『青葉家のテーブル』レビュー | 子供と大人のひと夏の宿題
月間200万人が訪れるECサイト「北欧、暮らしの道具店」が製作し、600万回以上再生された短編ドラマ『青葉家のテーブル』が長編となって帰ってきます。
主演の西田尚美、寄川歌太、忍成修吾、久保陽香、鎌田らい樹、大友一生に加えて、市川実和子、栗林藍希、上原実矩、細田佳央太、片桐仁が劇場版に合わせて登場します。
監督は2021年8月に『サマーフィルムにのって』の公開も控える松本壮史。
あらすじ
シングルマザーの春子(西田尚美)と、その息子リク(寄川歌太)、春子の飲み友達めいこ(久保陽⾹)と、その彼氏で小説家のソラオ(忍成修吾)という一風変わった4人で共同生活をしている青葉家。北欧の家具と観葉植物に囲まれ、朝食は当番制で毎回個性的。夕食は春子が丹精込めたメニューが並びます。
夏のある日、春子の旧友の娘・優子(栗林藍希)が美術予備校の夏期講習に通うため、青葉家へ居候しにやって来ます。
そんな優子の母・知世(市川実和子)は、ちょっとした"有名人"。知世とは20年来の友人であるはずの春子だが、どうしようもなく気まずい過去があり…。
子供と大人の夏の宿題
この映画は子供と大人の夏の宿題の物語です。
宿題と言っても科目ごとの課題や、読書感想文のような類のものではありません。しかし、彼らにとっては将来や夢、これまでの生き方などに大きく関わってくる物事ばかりです。
リクと同級生のまどか、ヒロはサンプリングした音源をもってバンド活動のようなことをします。
青葉家にやってきた優子は美術予備校の夏期講習に通う中であかねや雄大といった将来・美大を目指す二人と出逢います。
春子は優子を預かったことをきっかけに20年近く音信不通状態だった優子の母・知世のことを考えるようになります。
宿題の行方
リクたちはカバーコンテストに応募しようと毎日のようにヒロの家のお寺の本堂に集まり、優子に協力を仰いだりしますが、最終的にエントリーには踏み切れません。
優子は美術予備校に通う、他の生徒たちのモチベーションの高さに気後れしてしまいます。
あかねは絶対に美大に進むと宣言し、雄大はデザイン事務所でインターンをしていたりと着々とキャリアを積んでいます。そんな姿を見た優子は自分はそこまでのモチベーションがあるわけでないという気持ちにもなってしまいます。
春子は、優子を預かることをきっかけにその母・知世のもとに向かいます。春子と知世は20年来の友人ではありますが、あることをきっかけに実質音信不通状態になっていました。人気の食堂を営んでいる知世ですが、元々、食堂は春子と知世の夢でもありました。
リクたち、優子たち、そして春子と知世は、思っていた形と違う形ではありましたが、自分たちなりの形を創り上げます。
いつになっても人生には宿題があるんだなと感じさせる一本になっています。
そして、やはりというか当然なのですが、北欧家具・カトラリーのおしゃれさ。実際にやってみるのは大変そうですが、観葉植物と北欧家具、カトラリー、ファッションに囲まれた生活というのはこういう風な感じになるんだと言うことが良くわかります。
前日談にあたるWEBドラマはYouTubeで無料公開されているのでこちらもぜひ。
(文:村松健太郎)
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