『サイコ・ゴアマン』レビュー:国産特撮ファン必見! 極悪宇宙人を操るブットビかっとび少女の武勇伝!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
いやはやなんとも、楽しくぶっとんだSF映画です。
太古の封印が解かれて世界に蘇った極悪非道の残虐宇宙人ではありましたが、何とそんな銀河の破壊者たる暗黒覇者を自由自在に動かせてしまう宝石を、さらなる極悪非道(?)でおませな女の子ミミちゃん(ニタ=ジョゼ・ハンマ)に奪取されてしまったことから、もうハチャメチャ極まる大騒動が持ち上がっていくというもの。
ミミちゃんは世界征服とか宇宙の支配とかどうでもよく、ただただ自身の欲望と快楽のために遊んでいる、いわばジャイアンみたいな女の子なので、それゆえにサイコ・ゴアマン(略して「PG」!)と名付けられた暗黒覇者はもちろんのこと、周囲の人間たちものび太さながらの過酷な運命をたどっていくことに!?
さらには正義の勢力ガイガックス星のテンプル騎士団が、なな何と!サイコ・ゴアマンに輪をかけたかのように正義のためならどんな非道もお構いなしという、これまた「正義」という概念へのアンチテーゼもここまでくるともはやギャグといったありさまで、まあ言ってみれば「人造人間キカイダー」の悪役ハカイダーと「仮面ライダー」悪の秘密結社ショッカーが争っているようなテイストにTV(もしくは原作漫画)版「ドラえもん」のごとき冒険武勇伝的情緒が加わった作品なのです。
宣伝文句に「SFゴアスプラッターヒーローアドベンチャー」とあったので、個人的にスプラッタ映画が苦手なこちらは正直鑑賞に戸惑いましたが、いざ見始めるとあたかもファミリー映画のような装いでそれらが成されるのでさほどグロ不快に思えず、むしろ全体的にチープな特撮や着ぐるみ宇宙人キャラのグロ可愛い造型など、まさに日本産特撮ヒーローものの楽しさを満喫できます。
案の定、監督のスティーヴン・コスタンキは「仮面ライダー」はもとより日本の特撮もののファンで、さらには「80年代と90年代の低予算ジャンル映画への私の愛情から生まれました」と公言していることに嘘偽りは微塵も感じられない、こだわりのオタクぶりを存分に画面に注入しまくり!
さらには主演のニタ=ジョゼ・ハンナの無垢で可愛らしい残虐思想の数々に、そういえば「ドラえもん」や藤子不二雄の子ども世界って本来もっと残酷だったりしてたよな、なんてことも思い起こさせたりしてしまいました!?
グロイ映画は苦手という方も、ちょっと勇気をふるって映画館の中に入っていただけたら、そこには現代社会の世の憂さを存分に吹き飛ばしてくれるに足る、くだらなさと懐かしさと面白さが歓迎してくれることをお約束します!
(文:増當竜也)
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