©和月伸宏/集英社 ©2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning」製作委員会
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映画コラム

REGULAR

2021年06月05日

【映画VS原作】『るろうに剣心 最終章』2作について|映画でカットされた事、色濃く出た事…

【映画VS原作】『るろうに剣心 最終章』2作について|映画でカットされた事、色濃く出た事…

 

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』×「るろうに剣心“追憶編”」

思っている以上にストレートな映画化となった『るろうに剣心 最終章 The Beginning』




大きな改編や、シリーズ1作目にすでに「“人誅編”」のキャラクターを登場させたために新規キャラクターを出すなど大きな改編があった『るろうに剣心 最終章 The Final』に対して『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は原作の「“追憶編”」にかなり忠実です。

オープニングなどには実は映画オリジナルの描写もあったりするのですが、『The Beginning』の主人公が緋村剣心ではなく緋村抜刀斎であることを強烈に突き付けるという部分では原作とは変わりありません。

映画を観進めていっても原作では「割愛されたけど、詳しく語るとこうなるのだろうな」と感じさせるパートになっています。

もともと、「“追憶編”」の映像化に強い思いを抱いていた主演の佐藤健と大友啓史監督は、原作に対して非常に忠実に映像化しています。それはクライマックスの“闇乃武”の一団との雪山での大激闘でも変わりません。

オリジナル要素 VS新選組・沖田総司




原作に忠実な『るろうに剣心 最終章 The Beginning』ですが、オリジナル要素として大きく膨らませているのが、幕府方最強の剣客集団・新撰組と対峙することでしょう。

斎藤一との因縁は原作でもに大きく時間を割いて描かれていて、それは映画5部作でも変わっていませんね。
結果としてその斎藤一を演じた江口洋介は映画『るろうに剣心』5部作全てに出演している唯一のレギュラーメンバーとなりました。

また、原作では回想シーンの数コマしか登場しなかった新撰組の天才剣士・沖田総司が映画ではしっかりと登場し、村上虹郎が演じています。

村上虹郎は映画『武曲MUKOKU』『燃えよ剣』でも見事な殺陣を披露しています、
『燃えよ剣』での村上虹郎はなんと、人斬り以蔵役こと岡田以蔵役です。佐藤健もNHK大河ドラマ『龍馬伝』(メインディレクターは大友啓史監督)で岡田以蔵を演じているので、今回の対決は“岡田以蔵俳優”対決でもありますね。

この人斬り抜刀斎 VS 沖田総司の闘いは、天才剣士同士『The Beginning』の屈指の名勝負となっています。

その一方で、実は登場回数の多さのわりに、剣心と斎藤一が本格的に刃を交わらすことがないのが面白いところです。原作では一大バトルを繰り広げるエピソードがあります。

『るろうに剣心 最終章 The Final』は長大な「“人誅編”」を約2時間という映画のフォーマットに合わせるために取捨選択が多く行われました。

対照的に『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の方はもともとの原作の「“追憶編”」のボリュームが映画化に合わせてちょうどよかったことや、主演&監督コンビの「“追憶編”」へのリスペクトの気持ちもあるせいか原作に対して意外なほどのストレートな映画化になっていいます。

ちなみに原作の「“追憶編”」のラストでは抜刀斎から裏の人斬りを引き継ぐ形で若き日の志々雄真実が登場するので、映画でも藤原竜也サプライズを期待したのですが、残念ながらそれはなかったです。

リピーターになったなら・・・。

『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は一回目は素直に映画を浴びるように体験していただきたいです。もしリピーターになられるようであれば、映画『るろうに剣心 最終章』2部作の原作からの“アレンジのされ具合い”と“されなさ具合い”を気にしながら観るというのも楽しみ方の一つになるのではないでしょうか?

(文:村松健太郎)

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