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2021年12月27日

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>

第36話「栄一と千代」感想・解説集

第36話のあらすじ

栄一(吉沢 亮)は三菱の独占に対抗するために東京風帆船(とうきょうふうはんせん)会社を設立するが、岩崎弥太郎(中村芝翫)の新聞を使った巧みな攻撃に、開業前に敗北してしまう。また、養育院も東京府から事業縮小を迫られ、なかなか前に進めない栄一。その裏で弥太郎は着々と事業拡大を進める。そのころ、長女・うた(小野莉奈)と穂積陳重(ほづみ・のぶしげ/田村健太郎)の縁談が持ち上がり、意気投合した二人は結婚する。しかし、渋沢家が幸せな空気に包まれる中、千代(橋本 愛)が突然病に倒れてしまう。

第36話の感想

千代がコレラに感染し、亡くなってしまった。突然のことで、栄一をはじめ、家族全員が悲しみに暮れる。長女・うたの縁談が無事にまとまった矢先のことだった。「これでもう、思い残すことはありません」とホッとした様子で言っていた千代の表情が、切なく思い出される。病の力は強大だ。

新しく合本による船に会社を設立するも、岩崎弥太郎が主犯と思われる風評被害に苦しんでいた栄一。三菱に対抗しようにも上手くいかず、「今の俺は正しいことをしたいがために、正しいかもわからない方向へ向かう汚ねえ男になっちまった」と嘆いていた。そんな彼に、生前の千代は言ってくれたのだ。

「お父様もお母様も、よくやったと褒めてくださいますよ」

栄一の行動原理は、人のための世を作ること。その想いを奥底まで見ていくと、父や母、そして千代や子供たちの姿が見えてくる。近しい大切な人たちのために働いてきた栄一にとって、こんなにも早く千代を亡くしてしまったことは、喪失の一言では片付けられないのではないか。

長女・うたは言った。なぜ母さまのような素晴らしい人が、亡くならなければならないのか、と栄一が院長を務める東京養育院のことも気にかけていた千代。貧しくつらい思いをしている人たちの助けになりたいと願っていたのに、時間は無常にも過ぎ去っていく。

それにしても、東京養育院の存続について話し合う場のシーンは、見ていられなかった。「助けてもらえると思わせるから、努力を怠らせる」。セリフと分かっていても「承伏できない」言葉だ。東京養育院の人たちがどれだけ努力を重ねているか、その目で見たことがないからこそ言えることだろう。

千代を失った栄一は、今後、何を見据え動いていくのか、


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