2021年03月18日

『椿の庭』レビュー:静謐な時間の流れがそのまま映画に

『椿の庭』レビュー:静謐な時間の流れがそのまま映画に


写真家が映画監督となる時



写真家として知られている人たちが映画を手掛けると言うこと過去にも例があります。すぐに思いつくのは蜷川実花でしょうか?『さくらん』で2007年に長編監督デビューするとその後、『ヘルタースケルター』『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』とこれまで4本の長編映画を手掛けています。また多くのPVなども監督。AKB48の「ヘビーローテーション」などは有名ですね。

紀里谷和明も写真家であると同時映像作家としての顔を持っています。『CASSHERN』『GOEMON』の煌めくようなCGの嵐は今も強い印象に残っています。海外資本で忠臣蔵を翻案した『ラスト・ナイツ』という映画も撮っていましたね。他にも若木信吾、操上和美などなど調べ始めればきりがありません。

海外の例で言えばさらに深くサイレント時代のマン・レイなどまでさかのぼってしまいます。ヴィム・ヴェンダースやソフィア・コッポラなども写真家としての顔を持っていますね。ジャーナリストとしての視点からドキュメンタリー映画を手掛ける監督も少なくありません。

素人感覚では一瞬を一枚に切り取る写真と動画の連続である映画とでは大きな違いがあるように感じますが、写真家の多くは一枚の写真の裏側に多くのバックグランド・背景を込めているもので、映画監督という職業と写真家という職業は、実は遠いようで近いような存在なのかもしれませんね。

本作『椿の庭』では上田義彦監督が本編撮影も担当、自ら写真と映画の橋渡し役を担っていると言えるかもしれません。

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