映画作りを描いた映画の魅力!「3つ」のポイント!!


3:映画の見え方が変わる


映画製作を描いた作品の中には、映画そのものの見え方が大きく変わるものも多い。




その代表例が、近年、日本映画界に大きなブームを巻き起こした『カメラを止めるな!』である。
本作では前半パートの後に後半パートをみることで作品の見え方が大きく変わる。
作品作りにおけるトラブルや大勢が協力して何かを作ることの素晴らしさ。
そんなテーマを描いた本作を観ると、今後、鑑賞する映画そのものの受け取り方が大きく変わっていくだろう。

→カメラを止めるな! 公式サイト



自主製作映画の出演オファーを受けた冴えない古着屋店員の恋愛劇『街の上で』も、これらの作品を語る上で触れておきたい一作だ。

「誰も見ることはないけど 確かにここに存在してる」というキャッチコピーが象徴するように、本作では映画製作の過程で取りこぼされてしまった"存在"が重要なテーマとなっていく。
本作を観終えた後、私たちはスクリーンで観る映画、そこには映らない様々な出来事や存在を愛おしく思えるのではないだろうか。

→街の上で 公式サイト



また、『映画大好きポンポさん』は、映画製作における"編集"という見逃してしまいがちな作業をクローズアップした作品。
上映時間が限られた映画を製作する際に重要となるのは、いかに大切な場面を削ることが出来るか、そして、作品のテンポを上手く調整することが出来るかである。

本作では、本編そのものがテンポの良い展開を実現しながら、そのテーマを説いていく。
劇中のキャラクター・映画プロデューサーのポンポさんが「映画は90分が理想」と語るように本編も約90分の尺が実現され、作品が持つメッセージと作品構造そのものが見事に一致。その秀逸な作りに観客は圧倒されるのだ。

→映画大好きポンポさん 公式サイト


終わりに


2019年に、2000年以降最高の年間興行収入2611億円を突破したのも束の間、2020年には、コロナ禍の影響で前年の50%となる1432億円に落ち込んでしまった映画産業。

観客一人一人の金銭的な余裕が圧迫されている中で、生活の優先順位として映画を上位に選ぶことは決して容易なことではないだろう。

しかし、映画の存在意義が揺らぐ昨今だからこそ、映画とは何か、そして、映画制作の意味を考えることには大きな意味があるはずだ。

映画作りを描いた映画を観ていく中で、あなたにとっての"映画とは何か"の答えが見つかることもあるのかも。

そんな鑑賞体験を、ぜひ、あなたにも味わっていただきたい。

(文:大矢哲紀)

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