「お耳に合いましたら。」第10話レビュー:「ドトール」のコーヒーとミルクレープは苦くて甘い母の想い出の味!(※ストーリーネタバレあり)
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テレビ東京が音楽ストリーミングサービス「Spotify」と共に、ポッドキャスト番組と連動させたオリジナルドラマ「お耳に合いましたら。」を2021年7月8日より放送する。
伊藤万理華演じる会社員の高村美園が、とあることをきっかけにポッドキャストを始め、人気のパーソナリティ目指して奮闘する物語。
本記事では、第10話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。
「お耳に合いましたら。」第10話レビュー
「お母さんにかかわるとろくなことがない!」チェンメシ&ポッドキャストドラマ「お耳に合いましたら。」第10話は、ちょっとほろ苦いけどスイートな母子の物語。「好き!」だけじゃなくて「好きだけど嫌いだけど好き」みたいな奥行きのある味わいのストーリーだった。
高村美園(伊藤万理華)の母、美由紀(美保純)が突然やってくる。美園が務める会社、まつまる漬物と商談をするためだ。24歳で起業し、女手ひとつで美園を育ててきた美由紀だが、これまで様々な商売に手を出しては失敗を繰り返してきた。だけど、転んでもタダでは起きないし、それなりに何とかなっているところがすごい。バイタリティの塊だと思う。
人との距離がとことん近く、周囲を振り回してばかりの美由紀は、美園が大人になっても相変わらず。まつまる漬物に持ちかけた商談はアイデアレベルで実態をともなわず、美園の友人たちを美園の部屋に招待したものの、騒ぎを起こすばかりでまともにもてなすこともできない。張り切りすぎると失敗してしまうのが美由紀のクセらしい。娘があきれてしまうのも無理はない。ちなみに部屋で美園がパジャマ代わりに着ていたのは人気番組「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)のTシャツだった。さすが。
美園は母も聴いているポッドキャストで、母への想いを打ち明ける。テーマは母の仕事場でもあった「ドトール」。幼かった美園は、ドトールで商談する美由紀の姿をずっと見てきたのだ。
保育園や学童保育に預けるのではなく、自分の仕事場に連れてくるのは、母親の愛情でもあり、打算でもある。商談相手に謝罪するとき、美園に嘘泣きを強要していたのだ。自他ともに認める「反面教師」だった。だけど、美園にとっては嫌な思い出ばかりではない。
「苦い思い出ばっかりだけど、私、ドトールが好きです。大人の世界に入り込んで仕事をするお母さん。そんなキラキラするお母さんを側で見られたから」
良い思い出の象徴が、商談がうまくいったときに食べた、甘い甘いミルクレープ。何層にも重なったクレープ生地を1枚ずつ巻き取って食べる母親を真似して、一緒に笑ったこともあった。
「ミルクレープみたいに、いろんな経験を重ねて、大人になった今だから、気づけたことがあります。コーヒーも思い出も、味わうごとに苦みが深みになっていくんです」
好きでもあるし、嫌いなんだけど、やっぱり好き。そんな娘の複雑な感情を、コーヒーの苦みとミルクレープの甘さに例えた脚本が見事だった。脚本を担当した灯敦生は「イタズラなKiss」シリーズに出演する女優でもある。すごい人がどんどん出てくるね。
エンディングダンスは美保純も登場。伊藤万理華が怒ったふりをした直後に肩に顔を寄せてふたりで目を瞑るシーンは、なんだか本当の母子のように見えた。
(文:大山くまお)
「お耳に合いましたら。」第10話ストーリー
美園(伊藤万理華)のもとに、母・美由紀(美保純)が突然やってくる。まつまる漬物との商談があると聞かされ、幼い頃から母に振り回されてきた美園は困惑する。翌日、会社で亜里沙(井桁弘恵)と佐々木(鈴木仁)と過ごしていると、商談を終えた母がやってきて、ひょんなことから皆で一緒に夜ご飯を食べることに。用があって美園の部屋を訪れた紗江子(濱田マリ)も加わり、張り切って料理の準備をする美由紀だったが…
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