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2019-12-22

コラム

『仮面ライダービルド』との共通点から「ニッポンノワール」の魅力を考察する

■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会

日曜の夜の楽しみが終わってしまいました。

『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』がついに先日最終回を迎え、最後の最後まで面白さを下げることなく走りきってくれました。

ラストも最高で、清春が撃たれることでニッポンノワールという組織の巨大さを分からせる演出に唸ってしまいました。

以前も書きましたが、「ニッポンノワール」は特撮ファンにとって熱狂するポイントがいたるところに散りばめられた作品であり、脚本を担当された武藤将吾さんの力量に改めて脱帽させられました。

武藤さんは2年前に『仮面ライダービルド』という作品の脚本も担当されてるんですが、「ニッポンノワール」では仮面ライダーの要素を上手に、そして見事に抑えながら上質な刑事ドラマに昇華させつつ、しかし「ビルド」の要素もしっかりと抽出され、最終的にはそれらを巧みに練り込み、誰も見たことがないドラマを見せてくれました。

いろんなハイライトがありますが、今回はいち特撮ファン目線からの感想を書かせていただこうと思います。




「ニッポンノワール」の軸は、賀来賢人さん演じる遊佐清春が記憶をなくしたところから始まり、徐々に記憶を取り戻すと同時にいろんな謎が解けていくところにあると思いますが、「ビルド」の主人公・桐生戦兎も記憶のないところから始まります。

記憶がないという何も情報がない状態から、ストーリーが進むにつれいろんなことが判明していくのは見ているこちらとしてはとても快感で
、かつ主人公の体験を見てる僕らも心情を疑似体験できるところが魅力だと思います。

戦兎は自分の正体が実は顔も記憶も変えられた別人だとわかり、アイデンティティを失い葛藤する様子が描かれます。

これは「ニッポンノワール」では、警視庁捜査一課の宮城遼一が、実はニッポンノワールによる人体実験で人格矯正されたことがわかり悩む様子と似ており、思わずグッときてしまいました。

この部分のさらにすごいところは『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』で出てきた宮城とはキャラが違っている、という伏線も張られていた点です。

武藤さんは3作品の成分を混ぜ込むという、誰もやったことがない荒業にして偉業、挑戦をされているんです。

先ほど少し出てきましたが、日曜22時半のドラマで人体実験というフレーズをかつて聞いたことがあったでしょうか。

この人体実験は『ビルド』という作品において欠かせない要素で、人体実験により人間がスマッシュという怪物にされてしまったり、仮面ライダーに変身するための条件として用いられ、それによる多くの悲劇がドラマを盛り上げました。

「ニッポンノワール」でも悲劇を演出する効果を果たしてましたが、22時半のドラマに人体実験というフレーズが出てきてもチープにならないのは、前半部分のドラマを丁寧に作り上げた武藤さんの実力、そして世界観をしっかりと構築してくれた名俳優さん達の力量以外の何物でもありません。

清春が新薬を投与して最終決戦に臨むシーンも、「ビルド」で戦兎がハザードトリガーを用いて北都との戦争に臨むシーンや、我らが武田航平くん演じる一海が命を懸けてグリスブリザードに変身するシーンを彷彿とさせ、思わず涙腺が緩んでしまいました。

「ニッポンノワール」のオープニングは毎週違うキャラの瞳から始まったり、エンディングではサザンオールスターズの曲が流れながら、セリフは聞こえずともなんとなく匂わす演出が一貫されてて最高でしたが、「ビルド」ではオープニングに必ず出演キャラのナレーションから入り、しかも最終話でそれをも回収したことに拍手しまくりました。

今まで同じものを流すという決まりきっていたものを壊し、隅から隅まで楽しめるように作り込まれているところも僕が魅かれる理由の一つです。

まだ「ビルド」を見たことがない「ニッポンノワール」のファンも、「ニッポンノワール」を見てない「ビルド」ファンも、両作見て武藤ワールドを堪能してほしいと思います。

清春と伊上のヒゲのやりとり最高やったなー。

願わくば「ビルド」キャストで「ニッポンノワール」の舞台版をやっていただきたい。

主演はやっぱり、万丈こと赤楚衛二くんで。

(写真・文:篠宮暁)

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