「ミステリと言う勿れ」第1話レビュー:原作愛とリスペクトを感じる”信頼”のスタート!遠藤憲一の男泣きに涙(※ストーリーネタバレあり)
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菅田将暉が主演、伊藤沙莉や門脇麦など豪華俳優陣が脇を固める新月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」が2022年1月10日(成人の日)より放送スタート。
物事を深く考える癖があり、特徴的なヘアスタイルが印象に残る、土日のカレー作りが趣味な大学生・久能整(菅田将暉)。カレー日和な休日に鍋を煮込んでいた矢先、近くで殺人事件があったことを知らせにくる二人の刑事が。やがて、整は身に覚えのない容疑を着せられてしまい……?
本記事では、第1話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ミステリと言う勿れ」第1話レビュー
特徴的なヘアスタイルがトレードマークの、土日にカレーを作るのが趣味な大学生・久能整(菅田将暉)が、近所の公園で起こった殺人事件の容疑者として警察に連行された。
刑事の薮(遠藤憲一)、青砥(筒井道隆)、池本(尾上松也)、風呂光(伊藤沙莉)が事情聴取をするも、久能は「やってない」の一点張り。
やがて、整の部屋にあった果物ナイフが凶器として出てきたり、被害者に金を借りていたことを示す借用書のデータが発見されたりと、ご都合主義な証拠ばかりが出てくる。
お察しの通り、真犯人は整ではなかった。
だいぶ早い段階から「あいつがやった」と”刑事のカン”を働かせていた薮。青砥や池本など他の刑事と比べると、明らかに温度差があった。何がなんでも整を真犯人に仕立て上げ、逮捕に踏み切りたいかのように……。
彼は約3年前に、妻と息子を”ひき逃げ”されたことにより亡くしていた。実は、そのひき逃げ犯は、今回の殺人事件の被害者である。そう、真犯人は整ではなく、家族の復讐に燃えた薮だったのだ。
家族の復讐のために人を殺してしまい、あまつさえ、その罪を他人(整)に着せようとした薮。それだけならまだしも、復讐のために殺害した相手が、実は「家族を殺したひき逃げ犯ではなかった可能性」まで浮上。
自身の”取り返せない過ち”に気づき、絶望し、憔悴しきる薮。このシーンで魅せた”遠藤憲一の男泣き”に、涙を誘われた方も多かったのではないだろうか。
近年はドラマ「ドクターX」や「ラジエーションハウス」などで見るコミカルな役でも存在感を発揮してきたが、今回のような渋い演技でも、しっかりと魅せてくれる役者だ。
原作に対する愛とリスペクトを感じさせるドラマの構成、キャラクターのリアルさ、音楽のマッチ具合、絶妙な間……。どこを取り上げても、申し分ない仕上がりだと感じた。
原作ファンの方もそうでない方も、この1話を見た時点で、その再現の忠実性とクオリティの高さに惹き込まれてしまっただろう。
筆者がとくに注目したのは、「音楽」と「エピソードの取捨選択」だ。
整の淡々とした、あの畳みかけるような話し口を邪魔しない、クラシカルな音楽。この物語の世界観を引き立たせる音楽が選ばれ、適切に配置されている。
ドラマにおける要素は、役者の演技や脚本構成など様々あれど、音楽の重要性をあらためて認識させられる体験だった。
それに加えて、原作をドラマに再構成するにあたっての、エピソードの取捨選択も秀逸である。
1話は「整、殺人事件の容疑者として疑われる!?」から「図らずも巻き込まれたバスジャック事件」の冒頭までが描かれているのだが、過剰でもなく不足でもない、これ以外にないほどのドラマ構成になっていると感じた。
強いて言うなら、原作にある「海外では”いじめをする側の人間”ほどメンタルケアが必要」といったエピソードが省略されていたのが残念だったくらいだ。整の価値観を表す良いエピソードなので、原作未読の方でご興味があれば、ぜひ読んでいただきたい。
さて。次回は「図らずも巻き込まれたバスジャック事件」の続きからである。
永山瑛太やヒコロヒーなど、サプライズなキャスティングも目立つ本ドラマ。次回はどんな”原作愛”と”リスペクト”を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。
(文:北村有)
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