インタビュー

2021年07月25日

「スーパーヒーロー戦記」白倉プロデューサーに篠宮暁が直撃!「一人ひとりに1年間主役を務められてきた重みがある」

「スーパーヒーロー戦記」白倉プロデューサーに篠宮暁が直撃!「一人ひとりに1年間主役を務められてきた重みがある」





篠宮 『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』や『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』のように、現実世界も絡めていくところに白倉さんらしさを感じるのですが。
 
白倉 いや、そうでもないんですよ。アニバーサリーを銘打ったときは、どうしたって劇中の外の出来事を扱わないわけにはいかないんです。仮面ライダーたちがレジェンドなのは、現実世界の話じゃないですか。現実世界から見たらシリーズを立て続けにやってるように見えるけれど、仮面ライダーが放送されていない世界にいる登場人物たちにとってはそうじゃないわけだから。

篠宮 この作り方は、どの辺からですか? 『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』のときも、「もしも仮面ライダーがいなかったら…」みたいなお話でしたよね。

白倉 そうですね。あれは40周年ということで。40周年とはなんなのか、40周年ってどういう表現をしたらいいのかというのを考えたんですが、それは毎回同じですね。平成20作とは、いったい何を意味するのか、という話で。

映画の内容が白紙な状態で、宣伝担当が特報だとかを作るんですよ。『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』のときは、「時代が終わる。すべてがはじまる。」というコピーがついて。それを壁に貼って、これは一体どういう意味なんだろうって考えるところからでしたね。



篠宮 はははは! そこから作るんですか?
 
白倉 何が終わって、何が始まるんだろう? 時代っていうのは、すべてっていうのは、一体なんだ?っていう。そこに嘘をついてないような作品にしなきゃいけない、と。今回もそこですかね。仮面ライダー50周年、スーパー戦隊45作品記念というのを壁に貼って。これはどういう意味なんだって。

篠宮 なるほど。現実世界を取り入れないことには、やっぱり嘘になっちゃう、みたいな。

白倉 アニバーサリーもお祝いだというけれど、誰にとってのお祝いなのって。映画やテレビで独りよがりに祝うんじゃなくて、お客さんにとっての周年っていうのは一体何なんだろう、というのを意識して、ちゃんとお客さんにとってのお祝いになっていないといけないと思ってるんですよね。

なので、すごくわかりやすくお客さんそのものの視点を取り入れてるわけですけど、現実を描きたいわけじゃなくて、お客さんが現実にいるっていうことのほうを大事にしたいんですね。

篠宮 鈴木福さんの役に、白倉さんはじめ、いろんなスタッフさんの愛情とかリスペクトとかが、ぐっと込められていると思うんですが、そのあたりはどのように作り上げましたか?
 
白倉 やっぱり周年という話になるんですけど、50周年記念も、1号からもう50年経ちましたっていうこと。つまり、全部過去形にしちゃうっていうことでもあるんですよ。そうじゃなく、未来形で向き合うってことができないのか、というところですね。『仮面ライダー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』が始まる前に立会うことができたら一番いいかな、っていうところからの若き石ノ森章太郎という発想だったんですよ。



普通、『石ノ森章太郎伝』みたいなものの中に結果的に生まれてきた仮面ライダーの作品が入ってくるわけですけど。逆に『仮面ライダー』という作品の方に原作者が出てくるっていうのはちょっと、本末転倒な気もするけれど、そうすることで鈴木福くんが演じた役の視点からすると、未来形のものとして『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』が描けるし、それが我々から見ると周年、始まりというものを振り返ることができる。石ノ森章太郎先生を始めとする当時の制作者にとっては、それは現在形であり、未来系だったんだっていう、そういう視点を観客側にできないかなと。

評論家じみた感じで、過去の作品として考えちゃったり取り扱っちゃったりしちゃうジレンマはあるんですけど。 それは仕方がないものの、当時、『仮面ライダー』を作った人たちは、50年続くシリーズの1作目だって思ってやっていない。ところが、シリーズ化されていくといつのまにか、長い歴史の中の新しい1ページを作る、っていう感覚にどんどんなってくるじゃないですか。これは我々自身に対する反省でもあるけど、そういうことも踏まえられないかなぁ、と。いろんな思惑が入り乱れつつ、無理やりまとめると多少破綻もあるけれど、詰め込めるだけ詰め込んだっていう感じですよね。

篠宮 今作もですが、アニバーサリー作品になると田﨑竜太監督がきっちり締めてくれるという印象があるんですが、信頼されてる部分が大いにあったりするんですか?
 
白倉 田﨑監督はものすごくクレバーというか、理知的な人でもあり、ノリもあり、チャレンジ精神もあり。何でもできるんですよね。変な人ですけど、彼と組めばどこまででもいけるっていう感覚がありますね。それは、他の監督では行かないって意味ではないですけど。

篠宮 たくさんのシリーズを撮ってきて、ヒーローを知っているってことも大きいんですかね。

白倉 それは大きいですよね。アニバーサリーの意味合いを田﨑監督は自分の肉体を持って知っている。大集合って、どうしてもかつての主役だった人たちを十把一絡げに集めたっていう感じになってしまう。でも、その一人ひとりに1年間主役を務められてきた重みがあるんだっていうことが、身に沁みていらっしゃいますよね。何十人いても、全員が主役なんだっていう意識で描かれてますから。これは非常に大切なことです。

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