『地獄の花園』レビュー:ただただくだらない面白さで世の憂さを忘れさせてくれる、さすがはバカリズム!の逸品
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『地獄の花園』レビュー:ただただくだらない面白さで世の憂さを忘れさせてくれる、さすがはバカリズム!の逸品
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
『ビー・バップ・ハイスクール』(85)や『クローズZERO』(07)などのヤンキーものをOL世界に置き替えるという、常に発想の転換ギャグで一世を風靡し続ける才人バカリズム脚本ならではの作品です。
こういったくだらなさもまた映画の醍醐味であり、それをどこまで許容できるかもまた映画ファンの度量の深さを試されているような気もしてなりません。
特にバカリズムの場合、自らOLに扮してのブログ&TV&映画「架空OL日記」を発表している分、その世界に関しては自分なりの酸いも甘いも含めた認識をかなり極めているはずで、その延長としてOL社会にヤンキー抗争の構図を当てはめていくというカリカチュアライズされた発想も十分納得できるのでした。
ドラマとしての構成もなかなか秀逸で、初見の際はかなり意表を突く展開だなとも唸らされましたし、一種のバラエティ・ショーであることに何らためらいを持たないケレン味まみれの演出も、ここまで徹底してくれると映画的であるといえるかもしれません。
本来麗しきキャスト陣にかなりの格闘をやらせているあたりも好感が持てる一方で、遠藤憲一をはじめとする男優たちの常軌を逸したOLぶりは、見る側に「これって何かが間違っているのでは?」と倒錯した想いを抱かせてしまう意味でも、実にアッパレの極みでありました。
とにもかくにもくだらなく面白いという、ただそれだけの作品です。
そして、それだけのことを成し遂げるのが実はいかに大変なことであり、意義のあることであるのかまでも、とくと痛感させられてしまう逸品なのでした。
とかく尋常とは思えないニュースばかりの社会に対して日々の鬱屈を募らせつつ、もはや感情を爆発しかねいほどの昨今、この作品で大いに憂さを晴らしてください!
(文:増當竜也)
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(C)2021『地獄の花園』製作委員会