映画コラム

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2020年08月22日

『グッバイ、リチャード!』レビュー:命短しジョニデ教授のハチャメチャ授業!

『グッバイ、リチャード!』レビュー:命短しジョニデ教授のハチャメチャ授業!



ハチャメチャなユーモアと
秘められたヒューマニズム




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「どんなに感動的であっても、病気を題材にした映画は見たくない!」という方でも(昔から病気を題材にした映画が流行するたびに、“難病映画”などと蔑まされたりすることが往々にしてあります)、この作品ならOKではないかと思われるほど、ハチャメチャなユーモアとその奥に秘められたヒューマニズムに包まれた映画です。

もはや見ている側がストレス解消できるほど!?

ジョニー・デップといえば『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのようなメジャー大作から小規模のインディペンデント映画まで、自分が出たいと思えるようなものにこそ出演するといった積極的姿勢でキャリアを進めてきたスターですが、そんな彼のまた新たな一面をここに見ることができるでしょう。

とにもかくにも、彼が進める授業の面白いこと!

はじめはあきれ果てていた生徒たちも、そのハチャメチャさの中に潜む何某かの人生の真実みたいなものを見出して、彼にシンパシーを寄せていくあたり、そもそもの彼の人間性の良さやインテリジェンスが上手く描出されているように思われます。

いまどきの映画らしくLGBT関連のネタも多いのですが、そのいずれにも飄々とユーモラスに、しかし実は真摯に対応している姿勢も好感が持てるところ。

個人的に見ていて楽しかったのは、ダニー・ヒューストン扮する友人ピーターの過剰な友愛ぶりで、きっと彼も主人公に対してLIKE以上のLOVEを見出しているのかもしれないと思えるほどでした。

プロデューサーは『ハートロッカー』(08)や『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)『デトロイト』(17)などキャサリン・ビグロー監督作品で組むことの多いグレッグ・シャピロ。

監督は『ケイティ・セイズ・グッバイ』(16)で国際的な評価を得た新鋭のウェイン・ロバーツ。

とかくシリアスになりがちな題材を、ジョニー・デップの個性に上手く寄り添いながら、どこかしら寓話的に気持ちの良いものに仕上げています。

見ているうちに「どうせいつかはあの世に旅立つのなら、自分もリチャードのようにぶっとんでみようかな」などと思わせてくれる、何とも好もしい作品でした。


(文:増當竜也)

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