2021年12月23日

<新作レビュー>『レイジング・ファイア』最高かよ!もはやクレイジーな域にまで達した大興奮の香港現代アクション映画

<新作レビュー>『レイジング・ファイア』最高かよ!もはやクレイジーな域にまで達した大興奮の香港現代アクション映画


■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

『イップマン』シリーズ(08~15)はもとより今やハリウッド・スターとしての貫禄まで備えて久しいドニー・イェンと、そのドニーと共演した『孫文の義士団』(09)で数多くの最優秀助演男優賞を受賞するなどのニコラス・ツェー、香港映画界が誇る二大スター久々の競演!

こうした快挙の一方で、本作は『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(04)『プロジェクトBB』(06)などの名匠ベニー・チャン監督の遺作となった作品です。

58歳という若さで亡くなってしまったことが非常に惜しまれつつ、しかし本作は彼の映画人生のフィナーレを飾るに足る傑作であり、久しく忘れていた香港アクション映画の醍醐味をとくと思い出させ、「最高かよ!」と快哉を叫びたくなるほど大いに堪能させてくれる快作でもありました。

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生真面目にもほどがある正義感警部チョン(ドニー・イェン)と、なぜか彼を憎む元部下ンゴウ(ニコラス・ツェー)の壮絶なる闘い。

それは上映時間が過ぎていく毎にどんどんエスカレートしていき、そのうちもはや狂気の域に達しているのではないか?とまで度肝抜くクライマックスへと突入していきます。

見る前は2時間越えのランニングタイムに少し気が引けていましたが、いざ見始めるともう時が経つのもあっという間の、スリリングで甘美な悪夢を体感できること必至!


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その伝ではガチガチの正義漢ドニーをどんどん追い込んでいくニコラス・ツェーの闇落ちした悪の魅力が強烈なまでにさく裂しまくっていて、久々に狂気に満ちた獣のような男の危険な魅惑にはまりこんでしまいかねません。

日本から谷垣健治もアクション・コーディネーターとして参加したアクション・シーンもさながら、一般市民まで巻きこむ壮絶市街戦アクションはもうクレイジーの域に達していて、本当に街のド真ん中でカーチェイス&銃撃戦が行われたら、こういった惨劇になってしまうであろうと戦慄させられるほどのリアリティがあります。


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内容的にも、この世は正義と悪の二極だけでなくグレーゾーンというものが多々存在していることをエンタテインメントの形を借りて見事に訴え得ており、まさに香港映画ファンおよびアクション映画ファン必見!とはこういう作品のことを言うのでしょう。

エンドタイトル、ベニー・チャン監督へのリスペクトとして映し出される本作の撮影風景での彼の姿が、ニコラス・ツェーの歌う主題歌で彩られているあたりも、正直ホロリときてしまいました。

(ちなみにこの主題歌、PVではドニー・イェンがピアノを弾いているとのこと)

本作の熱量のとてつもない高さ、必ずや見る側にまで伝染させてくれることでしょう!

(文:増當竜也)

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