改めて考えるシャア・アズナブル:「赤い彗星」がもたらした大革命

シャアがいなくてもシャアがいる!?


(C)創通・サンライズ

シャア・アズナブルが主要キャラとして出演する作品は、『機動戦士ガンダム』(とその映画化『機動戦士ガンダム』3部作)、『機動戦士Zガンダム」(とその映画化『機動戦士Zガンダム』3部作)、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の4タイトル。

拡大解釈しても。これに『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』が加わるくらいです。

ガンダムシリーズはテレビアニメ、OVA、劇場用作品などなど多岐にわたり、カウントの仕方にもよりますが、60タイトルほどあります。

この中にはもともとあった作品を再編集したた作品含まれているので、内容的に重複しているものも多々あります。

その中で多めに数えても、シャア・アズナブルが登場するのは10本前後というのが実際のところで、シリーズ全体で見るとわずか15%ほど。あなたが適当にガンダムシリーズの中から作品を選んでみたとき5~6作品に1作品シャアがいるかいないかという話になります。

ランダムにガンダムを視聴するとずっとシャアが出てこないなんてことも。しかし、“シャアがいなくてもシャアがいる”それがガンダムの醍醐味なのです。

他作品の至るところにもシャアが存在する


(C)創通・サンライズ


シャアが出演しない作品でシャアが存在する作品として、1番わかりやすいシリーズは『機動戦士ガンダムUC』とその続編『機動戦士ガンダムNT』でしょう。

この2作品には人工的にシャアを再現した強化人間(人工ニュータイプ)のフル・フロンタルとゾルタン・アッカネンが登場します。

フル・フロンタルは成功例としてジオンの残党軍“袖付き”の首魁となりますが、ゾルタン・アッカネンは失敗作の烙印を押されていることが原因で、かなりこじらせています。フル・フロンタルは外見的にもシャアそっくりに仕上げられていて、乗るモビルスーツも真紅の機体です。

しかも映像化に当たって、ボイスキャストをシャア・アズナブルを演じ続けてきた池田秀一が担当していることもあって、大変わかりやすく“シャアの存在”を感じることが可能。ほか、宇宙世紀モノでは『機動戦士Vガンダム』のクロノクル・アシャーは帝国の王子でマスクをしていますし、『機動戦士ガンダムF91』にはその名もずばり鉄仮面というキャラクターが登場します。

最初の『機動戦士ガンダム』でシャアの人気と存在感があまりにも高まったため、なんと“宇宙世紀モノ以外”にもシャア(的な)が登場していて、シャアを登場させることが半分義務のようになっている感も否めません。

『新機動戦記ガンダムW』には亡国の王子で、軍のエースパイロットで金髪で赤い制服を着ていて仮面で素顔を隠すゼクス・マーキスというキャラが重要なポジション、主人公のライバルキャラとして登場します。

(C)創通・サンライズ

シャアの顛末を詳しく知らない人が見たら、フル・フロンタル同様「えっ、このキャラってシャアじゃないの?」と疑問に思うことでしょう。

『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(機動戦士とありますが宇宙世紀モノではありません)にはラウ・ル・クルーゼとネオ・ロアノークという金髪で仮面をつけたキャラが、主人公の前に立ちはだかります。

『ガンダムGのレコンギスタ』にも、仮面を着けたマスク(本名ではありません)という名のライバルキャラが登場しますし、『機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)』にも金髪&仮面のミスター・ブシドー(本名ではありません)が登場します。

また、現時点で最新のテレビシリーズの『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』にはモンタークとヴィタールという仮面の男が登場。どちらもある重要人物が過去と素性を隠すために仮面を隠したキャラクターなのですが、どちらもちょっとぎょっとするような仮面の姿です。

ただ、シャア・アズナブルがあらゆる“ガンダム”に対して有形無形の形で強烈な影響を残していることもあって、“仮面の男”が普段の風景にいることに何ら抵抗を感じることもなく受け入れてしまうでしょう。

変則的な作品では『機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ』の主人公ハサウェイ・ノア(ブライトさんの息子)はシャア・アズナブルとアムロ・レイの意思を受け継いで、地球連邦に反旗を翻すという設定になっています。


(C)松竹ODS事業室

そんなわけで“どのガンダム”にも“シャアがいなくてもシャアがいる”という現象が起きてしまうのです。

来年には久しぶりのテレビシリーズ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が放映されることが決まりましたが、シャア的な仮面のキャラクターは出てくるのでしょうか?

これは重要な話なんですが、シャアが仮面をつけているのは『機動戦士ガンダム』だけで、その後はずっと素顔なんです。しかし、シャアと言えば仮面の男です。

これもまた、最初のイメージがあまりにも強烈なためと言えるでしょう
 

国民的アニメ『名探偵コナン』にもシャアが存在した


(C)東宝

やはり最後は、この話題に触れないわけにはいません。
今年の『名探偵コナン 緋色の弾丸』で重要な役どころを担った赤井秀一。

FBI捜査官で、コナンと共闘することが多く頼もしい存在ですが、赤井秀一の由来となっているのが、シャア・アズナブルの“赤い彗星”という異名とその声優・”池田秀一”。さらに映像化に当たって。ボイスキャストを務めたることになったのが池田秀一なのです。

赤井秀一は“何から何までシャア・アズナブル”だと言っても過言ではありません。

ちなみに青山剛昌のガンダム好きは有名な話で、ガンダムを由来とするネーミングのキャラクターが複数存在します。

1番有名なのは人気キャラクターの安室透。本名は降谷零ですが、こちらもアムロ・レイとそのボイスキャストの古谷徹の姓名を入れ替えて漢字を変えただけ。ボイスキャストもガンダムシリーズでアムロ・レイの声を務め続ける古谷徹です。

そのため2人が登場すると、「名探偵コナン」なのに「機動戦士ガンダム」な気分になります。


(文:村松健太郎)

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