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2022年02月03日

「相棒 season20」第14話レビュー:花をめぐる男たちの愛憎劇…事件に潜む“悪魔”の正体とは(※ストーリーネタバレあり)

「相棒 season20」第14話レビュー:花をめぐる男たちの愛憎劇…事件に潜む“悪魔”の正体とは(※ストーリーネタバレあり)


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シーズン20作目となる「相棒」が、2021年10月13日(水)にスタートした。

水谷豊演じる杉下右京と、反町隆史演じる冠城亘の二人からなる警視庁・特命係が事件の謎を解いていく人気長寿シリーズの本作。今シーズンの最終話をもって7年相棒役をつとめた反町隆史が卒業することが決定しており、右京と冠城の“最終章”がどのように描かれるのかも見どころの一つだ。

本記事では、その第14話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

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相棒 season20」第14話レビュー



天才フラワーアーティスト・氷室聖矢(渡部豪太)の婚約者・内田絵里奈(小池唯)が殺されてしまう。

以前にもパートナーが謎の疾走を遂げ、婚約者を失うのは二度目だという氷室。ひどくショックを受けているのが伺えたが、そうかと思えば突然「カサブランカ」と花の名前を口にして仕事にかかってしまう。情緒不安定というか、まるで花を飾る仕事にとりつかれているかのようだ。

その後、氷室は生け花「有明流」の家元・尾崎(栗田芳宏)の自宅に押し入り、「絵里奈を返せ……」と泣き崩れる。尾崎は氷室の話を言いがかりだと否定。だが、実はこの尾崎、以前氷室の個展を酷評したことがあった。論理的考察を旨とする尾崎が氷室を過度に厳しく批判していたことが右京(水谷豊)はひっかかる。

逮捕された氷室は冠城(反町隆史)や伊丹(川原和久)らの前で「悪魔の仕業なんだ…」とつぶやく。悪魔とは一体何なのか。

一方氷室の婚約者たちにも不自然な点が見つかった。

氷室と最初の婚約者・栗原玲子(新実芹菜)の写真を見た右京は、玲子が背中で「フィンガークロス」を作っているのに気づく。これは心にもないことを言ったとき罰が当たるのを防ぐおまじない。玲子が氷室の前で嘘をついていたかもしれない……ということだ。

さらに青木(浅利陽介)が入手した絵里奈の通帳明細には不審な入金記録。玲子と絵里奈はお金で雇われて氷室に近づいたのでは?と右京たちは疑う。その後、氷室が海外で行われる企画展のメンバーから不自然にはずされていた過去も判明。どうやら尾崎の圧力らしい。やはり尾崎が氷室のいう「悪魔」なのだろうか。

ただ、この事件に関連して気になる人物がもう一人いた。生花の卸売業者・一之瀬(冨田佳輔)だ。

氷室と付き合いが長く花の管理も任されているという彼は、氷室と自分は「共犯者」だと語った。花を用いた芸術は植物の命を奪う罪な行為であり、「より美しく咲かせるために痛めつけることすらある」と微笑む一之瀬。ミステリアスで儚げな雰囲気が漂い、彼は氷室をどう思っているのか?となんとも疑問をそそる。

その後、尾崎について衝撃の事実が明らかになる。実は彼は創作のインスピレーションのためにヌードモデルを雇っており、ときに年端もいかないモデルを使っていたらしい。そのことを冠城に問い詰められた尾崎は、秘密を知る者から氷室の活躍の場を奪うよう脅されたのを明かす。

そして、伊丹たちの捜索で行方不明だった玲子=深川日菜子が見つかる。氷室と結婚を約束して姿を消すよう依頼されたという彼女に、右京は「依頼人はこの人では?」と有明流の会員名簿を見せる。

名簿にのっていた人物とは一之瀬。彼こそが尾崎や日菜子、絵里奈をあやつり、絵里奈を殺した張本人だった。

かつて有明流のホープだった一之瀬。氷室に仕事を奪われたため、そばで働きながら潰す機会を狙っていた。尾崎や日菜子の力を借りても氷室の創作意欲を奪えず、絵里奈を差し向けたが、そこで誤算が起きた。絵里奈は氷室を本気で愛してしまったのだ。彼女が「彼と結婚する」と口にしたため、一之瀬は絵里奈の首を花のツルで絞めて殺害したのだった。

右京が一之瀬の犯行に気づいたきっかけは、彼の服に付いていたユリの花粉。ユリは氷室にとって愛と悲しみの象徴の花。愛する人を失った氷室がカサブランカなどを欲すると見越して、一之瀬はあの日ユリを仕入れていたのだ。

“悪魔”の正体は一之瀬だった。しかし、右京は不思議に思う。氷室を潰したかった彼が、氷室の創作のためのユリを仕入れていたのは矛盾していないか……?と。

一之瀬は毒を飲んでおり、連行された後に死亡。氷室宛に絵里奈と恋愛関係があったかのような手紙を残していた。それを読んだ氷室は「悪魔と刺し違えるような作品を作ってやる」と創作に没頭していく。

一之瀬は氷室を憎んでいたのか。それとも、彼の才能を開花させるためにあえて“悪魔”となって痛めつけたのか。花をめぐる男たちの愛憎劇。その末になんとも重たい余韻だけが心に残る回だった。

(文:田下愛)

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