2022年02月03日

桐谷健太インタビュー|主演映画『ミラクルシティコザ』で感じた、監督やスタッフの愛に満ちた行動  

桐谷健太インタビュー|主演映画『ミラクルシティコザ』で感じた、監督やスタッフの愛に満ちた行動  


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これまでに数々の作品に出演し、俳優としても歌手としても活躍している桐谷健太。
そんな桐谷が主演を務めた映画『ミラクルシティコザ』が2月4日に全国で順次公開される。

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沖縄市コザで退屈な日々を過ごす翔太。将来への漠然とした夢はあるものの、スイッチが入らない。そんな翔太には、1970年代に米兵たちを熱狂させた伝説のロックンローラー、ハルという自慢の祖父がいた。しかしある日、そのハルが交通事故で死んでしまう。悲しみにくれる翔太だったが彼の前に死んだはずのハルがあらわれ、ハルの魂は翔太の体に、翔太の魂は1970年代のハルの体へと入れ替わってしまう。突然タイムスリップした翔太の運命はどうなるのか――。 

cinemasPLUSでは、主演の桐谷健太にインタビュー。撮影でのエピソードや作品にかける想いを語ってもらった。

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出会う前から知り合いのような感覚になったわけとは?


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――今回の作品のお話があったときは率直にどんな印象をもたれましたか?


桐谷健太(以下、桐谷):最初の台本を見せていただいたときに沖縄に対する視点や切り口が面白いなと感じました。監督からはその時点で、「感じたことや思ったことを何でも言ってください」と言われたので、自分なりの考えや、こうしたらもっと面白いんじゃないかなという点を伝えました。

 ――では撮影前から監督とコミュニケーションをとられていたのですね。

桐谷:監督がとにかく情熱のある方なので、直しがあるたびに台本が送られてきました。それに対してまた意見を戻すと、また直された台本が送られてきて…。それを何度か繰り返して、監督にはある程度決まってから送ってくださいって言いました(笑)。
このやり取りがあったので、撮影に入る前から一緒に作っている感覚がありましたね。


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――コロナ禍のため、撮影に入るまでにかなり時間がかかったようですが。

桐谷:そうですね。出演の話が決まって撮影に入るまでコロナ禍で3回くらい撮影が延期してしまいました。伸びに伸びて昨年の4月に撮りましたが、何度も撮影が延期になったので監督や沖縄の若手の役者さんたちの中では「桐谷健太、本当に来るんか?」ってなってたらしいです(笑)。

――桐谷さんのスケジュールもありますしね。それは監督やスタッフさんたちも不安だったでしょうね。

桐谷:そうなんですよ。だから沖縄から僕だけのために監督や役者さんがYouTubeで動画を作って送ってきてくれたんです。これは嬉しかったですね。でも僕しか見ていないので、再生回数は2回とかですけど(笑)。でもそのお陰で仲間意識が芽生えたので、沖縄で初めて会ったときには「おー!久しぶり」と、前から知り合いみたいな感覚でしたね。翔太役の津波竜斗をはじめ、バンドのメンバー役のみんなも、とにかく温かい素敵な人たちばかりで、すぐに打ち解けることができました。

――出会う前にYouTubeが送られてきたのですね。それは愛に溢れた現場だったでしょうね。

桐谷:そうですね。めちゃくちゃ楽しい現場でした。

エキサイティングな撮影現場


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――作品が70年代の沖縄ということで、その時代にタイムスリップしたような感覚で撮影されたかと思うのですが、いかがでしたか?


桐谷:実際にその時代から存在するお店で撮ったシーンもあったので感慨深かったですね。撮影では役者さんに加え、監督が声をかけて参加してくださったボランティアのみなさん、エキストラのみなさんもいましたが、愛情をこめて撮影に参加してくれている感覚がありました。コザに対しての強い思いを感じて、自分もその時代に来た!って感じになりました。

――その時代のバンドマンを演じるプレッシャーはありましたか?

桐谷:プレッシャーはとくになかったです。逆にライブのシーンでは観客として観ている外国の方たちをノせたいなと思いました。ですからライブのシーンはレコーディングをしたものを流すのではなく、その場で実際に歌いました。結果、すごく面白くてライブ感のある映像になったと思います。


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――ライブハウスのシーンはとにかくかっこよかったです。

桐谷:ありがとうございます。最後のライブのシーンもすでにレコーディングが済んでいましたが、実際に歌うことになりました。やっぱりその場で歌うと、お客さんとして観ている方たちの温度感も伝わりますし、全体の雰囲気が変わりますね。どう説明したらいいかはわかりませんが、パコーンとその空気感に包まれる感覚がありました。

作品のセリフから思うこと


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――作中、「この先、未来はないよ」という父親に対して「ビックサクセスを手に入れる」と翔太が対抗するシーンがありますが、翔太のように現在、もがきながら生きている青年に声をかけるとしたらどんな言葉をかけますか?


桐谷:そうですね……。もがき苦しんでいる最中の本人は気づかないでしょうが、そのもがいている姿も美しいと思います。でも、もがきながらも、どこを見るかということが大事だと思います。光のほうを見てもがいているのか、闇のほうを見ているのか…。光のある、楽しそうなほうを見ながら思いっきりもがいたらいいんじゃないかなって思います。

 ――今回の作品で20代の青年「翔太」を演じてみて、どんなところが一番難しかったでしょうか?

桐谷:最近思うのですが「この役、難しいな」と思うと本当に難しく感じてしまうので、そこは考えないようにしています。今回の翔太の役もよく考えると難しい役だと思うんです。おじいちゃんと体が入れ替わって、さらにはタイムスリップする役ですよ。むちゃくちゃ難しいですよね(笑)。翔太役の竜斗の話し方やしぐさは研究しましたが、とにかく「翔太として」そこにいようと心がけました。


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――ラストシーンに「誰にだって自慢したい時代があるはずだ」というセリフがありますが、桐谷さんがこれまで生きてきて、そんな風に思う時代はありましたか?

桐谷:僕は今が一番面白いと感じているタイプなので、過去を振り返ることはあまりないです。もちろん、子どもの頃の無条件に楽しかった感覚は思い出しますが、それは今でも味わえるはずだって思っています。だから、過去を振り返ってあの時代に戻りたいなということはないですね。

――では最後になりますが、これから作品をご覧になる方にメッセージをお願いいたします。

桐谷:この作品は、当時の沖縄の歴史や想いを感じることができる作品になっています。とはいえ、肩の力を抜いて楽しんで観ることもできます。ぜひ、劇場で「ロックンロール・エンターテイメント」を楽しんでください。

(ヘアメイク=石崎達也/スタイリング=岡井雄介/撮影=Marco Perboni/取材・文=駒子)

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