「駐在刑事Season3」第5話レビュー:女性の社会進出は、まだまだ前途多難?”アカハラ”が原因の殺人事件(※ストーリーネタバレあり)
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寺島進主演の金曜8時ドラマ「駐在刑事Season3」が2022年1月14日より放送スタート。
元・警視庁捜査一課の刑事だった江波敦史(寺島進)が、持ち前の洞察力で次々と難事件を解決していく大人気シリーズ第3弾。今度はどんな事件に立ち向かっていくのだろうか?
本記事では、第5話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「駐在刑事Season3」第5話レビュー
奥多摩で起こった次の事件は、山中での滑落事故。東京科学大学の面々が微生物研究のために水根山に入ったところ、不運な事故が起こってしまった。奥田教授(河西健司)が誤って足を滑らせ、加えてマムシに刺された毒により、亡くなってしまったのだ。
奥田教授の助手である河瀬明日香(野村麻純)が補助についていたにも関わらず、事故を防ぐことはできなかった。その件について、同じく教授である柿沼(神尾佑)は彼女のことを酷く責める。
果たして、この事故は予期せぬものだったのか。
それとも、第三者の意図による殺人だったのか……?
今回の事件捜査にあたって、奥多摩の駐在刑事である江波(寺島進)と刑事課長・和泉(藤井美菜)の間に、一種の信頼関係が生まれた。
35歳を目前に、仕事で目立った実績も上げられないまま、周りに置いていかれている感覚に悩まされている和泉。母からの頻繁な連絡にも心を疲れさせている。
奥田教授の死亡事故は確実に”殺人”であるとみて、少々、一方的な捜査に乗り出す和泉。なんとか手柄を立てようとする焦りが、全面に出てしまっている。そんな和泉の様子を軽部刑事(佐藤寛太)から聞いた江波は、上手く彼女をなだめながら捜査を進めていく。
やがて、捜査線上に浮かんできたのは、やはり柿沼教授と河瀬助手だった。
自身の出世のため、日頃から奥田教授の存在を邪魔に思っていた柿沼教授。同じく、奥田教授から”アカハラ”に遭っていた河瀬助手。利害が一致したことにより、柿沼教授が半ば無理やりに河瀬助手を従わせ、奥田教授を死に追いやったのだ。
アカハラ=アカデミックハラスメントとは、研究職員が「助手」→「助教授」→「教授」とステップを踏んで出世していく過程を、圧力によって封じる動きを指す。大学内で起こるパワハラといったイメージだろうか。
日々、奥田教授の元でせっせと研究に励み、論文を提出していた河瀬助手。しかし、奥田教授は「私の元で勉強した方が確実に実績を積める」と言って、河瀬助手が他の大学へ移ろうとするのを間接的に阻止した。
その様子を知っていた柿沼教授は、良い機会だとばかりに利用したのだ。
女性だから。まだ若いから。そんな理由でまともに仕事もできず、実績も上げられない。和泉は、河瀬助手の立場に大いに同情し、自身を重ね合わせた。
河瀬助手から見たら、若い女性である和泉が刑事課長にまで昇りつめている状況を見て、単純に羨ましく思うだろう。
しかし和泉は「あなたが思っているほど、上手くはいってない」と応じる。まだまだ女性の社会進出が前途多難である、現代の時勢を反映していると言っていいかもしれない。
江波と和泉で協力しながら捜査を進め、無事に真犯人を特定できた今回の事件。
和泉が警察になりたいと夢見るようになったきっかけは、幼少期、江波のような駐在員に世話になった記憶が残っているからだという。
これまで、なんとか実績を残し、出世したいという欲が強く出ていた和泉だが、自分のために捜査に協力してくれる江波の姿を見て、その態度が少しずつ軟化しつつある。
物語も、そろそろ折り返し地点。奥多摩に平和が訪れてほしいと願うが、どうやら次回も不穏な事件が幕を開けてしまう予感がする。
(文:北村有)
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