映画コラム

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2021年04月19日

【コナン最高記録達成】『緋色の弾丸』3日で興収22億&動員153万人|100億突破へはコロナだけが懸念?

【コナン最高記録達成】『緋色の弾丸』3日で興収22億&動員153万人|100億突破へはコロナだけが懸念?



2021年4月16日に無事、公開された『名探偵コナン緋色の弾丸』は初日の興行収入が前作の『紺青の拳』の初日興行収入の144%の数字を叩き出し、ついにシリーズ初の興行収入100億円を突破する可能性が見えてきました。

『名探偵コナン』の劇場版は現在、7作品連続で興行収入の記録を伸ばし続け前々作『ゼロの執行人』で91.8億円を記録し、90億円の大台を突破。そして前作『紺青の拳』では93.7億円を稼ぎ出し、記録をさらに伸ばしました。そして、シリーズ24作目『緋色の弾丸』では日本映画史に37本しかない“100億円映画”を目指します。

今回は過去作などの公開初日3日間の数字などを比較して、大台突破がどのくらい現実味があるのかをまとめていきます。
 
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コナン

ロケットスタートへの完璧なお膳立て

劇場版の『コナン』は毎回人気のキャラクターをメインゲストに据えています。前作の『紺青の拳』では怪盗キッドと京極真、前々作の『ゼロの執行人』では安室徹がそうでした。

今回の『緋色の弾丸』ではFBI捜査官の赤井秀一を筆頭にした赤井家の面々がメインゲストになっています。



新型コロナウィルスの感染拡大の影響で1年の公開延期となった『緋色の弾丸』ですが、その期間を利用して赤井家をクローズアップしたテレビシリーズの特別総集編の『名探偵コナン緋色の不在証明』を期間限定で公開することが緊急決定。すると、1年間映画の『コナン』を我慢してきたファンたちは劇場に殺到、結果、興行収入12億円以上、動員100万人(推定)という数字を叩き出しました。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や『シン・エヴァンゲリオン 劇場版』のヒットを伝えるニュースで若干、感覚のマヒが起きていますが、普通に考えれば興行収入10億円を超えると言うことは大成功の部類に入ります。ましてや『緋色の不在証明』はテレビシリーズの総集編であって、こういう形態の映画がここまでヒットすることは異例の出来事です。

このヒットを受けてなんと『緋色の不在証明』は公開期間の延長、公開規模の拡大を発表するまでに至りました。『不在証明』の上映はファンの飢餓感を見事にとらえた一方で次に控える大本命『緋色の弾丸』への期待値をひたすら高め続ける効果を生むことになりました。
さらに地上波・金曜ロードショー枠で赤井秀一にフォーカスした劇場版18作目『異次元の狙撃手(スナイパー)』を放映し、『緋色の弾丸』に向けて完璧なお膳立てが整いました。

そして、『緋色の弾丸』公開へ

『名探偵コナン緋色の弾丸』の明らかになった公開3日間の興行収入は22.1億円、観客動員は153万人というシリーズ最高のロケットスタートとなりました。



これを『ゼロの執行人』(最終興行収入91.8億円、スタート3日間興行収入16.7億円、観客動員128万人)と『紺青の拳』(最終興行収入93.7億円、スタート3日間興行収入18.8億円、観客動員18.8億円)と比較してみます。

すると対『ゼロの執行人』では興行収入で132%、観客動員で119%となり、さらに『紺青の拳』と比較すると興行収入では117%、観客動員では105%となります。

『緋色の弾丸』はシリーズ最大の出足を切ったことが分かります。

さらに興行収入141.9億円を稼ぎ出した『天気の子』と比較しても興行収入で134%、観客動員で133%となり。

これらの数字から『緋色の弾丸』は興行収入100億円という大台をその“射程圏内”にとらえただけでなく、それをさらに超えてくるのではないかと思われます。

 今後の“弾丸”の行方は?

 今後の『緋色の弾丸』ですが、このままゴールデンウイークに突入していくので、ハイレベルで安定したヒットが続くと思われます。

最大のライバルは1週間後に公開となる『るろうに剣心 最終章 The final』でしょう。『緋色の弾丸』同様IMAX、MX4D、4DXといったラージフォーマットシアターでの公開も予定されていて、ここの分捕り合いが見ものです。その影響で『シン・エヴァンゲリオン 劇場版』のIMAX上映は終わってしまいましたが…。

もう一つゴールデンウイークの目玉になると思われていたマーベル大作『ブラックウィドウ』が4月29日の公開を延期したこともあってゴールデンウイークは『コナン』と『るろうに剣心』の2大ヒットタイトルが引っ張ることになると思います。

ゴールデンウイークが明けるタイミングでガンダムシリーズの最新作『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』が5月7日に、そして5月14日からは『ゴジラVSコング』が公開されますが、どちらもゴールデンウイーク明けで、『コナン』にとっては1ヶ月近く後の作品となるので、初動の勢いが消されるようなことはないと思われます(ラージフォーマットシアターについては取って代わられるかもしれませんが…)。



むしろ、気になるのはやはりというべきは、新型コロナウィルスの感染再拡大の影響でしょう。まんえん等防止重点措置が東京を含めた各所に適用されましたが、新型コロナウィルスの変異種の感染力の強さも気になり、三度目の緊急事態宣言ということも俄然現実味を帯び始めています。そうなると夕方以降の上映回やレイトショーの上映に影響が出てしまいます。

『コナン』の最大の特徴であり、右肩上がりにヒットし続ける要因にファンの卒業が少ないということがあります。

大抵、子供向けのアニメーション映画は自分が子供の時に見て、ある程度の年齢になったら卒業して、今度は自分が子供を連れてくるというのがパターンです。だから、自分が見ていた『ドラえもん』と声が違う!?などということが起きるのです。

しかし『コナン』はファンの卒業が少なく、大人に連れてきてもらった後は、自分がお年玉やお小遣いで見に行き、さらに成長しても『コナン』はデートムービーの選択肢にも成りうるほどです。

そんな卒業しないファンたちは大学生や社会人になり、夕方以降の回でないと平日は映画館に行けないということが起こります。

夕方以降の回やレイトショーはそんなファンをずっと続けている人たちの受け皿になっていました。緊急事態宣言が発令されて、早い時間帯の終映が求められるようになってしまうとここの層が完全にあぶれてしまいます。

年々この層が多くなり『コナン』を支えていることを考えると緊急事態宣言が出ないことを祈るばかりです。もちろん感染拡大は抑えなくてはいけないことなので、難しい判断のすることになるのですが…。

(文:村松健太郎)

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