「らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜」第5話レビュー:神保の静かな怒り? 捜査に執着した研究者としての矜持(※ストーリーネタバレあり)
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2021年10月15日より放送がスタートした、田中圭主演ドラマ「らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜」。
本作がゴールデン帯初主演となる田中圭。「DNAは嘘をつかない」が口癖の天才遺伝子科学者・神保仁を演じる。初共演となる安田顕は、事件解決のため神保とバディを組む熱血刑事・安堂源次役。難事件に挑むミステリードラマとしてはもちろんのこと、その陰で蠢く人間模様を楽しむヒューマンドラマとしても楽しめる。
本記事では、第5話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜」第5話レビュー
人間は自分のために他人の命を奪える生き物なのだなあ、などと考えてしまった。今回の安堂刑事と神保さんが解き明かすのは、白骨遺体の中に隠されたダイイングメッセージ。3滴の血痕がついた布片が小さなチューブに入って、白骨遺体に残っていたのだ。ギリギリの命の中で伝えようとしたメッセージ……。被害者のそんな必死の訴えを安堂がないがしろにするはずがないし、忙しいと言いつつも神保も興味を惹かれて協力をする。
捜査線上に上がってきたのは大手製薬会社に勤める天才科学者の下村まどか(矢田亜希子)。ノーベル賞候補とも言われているまどかは警視庁科学捜査研究所・乱原(倉科カナ)の憧れの人でもあった。
白骨遺体として見つかったのは、まどかの右腕として支える研究員の澤井百合子だった。早々にまどかを疑う神保。女性ながら、第一線で活躍するまどかに憧れている乱原は、珍しく神保に猛反発をする。だからと言って、それで神保が引き下がるはずもない。口調が尖ることもないが、穏やかに有無を言わせない神保の圧よ……。
しかし、国からも期待されているまどか。なんと厚労省から神保を捜査から外すように圧力がかかってしまう。
圧力がかかるのはまどかに「何か」あるということだ。
当然、安堂は突っぱねようとするが、そのせいで神保の今後の研究に影響が出るのはやぶさかではない。手を引くように説得を試みる。神保を誘い出す口実がパフェっていうのがかわいい。が、厚労省の圧力がかかったとて、神保は気にした様子もない。研究はどこででもできる、と言って神保は引き下がらなかった。
事件を解決したい、という気持ちももちろんあったのだろうが、それ以上に、副作用として発がんリスクがある薬を世に出すことが研究者として見過ごせなかったのかもしれない。可能性が低いからといって、薬を承認させようとしているまどかのことも。
女性というだけで研究者として見くびられることに憤りを感じ、自分の実力を世にしらしめるいい機会だった。が、危険性があるものを世に出すだけでなく、そのために大切な命を奪った。許されることではない。
まどかがやったことは許されることではない。そこまで追い詰められてしまう現状の問題もある。毎回、差し込まれる殺人が起こった原因となる社会的問題が重い。でも、本来、殺人が起こるのは何かがいびつになった結果なのであるから当然のことなのかもしれない。神保が行っているDNAの研究だって、殺人犯を捕まえるためだけのものであるはずがないのだから。
「らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜」5話のストーリー
雑木林で死後3年が経過した白骨遺体が発見される。中から極小のチューブが見つかり、そこに3滴の血痕がついた布片が! 安堂源次(安田顕)は白骨に遺された奇妙なダイイングメッセージの謎を解明して欲しいと、神保仁(田中圭)に協力を依頼。
源次は、犯人にバレないように飲み込んだ“白骨の遺言”ではないかと考えていた。白骨遺体は失踪した澤井百合子(若月佑美)と判明し、捜査線上に天才女性科学者(矢田亜希子)が上がる。
(文:ふくだりょうこ)
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