映画コラム

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2020年06月19日

『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!

『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!



『ローマの休日』をお下品ドタバタ・コメディにしたような
『セクシリア』(82)




  (C)ALPHAVILLE,S.A.1982



ペドロ・アルモドバル監督の長編映画第2作。1982年の作品ですが、日本ではミニシアターでのアルモドバル人気を得た後の1995年に初公開されました。

本作のヒロインはロックバンドのメンバーで、ニンフォマニア(=淫乱症)のセクシリア(セシリア・ロス)。

彼女の父親は娘とは真逆にSEXへの嫌悪感から人工授精の権威となったペニャ博士(フェルナンド・ビバンコ)ですが、そんな彼のもとを政情不安のティラン国元皇后の美魔女トラヤ(ヘルガ・リナ)が謎の訪問(果たして彼女が入手しようとしている白い液体とは!?)。

一方、同国の皇太子でイケメン・ゲイのリサ(イマノル・アリアス)は変装してマドリッドに亡命していますが、反皇帝派のサディック(アントニオ・バンデラス)は彼の誘拐を目論んでいます。

そんな中、セクシリアはリサと出会って一目惚れしてしまったことから、反皇帝派の魔手から彼を救うために一役買う羽目に……!?

あたかもゲイとニンフォマニアが織り成す『ローマの休日』?

ここでもアルモドバル監督ならではの老若男女が織り成すドタバタ&ハチャメチャなスラップスティックでスクリューボール的エロ・コメディがさく裂! 

近親相姦みたいな深刻な要素すらも、タブーを恐れることのない彼の手にかかると不可思議で猥雑な映画的躍動感のフックと化し、さほど不快な印象をもたらさないのは恐るべし! です。
(総じて彼の作品は「父娘の性的関係性」が強調される節がありますが、そこには何某かの彼の映画作家としてのアイコンが秘められている気もします)

ヒロインのセクシリアを演じるセシリア・ロス(ちなみにセクシーなセシリアということで“セクシリア”と名付けられたといった説は真か嘘か!?)もまたアルモドバル映画の常連で、後の『オールアバウト・マイ・マザー』での名演も忘れられないところ。新作『ペイン・アンド・グローリー』にも出演しています。

また若き日のアントニオ・バンデラスも出演していますが、彼もまたアルモドバル作品の常連として売り出し、やがて世界的スターとして躍進していくのでした。

あ、監督自身も女装して歌を披露しています(実は彼自身、同性愛者であることを公言しているのでした)

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