2021年11月20日

〈映画祭紹介〉角川映画祭2021開催!『犬神家の一族』驚異の4K修復から、幻の名作アニメまで31作品!

〈映画祭紹介〉角川映画祭2021開催!『犬神家の一族』驚異の4K修復から、幻の名作アニメまで31作品!


幻の角川中編アニメ映画
『ボビーに首ったけ』上映!

さて今回、アニメーション映画の上映でも特筆しておきたいものがあります。

それは平田敏夫監督作品『ボビーに首ったけ』(85)の上映!



角川映画は1983年の『幻魔大戦』(今回上映)よりアニメーション映画の製作を開始し、特に80年代は斬新な企画に基づく意欲作を連打していましたが、その中で『ボビーに首ったけ』はりんたろう監督作品『カムイの剣』(85/今回上映)の同時上映として作られた中編映画。

原作は片岡義男の同名小説で、メールもケータイもなかった時代、バイク好きの高校生・昭彦、通称ボビーと、文通で知り合った岡山の少女との交流、そして父親との諍いなどが描かれていきます。

『ユニコ』(81)『はだしのゲン2』(86)『火の鳥ヤマト編』(87)『カッパの三平』(93)などで知られる才人・平田敏夫監督は、これを淡く切ない青春スケッチとして瑞々しくも実験的描写を駆使しながら演出。

特にクライマックス、鉛筆画によるバイク疾走シーンは、その後のアニメーション演出の可能性を大いに引き上げてくれたといっても過言ではないほどです。

また本作のキャラクター・デザインは、何と吉田秋生!

『カリフォルニア物語』『吉祥天女』『BANANA FISH』などの名作漫画で知られる彼女ですが、この時期の角川アニメーション映画は『幻魔大戦』で大友克洋、『時空の旅人』(86/平田氏が絵コンテを担当・今回上映)で萩尾望都などカリスマ的実力派漫画家をキャラクターデザインに起用する傾向があり、それもまた当時の漫画ファン&映画ファン&アニメファンを唸らせていたものでした。

吉田秋生自身、当時『メイン・テーマ』(84)で角川映画の若手スターとしてデビューしたばかりだった野村宏伸のファンだったと伝え聞いており、彼を主演のヴォイス・キャストに据えた本作の依頼も快く受けてくれた結果、どこか野村宏伸本人を反映させたキャラクターデザインにも仕上がっています。

本作と、幕末を舞台に北海道からアメリカ西部まで渡る壮大なスケールかつスタイリッシュな演出の美学に満ちた時代劇アニメの傑作『カムイの剣』の2本立ては、実に至福ともいえる映画体験でもありましたが、『カムイの剣』が再評価されていくのに対し『ボビーに首ったけ』は中編仕様であるのも影響してか、なかなかその後陽の目を見る機会がなく、未だにDVD化もされていません(ビデオ&レーザーディスクは発売されましたが、今ではかなりの高値で取引されがちです)。

それがようやく、それこそおよそ四半世紀ぶりに銀幕で再会できるのですから、これはもう劇場に馳せ参じるほかありません!

また今回は今なおカリスマ的人気を誇るやまざきかずお監督の『ファイブスター物語(ストーリーズ)』(89)も上映されますので、こちらも久々に銀幕で見直す(あるいは初体験する)良き機会ではないかと思われます。

いずれにしましても、前回の角川映画祭2016から5年の月日を経ての今回の角川映画祭2021の開催、その間に『時をかける少女』(83//今回上映)などの大林宣彦、『Wの悲劇』(84/今回上映)の澤井信一郎監督が鬼籍に入られたことの時代の流れも痛感せずにはいられません。



鬼籍ということでは、先ごろ惜しくも亡くなった千葉真一が主演&アクション監督を務めた『戦国自衛隊』(79)も特別上映されます。

半村良の同名小説を大胆不敵にアレンジし(初期の角川映画はあえて原作と異なる展開のストーリーを構築することで、映画も小説も楽しめるような計らいが成されることが多かったのです)、公開当時は多くの映画マスコミから「一体何なんだ、これは?」と理解されることもなかった本作ですが、結果としては今も語り継がれる名作として世に残っています。

そう、初期の角川映画はあまりにも斬新な企画と仕掛けに当時の映マスコミが感覚的についていけず、それをひた隠すかのように「日本映画界の敵」などとバッシングされ続けていました。

しかし45年の時を経て、実は「日本映画界の救世主」であったことが今なら理解されることでしょう。

またそうでなければ、こうして映画祭など開催されるはずもないのですから!

(ちなみに角川映画のスタッフやエキストラなどのギャランティも当時の日本映画界のジリ貧の相場を大きく上回るものが多く、おかげで生活を保ち得ることが出来た者も多く、そんな彼らが今は制作の第一線で活躍し続けているのです)

角川映画なくして、今の日本映画界は成し得なかった!

このことは強く訴えておきたいところです。

(文:増當竜也)

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