はさながら『寄生獣』や『ど根性ガエル』のように微笑ましくて萌えるという、意外にも万人が楽しめる内容になっていたのです。なお、 こちらもMCUやDCEUと同様にソニーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクターという世界観を共有したシリーズ化がされるようです。
5.『クロニクル』
青春物語としての側面が強い作品です。ヒーローのコスチュームを着たりするわけではありませんが、3人が高校生が超能力を手にし、その能力をどのように活用していくか……と悩みながらも道を探していく過程はヒーロー映画の定番と言えるもの。何気ない会話が伏線として積み重なり、それが帰結する切なくも見事なラストにはもう落涙するしかありませんでした。POV方式(主観視点)により、より彼らの心情が伝わるようになっているのも見事です。なお、本作で高い評価を得たジョシュ・トランク監督は後にもダークな作風のヒーロー映画『ファンタスティック・フォー』(2015年のリブート作)を手がけますが、そちらでは撮影時のトラブルが相次いだこともあって、興行面でも評価面でも失敗作となってしまいました。個人的にはどちらも大好きな作品ですし、ジョシュ監督の新作を待ち望んでいます。
■<目次>に戻る
タイプ4:子供から大人までオススメ!アニメのヒーロー映画7選!
アニメーション映画の中からも、オススメのヒーロー映画を紹介しましょう!いずれも、子供から大人まで分け隔てなくオススメします。
1.『Mr.インクレディブル』
ヒーローの家族が大活躍する作品です。世論の圧力によりスーパーヒーロー活動の自粛を余儀無くされてしまった状況で、主人公は保険会社でイヤイヤ働きつつも、こっそりとスーパーヒーローとして活躍しようする……というあらすじはなかなかに切ないところがありますが、だからこそ後半のカタルシスのために積み立てられている物語が見事です。3DCGの利点を最大限に生かしたダイナミックかつアイデア満載のアクションが満載で、子供から大人まで楽しめる映画としても決定版と言える完成度でした。なお、『インクレディブル・ファミリー』は14年ぶりの続編ながら、物語は『Mr.インクレディブル』の直後から始まるので、間を空けずに続けて観てみるのもいいかもしれませんよ。
2.『ベイマックス』
宣伝やポスターのイメージでハートフルな物語と思っていたら、本編を観るとガッツリとヒーロー映画であったことに驚いた方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、本作もマーベル・コミックの作品(しかもマニアでないとなかなか知らないマイナーな作品)を原作としているのですから。“オタク万歳!”な内容は感情移入しやすく、日本へリスペクトを捧げた世界観も楽しく、6人のヒーローがそれぞれ魅力的で、彼らが連携して戦うアクションは痛快愉快、かつヒーロー映画としてツボを押さえたドラマにも感動できるでしょう。
※『ベイマックス』については以下の記事でも解説しています↓
□『ベイマックス』はなぜ大傑作なのか!?その5つの理由と気付きにくい盲点!
3.『レゴバットマン ザ・ムービー』
知育玩具のレゴをモチーフにした子供向けの作品……と軽く見てはいけません!レゴを使ったアクションが大迫力!バットマンおよびDCコミックスへの愛に溢れすぎてる!「1人で解決しようとしないで」というメッセージ性が尊い!クライマックスが超感動的!などと、ヒーロー映画のファンであったらより泣けて泣けて仕方がない内容になっているのですから(もちろんヒーローを知らない方でも楽しめます)。マニアックな大人向けのギャグと、単純な動作や落差で笑わせる子ども向けのギャグの両方が用意されていて、親子で観ればどちらもゲラゲラ笑いながら観られるというのも素敵なところ。個人的にはバットマン映画の最高傑作です。バットマンと悪役のジョーカーとの関係性は、『ダークナイト』を観ておくとたまらないものがあるかもしれませんよ。
4.『スパイダーマン スパイダーバース』
スパイダーマンと言えばサム・ライミ監督版の『スパイダーマン』3作、およびマーク・ウェブ監督版『アメイジング・スパイダーマン』2作が有名ですが、実は最もスパイダーマンの魅力を知るのにうってつけなのは、この『スパイダーマン スパイダーバース』なのではないでしょうか。別次元からやってきたそれぞれのスパイダーマンがカッコ可愛くて、いきなり「スパイダーマンってこんなに素敵なんだ!」と大好きになれるのですから。驚異の映像が次から次へと送り出され、“家族の物語”は誰にでも感情移入ができ、さらにはスパイダーマンおよびアメコミのヒーローへの愛でいっぱいという……個人的にはこの記事で挙げているヒーロー映画の中で、最も大好きな作品になりました。Blu-ray&DVDは8月7日にリリース、また6月26日よりデジタル先行配信予定となっています。
※『スパイダーマン:スパイダーバース』については以下の記事でも解説しています↓
□『スパイダーマン:スパイダーバース』が大傑作となった「8つ」の理由!全人類必見!
5.『ニンジャバットマン』
バットマンが日本の戦国時代にタイムスリップするという、とんでもない設定の日本製アニメです。内容はDCコミックスのキャラを利用して「俺たちが作りたいもんを作る」と言っているかのようにやりたい放題、物語はツッコミどころ満載でもゴリ押しで攻めてくるので脳がとろけてきそうになり、終盤はもう開いた口が塞がらないどころか全開になるという……『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』の脚本家・中島かずきらしい破天荒さで埋め尽くされており、もう楽しくって仕方がありませんでした。そして声優陣がとてつもなく豪華で、しかも最高の仕事をされていて耳が幸せすぎます。特に高木渉のジョーカーは演じていて本当に楽しそうですし、釘宮理恵の少しだけ“大人っぽさ”を感じさせる悪女役は最高ですよ。
6.『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』
こちらは「少年ジャンプ」に連載されている日本のマンガのアニメ映画化作品で、北米でも日本のアニメ映画として歴代10位の興行成績を記録するほどの人気を誇っていました。原作からアメコミヒーローへのリスペクトに溢れていて、そのヒーローになるために学校で学んでいる少年少女たちが主人公であること、彼らの特殊能力を“個性”と呼んでいることも大きな特徴。ヒーローの特殊能力を通じて、現実に根ざした個性を伸ばす大切さを寓話的かつ教育的に描いていると言っても良いでしょう。この映画版の物語は少年少女たちが力を合わせてタワーを攻略していくというシンプルかつアツいものとなっており、予備知識がなくても存分に楽しむことができます。“ヒーローは人を助けるんだ”という当たり前のこと、その原点とも言える価値観をストレートに描き切っていることも大好きです。ちなみに、『僕のヒーローアカデミア』はハリウッドでの実写映画化の計画も進んでいるようですよ。
7. 『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』
フラッシュアニメの『秘密結社鷹の爪』が、まさかのDCコミックスのヒーローとコラボをした作品です。基本的にはしょうもない(褒め言葉)ギャグでいっぱいの作品なのですが、フラッシュアニメの“ゆるさ”に止め絵のカッコイイDCキャラたちが意外にもマッチしており、“鷹の爪名物バジェット(予算)ゲージ”がとんでもないサスペンスを生むなど、低予算をものともしない(むしろそれを逆手に取った)展開が楽しくって仕方がありませんでした。メタフィクションネタや限界ギリギリのパロディも満載で、特に終盤のあの超大ヒット作をイジったアレは笑い死にするかと思いました。ボイスキャストも超豪華で、山田孝之、知英、安田顕が良かったのはもちろん、ワンダーウーマン役の松本梨香がハマりすぎて惚れ惚れとできますよ。
■<目次>に戻る
タイプ5:子供は観ちゃダメ!R15+指定のヒーロー映画5選!
ここからは、R15+指定がされていて残酷なバイオレンス描写が満載、しかし、それこそが作品に必要不可欠であったと思えたヒーロー映画の5作品を紹介します!
1.『キック・アス』
各方面から大絶賛、特に映画ファン界隈で大きな話題を呼んでいた作品です。平凡なオタク青年が自警団活動をして行く途中で、幼い少女のヒーロー(でも実際は人殺し!)に出会うというプロットはそれだけで面白く、さらに観客の予想を裏切る展開、王道の復讐劇、成長物語、ゲラゲラ笑えるコメディ、そして時には登場人物を本気で応援できるという……あらゆる面から最高に楽しめるエンターテイメントに仕上がっていました。また、ヒーローになりたい人間の心情を切実に描いただけでなく、普通の人間がヒーローになろうとすると暴力や犯罪や殺人に発展してしまうという危険性が描かれているとも言えます。その皮肉としても、残酷描写は必要だったのでしょう。
2. 『ウォッチメン』
複数のヒーローの価値観が交錯するドラマを主としている作品です。そのヒーローたちは第二次世界大戦などにも関与しており、ある意味では「現実の歴史にヒーローがいたらこうなる」という“IF”を描いているとも言えます。衝撃的なオープニングから“掴み”はバッチリ、『300(スリーハンドレッド)』などのザック・スナイダー監督のスタイリッシュなアクションもこだわり抜かれて作られていました。残酷描写はもちろん、ヒーローたちがお互いの主張を押し付け合うという良くも悪くも陰々鬱々とした物語、そのショッキングな結末部分も含めてかなりの賛否両論がある作品ですが、ハマる人にはたまらない内容となるでしょう。原作コミックには映画から省かれたメッセージもあるので、余裕があればそちらも読んでみてほしいです。
3.『デッドプール』
マーベル・コミックの中でも屈指の人気を誇るヒーローの待望の単独作品なのですが……このデッドプールは色々な意味で規格外です。ベラベラと喋りながら戦うのは序の口、不死身であり、現実にある作品をイジったメタフィクション的なギャグも繰り出し、果てはいきなり“観客に語りかけてくる”という掟破りなことまでもやってしまいます。その原作からあったデッドプールの魅力が全開になった本作はR指定がされた映画史上最高の興行収入を記録し、軒並み高評価で迎えられました。主人公とヒロインが話し合う生い立ちが壮絶で、ラブストーリーとしてもしっかりした内容になっています。続編の『デッドプール2』はさらにゴージャスかつ楽しい内容になっているので、ぜひ合わせて観てほしいです。
4.『スーパー!』
自分の人生は不幸だと思い込んでいる中年のおじさんが、あることをきっかけにして自警団活動を始めるものの、その行動ははっきり言って通り魔そのもの……という内容です。残酷性を持つヒーローの女の子が相棒になることや、自分の信じるもののために戦うという尊さ、グロテスクな描写でヒーローの危険性と存在価値をも訴えるというテーマは前述の『キック・アス』にも似ていました。エロ・グロ・下ネタと三拍子そろった内容ということもあり、観る人はかなり選ぶでしょうが、クライマックスの展開およびラストのメッセージには感涙していまうオトナもたくさんいることでしょう。ちなみに、本作でメガホンを取ったジェームズ・ガン監督は後に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手がけることになっており、その独自のセンスは『スーパー!』でも大いに感じることができますよ。
5.『ローガン』
X-MENシリーズの人気キャラクター・ウルヴァリンを主人公にした作品の1つです。『レオン』のような不器用な男と少女の交流、『許されざる者』のような西部劇、『ターミネーター2』のような恐るべき敵と戦いながら移動する逃亡劇、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のような死期が迫っている者のロードムービー、『グラン・トリノ』のような老人が次の世代の者へ何かを伝える人間ドラマなど、多数の要素が折り重なった豊かな作品になっていました。物語上では“人を殺してしまう”ことへの悲哀がたっぷりと描かれており、そのために深い傷を負う“痛み”が視覚的に伝わる残酷描写が必要だったと思える内容にもなっています。物語としては独立しているので基本的にX-MENシリーズを知らなくても楽しめますが、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』や『X-MENフューチャー&パスト』を合わせて観ると、ハッと気づく事があるはずですよ。
■<目次>に戻る
タイプ6:定番からは外れた、良い意味で変化球なヒーロー映画3選!
最後に、定番な展開からはちょっと外れた、良い意味で変化球気味と言えるヒーロー映画の中から、特にオススメの3作品を紹介します。
1.『ハンコック』
普通のヒーロー映画はスーパーパワーを世のために人のために使いますが、本作のヒーローはアルコール好きで力加減ができずに市井の人々に嫌われている厄介者です。大スターのウィル・スミスが演じていなければシャレにもならない企画だったでしょう。世論によりヒーローの肩身が狭くなっているというのは、『Mr.インクレディブル』と共通していますね。偶然に命を救ったPRマンの提案で“皆から愛されるヒーロー”を目指すというプロットも何とも味わい深いものがあります。後半からの展開はあまり評判が良くないのですが、その“いびつさ”も含めて好きになれるという方はきっと多いでしょう。
2.『アンブレイカブル』
『シックス・センス』で一躍有名になったM・ナイト・シャマラン監督の作品です。パッと見ではスリラーに見えますが、実はアメコミヒーローを題材としつつ、”善と悪”や“人が生きる価値”についてを論じる哲学的な内容でもありました。列車事故に巻き込まれたのにただ1人だけ生き残った主人公と、骨が弱く骨折ばかりしている男との対比は切なくも恐ろしく、まさにアメコミらしいヒーローとヴィランを彷彿とさせる関係にもなっていくのです。また、本作を観た後にM・ナイト・シャマランの監督作を追って観て行くと…いいことがあるかもしれませんよ。
3.『ディフェンドー 闇の仕事人』
この記事で挙げた作品の中では最もマイナーな作品でしょう。純粋な心を持った中年のおじさんが娼婦の少女と交流し、いつしか犯罪組織と対立していくという物語で、前述した『キック・アス』や『スーパー!』に通ずる“自警団もの”になっています。悪人退治に出向いても負けてばっかりの主人公の姿は切なく、だからこそ少女との会話にほっこりとでき、そんな彼に呆れながらも突き放そうとはしない周りの人々の人情にもグッと来るものがあります。ちょっと性的な話題もありますが、意外にも万人が楽しめるハートウォーミングなドラマになっており、ラストには思わぬ感動があるかもしれませんよ。
■<目次>に戻る
(文:ヒナタカ)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。