映画コラム

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2022年01月23日

『さがす』冒頭1分で正座して一礼したくなる、とてつもない傑作

『さがす』冒頭1分で正座して一礼したくなる、とてつもない傑作


と、後100項目くらいは書けるのだが、いい加減長いので



なんだか「ここが凄いよ片山慎三の『さがす』」みたいに終始してしまっているが、凄いんだから仕方がない。

『さがす』はさまざまな映画を想起させつつも、片山慎三の刻印がショット毎に押されている。要はマッコリの瓶にすっげぇ美味い日本酒を入れたようなもので、一見、昨今の良作韓国映画のような顔つきをしているものの、飲んでみれば日本、という仕掛けになっている。

ただ、ここに弱みがあって、それは「韓国映画はどんなに薦めても韓国映画好きしか見ない」蛸壺だという点だ。「韓国映画は好きだけど日本映画は見ない」「洋画は見るけど邦画はみない」「邦画なんてみんな一緒で見限っている」なんていうのも同じリージョンで、SNS上では話題になれど見られずにスルーされてしまう可能性も大いに考えられる。

だが、本作の側だけ見て中身を飲まないのは、あまりにももったいない。こんなこと死んでも言いたくないものの、他に適切な言葉が浮かばないので勢いでタイプするが、今、千円札を2枚握りしめて体験できるエンターテイメントとしては、最もコスパが高い。と断言したが撤回する。鑑賞者にとってはコスパが良いかもしれないが、ありとあらゆる意味で本作はコスパが悪い。コスパコスパ言われるご時勢で、このようなコスパの悪い作品が登場したこと自体が、コスパを一瞬で失神させるほどのカウンターである。

とにかく観てほしい。大した説得力はないかもしれないが、味は筆者が保証する。


(文:加藤 広大)

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(C)2022「さがす」製作委員会

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