2021年08月29日

『仮面ライダーセイバー』の最高のエンディングに感謝!最終回までにつながれた4つバトンについて語る

『仮面ライダーセイバー』の最高のエンディングに感謝!最終回までにつながれた4つバトンについて語る

■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会


『仮面ライダーセイバー』が先週ついに最終章を迎え、むちゃくちゃいいエンディングを見せていただきました。

この1年に何度も降りかかった緊急事態宣言。

例年以上に過酷な状況だったにもかかわらず、放送を止めることなく1年間走り続けてくれた「セイバー」、本当にありがとうございました。

そしてお疲れさまでした。

「ウラ仮面ライダー」でも何度もキャストの皆さんにお話を聞かせていただいたり、岡さんにはクロスセイバーも頂いたりして(https://cinema.ne.jp/article/detail/47080)、僕自身、非常に思い入れの強い作品となりました。

後半のえげつない盛り上がり、クライマックスに向けての名シーンの数々のお話を番組で最後聞くことは叶いませんでしたが、それはこれから発売されるであろう書籍で補完させていただきます。

前回の記事で38章の神回から毎週、神回で上書きされていったと書きましたが、今回はそのことについて書かせていただきます。

「セイバー」の後半は2016年のリオオリンピックで銀メダルを獲った男子リレー以上の、巧みなバトンの受け渡しが「四つ」見ることができました。

1つ目は心を動かされた人も多かったことでしょう、最終決戦の四賢神と戦った剣士達のバトンです。

さまざまな見たかった剣士たちの組み合わせが最後にぎゅっと詰め込まれてて、この決戦があったからこそ誰一人として影が薄くなることなく、全剣士それぞれの想いが濃厚に反映され、名シーンで溢れました。

2つ目は悪役のバトン。

かつて殿の幼馴染として寿司を握って一貫献上していた面影はなく、中盤から存在感を増していきラスボスとして見事に物語を盛り上げてくれた、マスターロゴスこと相馬圭祐さん。

そのまま最後までいくかと思いきや、第40章「輝く友情、三剣士。」にてその座をストリウスに明け渡すことに。

正直、メギド三人衆のイメージがまだあ、り三位一体として見ていたのでここでストリウス単体でいけるのかと思いましたが、声を歪ませ、目の周りを黒くしたストリウスは、前半からは想像もつかないほどのラスボス感を出してくれました。

相馬圭祐さんのあのバトンを見事に繋いだ古屋呂敏さんの演技、素晴らしかったです。

3つ目は監督のバトンです。

第38章「聖剣を束ねる、銀河の剣。」、第39章「剣士よ、信じる道を行け。」を柴﨑貴行監督、

第40章「輝く友情、三剣士。」、第41章「二千年、綴られた願い。」を石田秀範監督、

第42章「はじまる、美しい終わり。」、第43章「激突、存在する価値。」を上堀内佳寿也監督

第44章「開く、最後のページ。」、第45章「十剣士、世界を賭けて。」を杉原輝昭監督

が担当。

神回を更新し続けた第38章以降の、この監督の布陣がとってもエモすぎるのです。

当然、皆さん方が東映特撮に多大な貢献をされてきてるのは周知の事実ですが、柴﨑監督、杉原監督、上堀内監督は石田監督のDNAを色濃く受け継いだ、いわば師弟関係なのです。

ご本人から聞いた話やいろんな雑誌から読み取るに、石田監督の下に鈴村監督と柴﨑監督がいて、その下に杉原監督、上堀内監督、そして山口監督という、東映のロゴさながらの最強三角形で師弟関係が構築されているそうなんですが、「セイバー」のクライマックスはまさにこの石田組で回しているのです。

そしてこの座組みの中で特に僕が好きなバトンが、上堀内監督が第42章、第43章で照明と音楽と画質を使って蓮とデザストを丁寧に演出したあと、その後に登板した杉原監督もデザストの技・カラミティストライクをこれでもかというくらいかっこよく仕上げていた部分です。

蓮とデザストを通して監督同士の本気のぶつかり合いが垣間見えた気がして、相当シビれました。

最後は、その蓮とデザストのバトンです。

これはデザストから蓮へのバトンという意味ではなく、蓮とデザストの関係は画面に登場する度に本当に少しづつ、時には気づかないほどの進展でそれはもはや止まってるようにも見えたこともありましたが、そこを雑にすることなく、丁寧にバトンを繋ぎ続けたからこそ、第43章で最高の展開として花開いたのではないでしょうか。

もうこの辺りがむちゃくちゃ上堀内監督色が出ていて改めて感嘆したんですが、蓮とデザストをモノクロ使用して対比させたり、音を極力無くして静寂の中で戦わせたり、かと思いきや、一番いいとこで芽依ちゃんこと川津明日香さんの歌を挟み込んできたり。

この「Will save us」がまためちゃくちゃいい曲でこのシーンと合う合う。

極めつけは紅生姜のラーメンでしょう。

エンディングテーマの後、蓮が前話で否定していたはずのラーメンをすする姿に泣いた方も多かったことでしょう。

歌つながりでもう1つ、バトンを見つけました。

川津さんの曲と同じくらい最高だったのが、杉原監督回の第44章のエンディングで流れた、ソフィア様こと知念里奈さんが歌った「The story never ends」。

朝焼けの中、最終決戦に向かう剣士たちの映像がうっとりするほど綺麗だったんですが、その時に流れてくるこの曲がまるで剣士たちを癒し、わずかばかりの休息を与えてくれる、そんな曲に聞こえました。

当然ですが知念里奈さんの歌声がとんでもなく上手くてビビります。

最高の曲を最高のタイミングでかけた、このバトンにも痺れざるをえません。

今回、「セイバー」内で僕が好きなバトンというテーマで語らせていただきましたが、本日の放送は増刊号ということで『仮面ライダーセイバー』から『仮面ライダーリバイス』へまさにバトンが渡されます。

この50年繋がれてきた重い重いバトン。それを「リバイス」がさらに重くしてくれることを期待して、来週の放送を待ちたいと思います。

あらためて『仮面ライダーセイバー』、ありがとうございました。

(文:篠宮暁)

【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】


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