『モンテッソーリ 子どもの家』レビュー:斬新な教育メソッドの本質を探るドキュメント
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
イタリア出身のマリア・モンテッソーリが20世紀初頭に考案し、今では世界中に普及している《モンテッソーリ教育》。
日本では棋士の藤井聡太王位も受けていたという、このメソッドの本質を探るべく、フランス最古のモンテッソーリ学校の幼児クラスに2年3か月間密着したドキュメンタリー映画です。
このクラスでは2歳半から6歳までの子どもたちが、それぞれ自分たちの意思で教具を選び、誰にも教わることなく自由に遊んでいきます。無理に次のステップに進ませることもしません。
正直、既にとうのたった大人からすると、目から鱗が落ちるほどに斬新な教育法の数々に圧倒されること必至。
また映画そのものの魅力として、このメソッドを楽し気に実践していく子どもたちの、何とも愛くるしく可愛らしいこと!
実はメソッド云々を抜きにしても、この子らの遊んでいる姿を見ているだけで、あっという間に上映時間が終了してしまうほどの魅力がみなぎっているのが本作のもっとも素敵な長所であり美徳でもあるのですが、そうした魅力をもたらしてくれているのが《モンテッソーリ教育》であることも間違いのない事実でしょう。
メイキング的な面で興味をそそられたのは、キャメラを向けられた子どもたちが身構えたり集中力を妨げられたりしないように、常に注意を払いつつ撮影を敢行していたということです。
やはりキャメラというものは、年齢を問わず人を“役者”にさせてしまう魔力があるようで、それを発動させることなく子どもたちを”子ども”のまま映像に収めることとは、実は相当に繊細な作業なのかもしれません。
(文:増當竜也)
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