(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会
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2021年11月19日

『アイの歌声を聴かせて』絶大な口コミ効果で映画館の最大箱の割り当ても!全ての人におすすめできる理由がこれだけある!

『アイの歌声を聴かせて』絶大な口コミ効果で映画館の最大箱の割り当ても!全ての人におすすめできる理由がこれだけある!


この作品が好きな人に『アイの歌声を聴かせて』をおすすめしたい!

『アイの歌声を聴かせて』には、著名人からの絶賛の声、ファンアートもさらに多く届いている。映画監督の上田慎一郎白石晃士、マンガ家の北崎拓などもアツいツイートを投稿しているのだ。もっともっと口コミが広がれば、さらなるムーブメントが起こることだろう。


そして、今はまだまだ「一部で熱狂的な支持を得た作品」と言える状態だが、実際はもっともっと間口の広い、全ての人におすすめできる内容であることを、ここで改めて訴えておきたい。

原作のないオリジナル作品であり予備知識は全く必要ない。

子どもにはわかりやすい物語で、大人には深く考察できる奥深さがあり、優れた音楽にはストレートな感動がある。キャラクターそれぞれも可愛らしくて親しみやすく、ハラハラドキドキするエンタメ性も抜群で、とても楽しい内容で鑑賞後は爽やかな気持ちになれるし、さらには残酷なシーンもほぼ皆無だ。

ここまで「万人向け」だと自信を持って言える作品はなかなかないのだ。

それでも食指が伸びないという方に向けて、この作品が好きな人に、改めて『アイの歌声を聴かせて』を観てほしいというリストを、共通点や理由と共に一挙に挙げていこう。ここまで書けば、もう観念して観に行ってくれると信じている。観に行ってください。お願いします。

『ドラえもん』(特に劇場版の『海底鬼岩城』や『鉄人兵団』)

言うまでなくドラえもんは「のび太のためにがんばる(お世話をする)ロボット」。『アイの歌声を聴かせて』のAIロボットが主人公の女の子のためにいろいろな手段を試す様はドラえもんっぽいし、『海底鬼岩城』のバギーちゃんや、『鉄人兵団』のリルルというキャラクターに通じるところもある

『E.T.』(1982)

『アイの歌声を聴かせて』の物語の始まりは「転校生がAIロボットであることがバレないようにみんなでがんばる」というもの。『E.T.』で子どもたちが大人に隠れてE.T.と交流する様を彷彿とさせる。

『ぼくらの七日間戦争』シリーズ

実写映画化やアニメ映画化もされた人気小説。子どもたちが協力して大人に立ち向かう、青春ジュブナイル要素が『アイの歌声を聴かせて』と共通。

『攻殻機動隊』シリーズ

タチコマというロボットがとてもかわいい。このかわいさや健気さは『アイの歌声を聴かせて』のAIロボットに似ている。

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(2020)

煉獄さんでおなじみの声優の日野聡が、『アイの歌声を聴かせて』では柔道部員の気の良い男の子を演じている。実質的にひょうきんでカワイイ煉獄さんの声が聞ける。ちなみに、マンガ家のあさりよしとおは本作のファンアートを複数投稿しており、「中の人つながり」のイラストも描いている。


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ

涙を搾り取られるほど泣けるアニメということが共通。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公は「愛している」の意味を見つけていき、『アイの歌声を聴かせて』ではAIロボットが「幸せ」の定義を見つけていく。

『her 世界でひとつの彼女』(2013)

AIとの恋を描くSF映画。AIについての示唆はかなり『アイの歌声を聴かせて』に通じている。

『ベイマックス』(2014)

かわいいお世話ロボットの突飛な行動のために主人公たちチームが右往左往する様は『アイの歌声を聴かせて』に通じている

『チャッピー』(2015)

悪人たちがロボットの子育てをする物語。世界観はディストピアだが、AIロボットの「可能性」をも示している。

『HELLO WORLD』(2019)

SF作品に多大な愛を捧げた、とてもテンポの良いアニメ映画ということが共通。「想い」にまつわる物語であることも似ている。

『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』(2019)

ミュージカルアニメ映画×愛おしい存在を守ろうと主人公たちががんばる様が似ている。

『フリー・ガイ』(2021)

人間に作られた存在であるモブキャラが自己実現や存在意義を見つけようとする物語。『アイの歌声を聴かせて』のAIロボットは……(ネタバレになるので自粛)。

『竜とそばかすの姫』(2021)

「歌う」ことに説得力を持たせたアニメ映画ということが共通。クライマックスでは共通項も、また全く違う精神性も見てとれる。

ディズニーミュージカルアニメ映画全般

『アイの歌声を聴かせて』はディズニーアニメ映画に多大なリスペクトを捧げた作品である。主人公のサトミの部屋にも注目してほしい。

ミュージカル映画が苦手な方

「突然歌い出すのって変だよね」というミュージカルの違和感を逆手に取った設定があり、しかも作劇に深い意味を与えている。

すでに『アイの歌声を聴かせて』を観た方

本作はリピーターがものすごく多く、「2度目からが本番」とも言われている。物語の構造上2回目以降がもっと面白く観られるし、テンポがとても良いし、何度観ても新しい発見がある。もう一度観てください。スマホカバーがキャラごとに違ったりしているそうなので、そういうディテールにも注目するといいだろう。

この他の、似ているおすすめの作品は、筆者のツイートのリプライでも多数の意見が寄せられたので、ぜひ参照してほしい。

また、『アイの歌声を聴かせて』はSF作品のオマージュも多い。AIロボットの芦森詩音という名前は、SF作家で「ロボット工学三原則」の発案者アイザック・アシモフと、山本弘の短編小説集『アイの物語』に収録の『詩音が来た日』が元ネタだろう。(さらに「シオン」の花言葉を調べるとエモい!)

また、天野悟美と素崎十真という主要キャラクターの名前を一文字ずつ取って並べると「真悟」となり、それは楳図かずおのマンガ『わたしは真悟』からの引用だ。



他にも、吉浦監督のアニメシリーズ『イヴの時間』や短編アニメ映画『アルモニ』からも『アイの歌声を聴かせて』との共通項を見つけられるはずだ。しかも、『アルモニ』から再登場しているキャラクターもいる。



つまりは、『アイの歌声を聴かせて』にはこれほどまでに数多くの要素があり、先人の作品にも多大な影響を受けているということだが、それらが上手く作品の中で融合しており、しかもオリジナリティも多分にあることが重要だ。そのオリジナリティとは、明るく楽しいミュージカル青春群像劇にしたことはもちろん、中盤に斬新すぎる「ジャズ柔道」がある以外にも、AIの危険性だけでなく、そのポジティブな可能性を見つめた作品であることではないか。

AIを扱った作品は、その「反乱」だったり、人間を支配するのではないかという恐怖をネガティブに描くことも多い。そうした作品ももちろん良いのだが、元々AIは人間が「より良い」何かを目指してつくろうとしたものではないか。

これからもAIが発達するであろう未来に向けて、AIをポジティブに明るく描く(しかもちょっと怖い描写でAIの危険性を示すフラットさもある)『アイの歌声を聴かせて』はそれ自体が画期的であるし、今の世にこそ必要な映画だと思ったのだ。以下の吉浦監督のインタビュー動画でも、そのことが訴えられているので、ぜひ参照してみてほしい(30分以上ある動画なのでラジオのように聴くのもおすすめ)。



まだまだ『アイの歌声を聴かせて』を観てもらいたい、届けたい人はたくさんいる。特に、子どもや若者にこそ観てほしいと願うばかりだ。きっと、今にこの作品を観た彼らが、大人になった時、「2021年にすごい映画があったんだ」と振り返る時が来る……そう信じてやまない。最後にもう一度言おう、この大傑作を、映画館で観てくれ!

(文・ヒナタカ)

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