「素直に感じ取ってもらえたら」森田剛主演『DEATH DAYS』公開記念舞台挨拶レポート
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森田剛主演の映画『DEATH DAYS』の公開を記念して、3月12日(土)にシネクイントにて舞台挨拶が行われた。
森田のほか、森田演じる「俺」の恋人・紀子役の石橋静河、監督の長久允、本作のドキュメンタリー映像『生まれゆく日々』の監督・山西竜也が登壇したイベントの模様をレポートする。
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森田の“なんなんだろうな”から生まれた「DEATH DAY」
映画上映前に行われた舞台挨拶。進行を務める山西監督の挨拶のあと、森田らが登場し、会場は大きな拍手に包まれた。森田が長久監督に電話をかけたことがきっかけとなって制作に至った『DEATH DAYS』。
YouTubeで長久監督の作品を観たという森田が、「直接お電話させていただいて、(長久監督が)出られなかったので自分の名前と、会ってください、という留守電を残しました」というと、長久監督も「ある日、知らない番号から、『森田剛です。会いませんか』という詐欺みたいな電話が……」と当時の想いを口にし、笑いを誘った。
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そんな作品の構想は、森田と長久監督が実際に会って話をしながら生まれたもの。
自身が興味を持っていること、思っていることについて話していく中で、死ぬこと、生きることについても最近考えている、と話したという。
山西監督から森田自身が死を考え始めるきっかけとなったことについて問われると、考えるような表情を見せたあと、「飼っていた犬が死んだときに、一生分泣いたと思うんですよね。でも、おじいちゃんが死んだときは全く涙が出なくて。なんなんだろうな、とか。今も寂しくはないんですよ。会えなかったりとか、嫌だけど、寂しさっていうのはなくて、なんなんだろうな、という話を長久さんにしました」と語った。
森田の“なんなんだろうな”。それがまさに『DEATH DAYS』の問いかけかもしれない。
濃密な撮影現場の様子は?
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撮影中のエピソードについて問われると、石橋は長久監督の現場の難しさについて語った。「長久監督の頭の中で作品が出来上がっていて、明確に見えているものがあるんだな、と。そこに合わせていくこと、あと、長久節というかセリフが独特でクセがあるんですけど、その点も難しかったですね」。長久監督自身も、石橋が「めっちゃむずっ! と言っていた」のを耳にしていたそう。
そんな石橋とのシーンについて、森田は「最初の本読みのときから、どんどん楽しくなっちゃって」。石橋も思わず大きく頷いたが、監督からは「それじゃあダメだ」と言われてしまったのが苦しかった、と明かした。確かに、森田と石橋のシーンは会話のテンポがとても心地よく、心がくつろぐ半面、形容し難い切なさもある。それは、そんなふたりの苦しみがあったから伝わるものだったのかもしれない。
また、今作の特徴のひとつが、ドキュメンタリー映像が同時上映されることだ。
ドキュメンタリーを撮影した山西監督が森田に感想を求めると「あ、観てないです」と冗談を言って、いたずらっ子のような笑みを浮かべたあと、「すばらしかったですね」と続けた。
「本編の映画に(ドキュメンタリーのカメラが)みっちりついてきてくれることはなかなかないと思いました。余すことなく撮ってくれて、そこまで見せるんだ、というのも感じたし。見ごたえがあると思います」と語った。
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作品の見どころについて聞かれると……
長久:この映画をなんのために作ったかというところを受け止めてもらえたら嬉しいなと思っていますね。そもそもDEATH DAYっていう死ぬ日が決まっているのをわかってる人の物語という全体のコンセプトから、何かその物語を受け取ってもらえたら嬉しいな、と思います。石橋:森田さんが話されていたように、リハーサルのときにすごく楽しくて、セリフのテンポが良いので、どんどん、どんどん楽しくなっていく感じがあったんですけど、それを監督にダメって言われて。『うっ』という鬱屈とした感覚を持ちながら芝居をしていたんです。でもそれが一番最後のシーンで救われるというか。そのシーンが私はとても素敵だな、と思って。そのためのその前の苦しい瞬間があって。最後が生き生きとした作品になっているので楽しみにしていただけたら嬉しいです。
森田:生きるっていう意味ですごく力強い作品だし、優しい映画でもあるし。素直に感じ取ってもらえたらな、と思っています。
それぞれのDEATH DAY
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最後はTwitterで募集した質問の中から1問だけピックアップして森田らに投げかけた。
「もし、自分のDEATH DAYがわかっていたとしたら、最後の1日何をして過ごしますか?」
長久:書きかけのシナリオをクラウドにアップして妻に託して、娘とプールに行ってアイス食って遊ぼうと思います。
石橋:家族でごはんを食べてお昼寝しながら死にたいです……って死にたいだと語弊がありますね(笑)。DEATH DAYを迎えたい。
森田:絶対嫌なのはひとり。誰でもいいから見ててほしいです、死ぬところを。それだけです。
「生」と「死」ってなんなんだろうな
毎年訪れる、死ぬかもしれない日「DEATH DAY」。映画を観終えたあとはどうしても、実際にDEATH DAYがあったら自分はどう過ごすか、と考えずにはいられない。そしてDEATH DAYを乗り越えたあと、どう思うだろう。
「死ななくてよかった」「生きててよかった」「今年も死ななかった」……。
その感想の中に、今の自分の生と死への向き合い方が秘められているのかもしれない。
(取材・撮影・文=ふくだりょうこ)
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