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「ミステリと言う勿れ」第7話レビュー:「炎の天使をやめる」……絶望が見せた哀しい幻想とは(※ストーリーネタバレあり)



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菅田将暉が主演、伊藤沙莉や門脇麦など豪華俳優陣が脇を固める新月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」が2022年1月10日(成人の日)より放送スタート。

物事を深く考える癖があり、特徴的なヘアスタイルが印象に残る、土日のカレー作りが趣味な大学生・久能整(菅田将暉)。身に覚えのない容疑を着せられたり、バスジャックに巻き込まれたりと、何かと事件に巻き込まれやすい性質である。

本記事では、第7話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「ミステリと言う勿れ」第7話レビュー

「炎の天使をやめる」……自身も虐待サバイバーである香音人(早乙女太一)は、虐待され苦しんでいる子どもを救うため、放火連続殺人を繰り返していた。しかし、自分が救った子どもたちが必ずしも幸せになっているわけではない事実を知り、絶望する。



自分がやってきたことは、間違っていたのか。

子どもたちに「自身の親を殺すこと」を選ばせる行為は、残酷なのか。

もう、炎の天使はやめたほうがいいのではないか。

香音人に救われた一人、陸太(岡山天音)は、そうは考えなかった。自分は生きるか死ぬかの瀬戸際から救い出してもらった。自分は香音人のおかげで幸せになれた。まだ助けを求めている可哀想な子どもたちはたくさんいる。

だから、炎の天使をやめてはいけない……。

前回の終盤で、倉庫に連れ込まれた整(菅田将暉)。自身の子どもに虐待を繰り返す両親とともに火をつけられそうになるが、ライカ(門脇麦)から贈られたツリーのオーナメントのおかげで逃げ出すことに成功する。

オーナメントの色は、赤。自分で「親を殺してほしい」と望み、炎の天使を呼んだ陸太にとって、赤色は自身を責め苛む色だった。まともに赤色を直視できない彼は、常にサングラスをかけなければ外に出られない体である。

整は気になった。陸太の言う「炎の天使=先輩」がどういう人物なのか、その目で確かめたくてたまらなかった。だから、その場で通報はせず、風呂光(伊藤沙莉)に電話を繋ぎながら陸太の後をついていく決心をする。噂の「炎の天使」に会わせてもらうために……。

しかし、香音人は実在しなかった



炎の天使をやめると決意した香音人。その直後、陸太とともに暮らす自宅に”リンゴ”を持ち込んだ。真っ赤なリンゴ。美味しいアップルパイを作って、陸太に振る舞おうとしたからだった。

その様子を目撃した陸太は勘違いをした。赤いものを見られない陸太を気遣い、これまで自宅に赤いものを持ち込むことはなかった香音人。炎の天使をやめるから、もう”助手”である自分は要らなくなる……そう勘違いした陸太は、錯乱した末に香音人を刺し殺してしまう

整は、ずっと不思議に思っていた。一人二役で話し続ける陸太に対し、その理由を知りたいと思っていた。陸太は、ずっと香音人の幻影を見ていたのだ。

その答え合わせの鮮やかさ、整を演じる菅田将暉の間の取り方。すべてのセンスが結集されたシーンと言えるだろう。

自身で香音人を殺してしまった事実がフラッシュバックした陸太。訥々と、自身の過去について語り出す。兄ばかり可愛がられていた。自分は「カエルみたいな顔」と実の親に罵られ続けた。風邪であっけなく兄が死んでしまってから、さらに虐待はヒートアップした

親に石段から突き落とされ、両足を骨折した。車椅子で学校に通った。同級生たちはそんな自分を担ぎ上げ、滑り台の上から勢いよく落とす遊びを繰り返した。その様子を見かけた担任は「カエルくんと遊んであげてえらいね」と相好を崩した

将来は教師になることを夢見る整。「自分をいじめた奴よりも、担任への恨みが強く残ってる。教師なんてそんなもんだ」と口にする陸太に対し、食い気味でこう告げる。

「その先生は、他のみんなと一緒になってあなたを”カエル”と呼んだ時点でダメです」

「僕は、いろんなことに気づきたいと思っています」

整の名言はこれまでも数知れず、しかし、今回は特筆に値するだろう。

彼が、どんな些細なことも見逃さず、小さなことにもこだわってしつこく言葉にしようとする習性は、おそらく彼の過去に起因している。

ハッキリとは明かされていないが、とある女性から「身の回りに当たり前にあるもの、言葉について、考えて考えて、わかったことを話そう」と教えられている描写があった。

香音人を殺してしまった事実を認め「死刑になるのかな、それはいいけど、それまでどうしたらいいんだろう」と途方に暮れる陸太に対し「考えてください」と伝える整。「考えて考えて考えて、誰かに話してください」。



児童虐待。とても一言では語れない社会問題だ。親が子どもに危害を加える。言葉にすると単純な現象に思えてしまうけれど、実態は複雑であり、第三者が介入するのは難しい。

虐待する親を消したからといって、問題はすべて解決するのか

本作は全編を通して、あまりに語られてこなかった「児童虐待に向き合う姿勢」を描き出そうとしている。

終盤にて、ライカ自身も虐待サバイバーであり、炎の天使に救ってもらった顔があることがわかる。彼女はお決まりの「自省録」を使った暗号で、香音人に祈りを捧げていた。自分は救われた、と。

それがせめてもの、炎の天使に対する弔いとなるのではないか。

今回はとくに、感想を記すのが難しい回だった。しかし、無理やりに「答え」や「オチ」をつける必要はない。曖昧なまま、結論を保留し、この件については”考えている途中”であることを示して論を閉じようと思う。

何事においても、救われる人もいれば、救われなかった人もいる。その事実があるだけなのだから。


(文:北村有)

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