「青天を衝け」パリ編、感想・解説集|第22-25話について、ネタバレあり
第23話のあらすじ
フランスからの借款は消滅したが、篤太夫(吉沢 亮)が当面の資金繰りに奔走し、昭武(板垣李光人)は留学を続けていた。家庭教師のヴィレットの教えに従い、篤太夫たちは髷(まげ)を落とし、刀も外し、洋服を着ることに。同じころ、日本では西郷(博多華丸)が軍備を整え、岩倉(山内圭哉)と大久保(石丸幹二)が王政復古への動きを進めるが、慶喜(草彅 剛)は先手を打って政権を帝に返上してしまう。一方、血洗島では篤太夫の養子になった平九郎(岡田健史)が、江戸に向かおうとしていた。第23話の感想
藤野涼子演じる渋沢てい(栄一の妹)と、岡田健史演じる平九郎。ふたりの恋がやっと実ってよかったよかった……と胸を撫で下ろした冒頭。渋沢家の養子となり、同じ屋根の下で暮らすことになるかと思いきや、万事が済むまで平九郎は江戸に移ってしまうらしい。ていの恋心はどうなるのか……と焦っていたところだったので、ホッと安心した。そんな矢先、徳川慶喜が政権奉還した。政治の中心を担うのを幕府から朝廷へと移す決意をしたのだ。この決定に、幕府は混乱に陥った。「慶喜が徳川を殺したのだ」と呪いながら自死に走ろうとする者も出るなかで、しかし、慶喜はもちろん乱心したわけではない。
「すべてが敵のように思えたこともございました」
「しかし、今こそ心を広く開き、越前殿や多くの人々の力を借りたい。心より願っておりまする」
慶喜はどこまでも日本を案じていた。自身が政治の中心にいられなくなっても、たとえ命が潰えることがあっても、その後の日本を想像し思いを馳せていたのだろう。本来、政治とは目先の利益を追い求めたり責任のなすりつけ合いをする場ではない。地位や権利を自ら手放して見せることで、それが決して重要なことではないと教えてくれているかのようだ。
新しい政治の形が、日本に対しどのような効果をもたらすのか?
遠く離れたパリにいる栄一たちには、日本の様子がわからない。栄一たちは栄一たちで、日本のためになるようパリで次々と新しいことを学んでいた。人々の階級に対する考え方もそのひとつだ。
日本では武士・商人・百姓など身分が明確に分かれている。その身分でしかできない仕事を淡々とやり続けるしか、できることはない。下の階級の者が上の階級の者へ物申すのもご法度だ。日本に当たり前のようにはびこっている身分の差が、パリにはないーー海外の地で感じる風通しの良さに、栄一はその身をもって気づく。
郷に入っては郷に従え、という諺があるが、まさに日本人は郷に従うプロだろう。たとえ異国の地の文化であっても、自国にとって有意義だと思えば遠慮なく取り入れる。見方にはよっては節操がないと言われてきたこの姿勢だが、そのおかげで今の日本が出来上がったと言ってもおかしくはないのだ。
そんななか、日本では戦争が勃発しようとしていた。遠く離れたパリで日本を思う栄一たち。オリンピックの関係で次回の放送が少々先になってしまうのが、惜しいところだ。
第23話で描かれたことダイジェスト
※本項目はシナリオブックを元にまとめております。・当面必要な資金が小栗から何とか届く
・栄一、昭武の諸国訪問の予算減を提言
・昭武、諸国訪問へ出発
・外国奉行、栗本鋤雲が日本から到着
・栗本=借款へ注力、栄一=旅を継続、杉浦=帰国
・その頃日本では、原市之進が暗殺される
・薩摩が倒幕への準備を加速させる
・慶喜、大政奉還を行う
・天皇による王政復古の大号令
・一方パリ、一同洋装へ
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