2021年07月03日

塚本晋也×諸星大二郎×沢田研二による伝説のジュヴナイル・ホラー『ヒルコ/妖怪ハンター』まさかのリバイバル!

塚本晋也×諸星大二郎×沢田研二による伝説のジュヴナイル・ホラー『ヒルコ/妖怪ハンター』まさかのリバイバル!


塚本監督メジャー進出第1弾
劇中に見出せる作家的資質


実はこの作品、1989年に発表した自主映画『鉄男』がローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞するなど、時の新鋭として世界的な話題を集めていた塚本晋也監督のメジャー映画第1弾で、当時も今も企画から監督・脚本、スタッフワークも大半は自分で手掛け、主演することもしょっちゅうという塚本監督としては、初めて外野からオファーを受けて演出の任にあたった、いわば依頼仕事でもありました。



しかし、これはもうオファーした側の目のつけどころの確かさに驚かされますが、そもそも『鉄男』を見たときの諸星ファンの第一印象が、諸星の手塚賞受賞作「生物都市」とどこか似てるというもので、だからこそ彼が「妖怪ハンター」を監督すると知らされた原作ファンの多くは、なるほどと大いにうなづけるものがあったのでした。
(もっとも塚本監督自身は「生物都市」を読んではいたものの、『鉄男』制作時はすっぽり頭の中から抜けていたとのこと)

幼少期から水木しげるの妖怪ものなど幻想怪奇の世界に興味を抱き続けていた塚本監督は、諸星ワールドを巧みに換骨奪胎した本作の後も江戸川乱歩原作の『双生児』(99)や、乱歩的探偵ものをめざした自身の小説の映画化『悪夢探偵』2部作(07&08)を果たしています。



常々「肉体」「都市(空間)」「暴力」といった論点で語られることが多い塚本監督作品ですが、本作もまたこの世とあの世の狭間といったある種の一種異様な「空間」の中で「肉体」がどのように変化していき、そこにどのような「暴力」が伴われては哀しみが増幅していくのかを問うていきます。

さらにはそこに「思春期の夏」という二度と戻ってこない郷愁までもたらしながら……。

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