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2021-01-16

『キング・オブ・シーヴズ』レビュー:マイケル・ケインはじめ英国老名優らが金庫破り!

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増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」

私事になりますが、この世で一番好きな映画スターはマイケル・ケインです。

イギリス出身の名優で、現在87歳!

最近は“ダークナイト”3部作などクリストファー・ノーラン監督作品でも知られますが(ノーランも彼の大ファンなのです)、そんなマイケル・ケインが今回は金庫破りに挑む⁉

しかも仲間(?)たちもみな、平均年齢60歳以上の英国名優ばかり!(ひとりだけ若手もいますが)

一体イギリスはどうなってんだ!? と嬉しい悲鳴を上げつつ、本作『キング・オブ・シーヴズ』(18)の魅力を紐解いていきましょう!

実際にイギリスで起きた
ハットンガーデン事件の映画化



『キング・オブ・シーヴズ』は、2015年に実際に起きた事件の映画化です。

イギリス髄一の宝飾店街ハットンガーデンで起きた、被害総額125億円相当の大規模な金庫破り!

これを実行したのが、何と平均年齢60歳以上のオールド窃盗集団だったのでした。

この「最高額・最高齢の金庫破り」のリーダー格ブライアンを、マイケル・ケインが演じています。

かつて“泥棒の王(キング・オブ・シーヴズ)”と謳われていたブライアンですが、老いた今は裏社会から足を洗い、愛妻と平穏な日々を過ごしていました。

しかし、その妻が突然他界。

葬儀に現れたかつての仲間たち、そして若き知人バジル(チャーリー・コックス)との交流の中から、ブライアンは再び犯罪の道へ舞い戻ることになっていきます。

それは、ロンドンの宝飾店街ハットンガーデンの貸金庫から1400万ユーロ(およそ25億円)相当の宝石や現金を奪取することでした。

ブライアンはテリー(ジム・ブロードベント)、ケニー(トム・コートネイ)、ダニー(レイ・ウィンストン)、カール(ポール・ホワイトハウス)に声をかけ、さらにはビリー(マイケル・ガンボン)も加わり、かくして平均年齢60歳以上の窃盗集団を結成。

メンバーは綿密な計画を練り、いよいよ2015年4月2日、計画を実行に移すのですが……⁉

英国を代表する名優たちの
いぶし銀の演技合戦!



本作は冒頭に記したように“ハットンガーデン事件”なる実際に起きた事件の映画化です。

ただし、それにあたって過剰にドラマチックな脚色などを加えることは避け、あくまでも事実をベースにその全貌を再現していくので、ハリウッド・アクション・サスペンス大作のようなカタルシスはありません。

実に淡々と悪事と陰謀、抜け駆け、裏切りなどが進行していきます。

しかし、では面白くないのかと問われたら当然答えはNOで、それはやはりマイケル・ケインを筆頭とするイギリス映画演劇界を代表ずる名優たちのいぶし銀の魅力がじわじわと、そしてドラマの進行に順応するかのように濃厚に、赤裸々に醸し出されていくからに他なりません。

その意味でも本作はイギリス映画ならではの気品にあふれた快作であり、泥棒を描いてもジェントルなのです。



監督はドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』(08)でアカデミー賞&英国アカデミー賞を受賞、そしてホーキング博士を描いた『博士と彼女のセオリー』(14)でも英国赤デイー賞を受賞した俊英ジェームズ・マーシュ。

今回の6人の老名優(+若手が1人)と一緒に、そして一気に仕事して見ての感慨などを個人的には聞いてみたいものです。

中でも、やはり7人の中でも最高齢のマイケル・ケイン。

「オファーされた役は原則的に断らない」ことで知られる彼は、若き日からそのポリシーゆえに成功作も失敗作も多いという、そのふり幅の広さで毎回映画ファンをハラハラドキドキさせてきたものです。

でも、だからこそ今回の彼はどうなのか? といった興味も含めて、常に見守り応援していきたい存在となって久しいものがあるのでした。

そして年を経れば経るほど、キャリアが年輪のごとき深みを帯び、今では彼がそこにいるだけで映画そのものが成立するほどのオーラを放ち得ているのです。

もちろん本作も例外ではなく、さらに今回は長年ともに芝居の世界で競い合ってきた仲間たちとがっぷり組んでの演技合戦!

これを見ることが叶う今の映画ファンの特権的愉悦感に浸りながら、じっくりとオールドなワル集団の犯罪の成り行きを見届けていただければと思います。

 (文:増當竜也)

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