『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』レビュー:闇のテイストが色濃くなった劇場版第2弾!
『賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』レビュー:闇のテイストが色濃くなった劇場版第2弾!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
※本作品は、2021年4月25日現在では、4月29日より公開とされております。新型コロナウイルスの影響で延期になる可能性もございます。最新情報は公式HP等をご確認ください。
2本のTVシリーズ、1本の劇場版を経て『賭ケグルイ』が再び映画館の銀幕にお目見え!
初見しながら思わされるのが、ギャンブルの女神のごときヒロイン蛇喰夢子に扮する浜辺美波をはじめとするレギュラー陣それぞれの息の合った演技合戦が、ますます好もしく映えわたっていることでしょう。
(現在アマゾンプライムで配信中、森川葵扮する早乙女芽亜里を主人公に据えたスピンオフ『賭ケグルイ双(ツイン)』が実現できたのも、そうしたレギュラー陣が個々のキャラを把握し得ていることの証左ともいえます)
しかし、一方では今回そうした好もしさをぶち壊そうとするかのように登場する、藤井流星の視鬼神真玄が醸し出す破壊的ストレンジャーぶりが、シリーズの安定感に揺さぶりをかけつつ、従来とは異なる闇の刺激を与えてくれています。
そう、今回の作品はこれまでのものに比べてかなりダーク・テイストが強まっており、その分英勉監督の個性も際立つ結果になっています。
一見コミカルな作品の印象が強い英勉監督ですが、実は『貞子3D』2部作など時折ふっとホラー作品を手掛けることもあり、昨年も『前田建設ファンタジー営業部』『映像研には手を出すな!』『ぐらんぶる』といったブットビ青春コミカル快作群を経て急に『妖怪人間ベラ』を発表するなど、なかなかあなどれないところがあるのでした。
その意味では、これまで陰と陽のバランスを巧みに保ちながら、荒唐無稽な設定の中から青春の躍動をエネルギッシュに体感させ得てきた『賭ケグルイ』シリーズではありましたが、今回は陰テイストに若干舵を切りながら、さらなる魅惑の飛躍を試みようという実験的なものまで感じさせられます。
それが成功しているか否かは、実際にその目でお確かめください。
個人的には池田エライザ扮する生徒会長・桃喰綺羅莉率いる生徒会が一枚岩ではなかったことが改めてはっきりしていくあたりが妙味。
あと『ディア・ハンター』(78)以降、一気にその存在が広まったロシアンルーレットではありますが、これが始まると画としてのスリリングな情緒も含めて一気に映画的になっていくのは、不思議といえば不思議な映画的事象ではありますね。
(文:増當竜也)
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(C)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (C)2021「映画 賭ケグルイ2」製作委員会