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トム・ホランド萌えキャラ選手権優勝作品『カオス・ウォーキング』の2つの魅力


2:絶望的な世界観なのにカラッと楽しめる内容に

本作『カオス・ウォーキング』の魅力は「気楽に楽しめる」ことにもある。上映時間は109分とタイトであるし、物語も目的地までの逃避行という一本道でわかりやすく、前述したようなコメディ描写も強めで、絶望的なはずの世界観と辛い出来事と相対するような、意外なカラッと明るい雰囲気もあるのだ。

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公開中のSFアクション映画『DUNE/デューン 砂の惑星』や『エターナルズ』は、上映時間が長めで壮大なスケール感もある作品だった。そういう映画ももちろん良いのだが、いつも高級フランス料理だと疲れちゃうから、たまには素朴なおにぎりやジャンキーなハンバーガーも食べたい……そんな例えが合っているかは微妙だが、とにかく観ていて疲れない、それでいてわかりやすいエンタメ性があって、万人がおいしくいただけるのが本作なのだ。

こうなったのは、ダグ・リーマン監督の作家性のおかげでもあるだろう。例えば『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2017)も(脚本家は異なるが)ハードなSF作品のようでいて実際は「同じ時間を繰り返してしまう」主人公の困惑を黒い笑いをもって描くことにも面白さがあった。さらに、ダグ監督は「ラストカットの切れ味」にも定評があるのだが、本作も「これぞダグ監督作品のラストだ!」と思える、スパッと気持ちが良い結末を用意してくれている。

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さらに、共同脚本を手がけた​​クリストファー・フォードは、『COP CAR コップ・カー』(16)や『スパイダーマン: ホームカミング』(17)や『クローブヒッチ・キラー』(21)などの映画で「子どもが悪役である大人から逃げたり、または逃れらない対決をする」物語を手がけた方であり、(今回の主人公は子どもというより青年だが)『カオス・ウォーキング』の逃避行の物語もそれに通じているのである。今回は追いかける大人であり悪役が、みんな大好きイケオジ俳優の頂点マッツ・ミケルセンということもたまらない。

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あえてちょっと残念だったところをあげると、せっかく「頭の中ダダ漏れ」の設定が面白く、それ以上のパワーを有する超能力も提示されているのに、それらが攻防戦にあまり活かされていなかったこと。ほんの少しだけ「騙し討ち」に活かされる程度では物足りない、もっと襲いくる敵との知恵を振り絞ったバトルが観たかったのだ、というのが正直なところだ。

それでも、豪華なキャストたちは原生林や激流の川の中での激しいアクションもこなしていいるし、バラエティ豊かな見せ場があるので全く飽きさせない。設定だけを拾い上げれば、それこそダークで重圧なSFにもできただろうが、本作は「そうはしなかった」ことにこそ魅力と面白さがある。

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とにかく「あー楽しかった!」と劇場を後にできるテンションの映画を求める方、そしてやはりかわいいトム・ホランドを五臓六腑に染み渡らせたい方は必見と言える1作だ。

(文:ヒナタカ)

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