映画コラム

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2020年06月19日

『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!

『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!



久しぶりにハチャメチャやった!
『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)




(C)EL DESEO D.A.S.L.U. M-39978-2012 



マドリッドからメキシコ・シティに向かっていた旅客機がトラブルに見舞われ、着陸できずに空を旋回し続ける事態に陥ってしまいました。

そんな機内のビジネスクラスにはさまざまなクセモノたちが乗っています。

不祥事で高飛びしようとしている銀行頭取(ホゼ・ルイス・トリーホ)、落ち目の俳優(ギレルモ・トレド)と情緒不安定な愛人(パス・ベガ)と元交際相手(ブランカ・スアレス)、伝説のSM女王(セシリア・ロス)、アラフォー処女の予言者(ロラ・ドゥエニャス)、……。

当然ながら機内はパニック状態に陥っていくわけですが、それを収めようとゲイのCA3人組、ホセラ(ハビエル・カマラ)&ファハス(カルロス・アレセス)&ウジョア(ラウル・アレバロ)は得意のダンスを披露するも、事態は悪化していくばかり!?

さらにはホセラと愛人関係にある機長アレックス(アントニオ・デ・ラ・トーレ)は、この緊急事態の折に今後の関係性をどうするのか問い詰められて……!

本作『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)は、数々の受賞歴などで巨匠として讃えられるようになったアルモドバル監督が、そういった栄誉などどこ吹く風とばかりに、久々に原点回帰して飛行機の中という閉塞空間の中で徹底してオバカでお下品な集団コメディを楽しく披露してくれています。

アルモドバル映画のミューズのひとりセシリア・ロスも出演しており、またアントニオ・バンデラスやペネロペ・クルスなどの常連もカメオ出演といった賑やかさ。

もう最初から最後までハチャメチャで、公開時もアカデミー賞監督といった目でしかアルモドバル映画を見たことのないシネフィル連をあきれさせたりもしましたが、古くから彼の映画に精通していたファンはニンマリといった風情もまた痛快ではありました。

もちろん今回の3作品もまた、アルモドバル映画の一面にすぎません。

『ペイン・アンド・グローリー』の公開を機に、彼のこれまでの作品群にも触れながら、アナーキーな快感とその奥から滲み出る人間愛に思う存分浸ってみてください!

(文:増當竜也)

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