『ツーアウトフルベース』阿部顕嵐×板垣瑞生インタビュー 「一緒にいるのが当たり前」な存在に
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阿部顕嵐が主演を務める青春映画『ツーアウトフルベース』が3月25日（金）より公開される。本作は、かつてはプロ入りを期待されながら、堕落した日々を送る元高校球児イチ（阿部顕嵐）とハチ（板垣瑞生）がヤクザや不良グループによる血みどろの抗争にまで巻き込まれ、絶体絶命のピンチから抜け出そうとする姿を描くストーリー。
今回は、お互いを顕嵐と瑞生と呼び合うほど、仲が深まったという阿部顕嵐と板垣瑞生をインタビュー。撮影中のエピソードや、お互いのことをテンポ感よく楽しそうに話す2人の様子を余すことなくお伝えしよう。
ハードなシーンを「大変だと感じないくらい楽しかった」
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――『ツーアウトフルベース』を観させていただいて、全体を通してハードなシーンが多い印象でした。撮影もかなり大変だったのではないでしょうか？
板垣瑞生(以下、板垣)：本当に大変でしたよ……。ハードすぎて、最後まで演じ切ることができるのかわからなくて、途中で「辞めようかな〜」と思いましたから。プロデューサーさんに「1回休ませてください」みたいなお話もして、現場から1回走って逃げたりしたこともあって……。
阿部顕嵐（以下、阿部）：あの……全部嘘です。
板垣：あはははは！
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――聞いちゃいけないことを聞いてしまったのかと焦りました（笑）。ぜひ本当のところを教えてください。
板垣：すみません……！（笑）撮影中は、とても楽しかったですね。顕嵐と一緒に作品を作れたことはもちろん、撮影自体も毎日がすごく濃くて、1日の終わりには「今日何があったっけ？」って忘れてしまうくらい。だから、なんとなくの記憶で、次の日新たな気持ちで現場に行くことが多かったですね。
阿部：期間としては、2回に分けて撮影したのですが、どちらもあっという間に終わりましたね。映画自体が、すごく駆け巡るような内容だったのもあって、瑞生が話してくれたように、毎日何があったか忘れちゃう感覚になりました。すごい贅沢で凝縮された時間だったなというのを、今でも覚えてます。
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板垣：あとはアクション的にもかなり激しかったので、すごく「生きてる！」って感じがしましたね。ヤクザから逃げるシーンは全力で走ったし、体力的には大変なところもあったんですが、そういうのを大変だと感じないくらい、本当に楽しかったんです。
阿部：たしかに！ 瑞生の話を聞いて、一気にフラッシュバックしたんだけど、ヤクザから逃げるシーンはセリフを言おうと思っても、なかなか言えなかったよね？
板垣：そうそう！ 2人とも息切れしてしまって何を言っているかわからないし、「セリフなんだったっけ？」と一瞬わからなくなるし。
阿部：ね！ あのシーンを演じたときに、全力で走った後だと、セリフが出てこなくなるんだなって初めて気づいた。
一緒にいて気づいたお互いの魅力とは
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――お互いに顕嵐、瑞生と下の名前で呼び合っているのですね。
阿部：たしかに！
板垣：撮影のときは、ずっとイチって呼んでいた気がするんだけど……。でも顕嵐くん、瑞生くんと呼び合ったことはなく、最初から呼び捨てだったね。
阿部：そうだね。「呼び捨てで、呼んでいいよ」とか「タメ口で良いよ」とかもなく、自然な流れで顕嵐と瑞生と呼び合っていた気がする。
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――映画を観ていても、イチとハチの幼なじみ感が自然で「かなり仲が良いんだな」と感じました。撮影中の思い出があれば教えてください。
板垣：かなり仲良くなりましたね。撮影終わりや、撮影の合間に2人でサウナに行くこともよくあって。楽しかったな〜。あのときのミストサウナすごく良かった！
阿部：懐かしい！ たぶん少なくとも10回は行ったよね。
板垣：でも正直「撮影中の思い出は？」と言われると、ぱっと思い浮かばないんですよね。一緒にいるのが当たり前すぎて、あの期間そのものが楽しかった思い出なんです。
阿部：わかるかも。一緒にいるのが当たり前すぎて、思い出になっていないんだよね。クランクアップ後も流れでご飯食べに行って「じゃあ、また」って別れたくらい。
板垣：そうそう！ 地元の友達と一緒にいる毎日が思い出とは少し違う感じ？ あれに似た感覚で。たぶん2人で遊園地に行くとか、旅行に行くくらいの大きいイベントがないと残らないのかもね。
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――相当仲が良いのが伝わってきます。そんなおふたりが一緒にいて気づいたお互いの魅力を教えてください。
板垣：顕嵐はすごくかっこいいし、優しいんですよね。しかも、その優しさがわかりづらくて、さりげないんです。その場にいる人を自然と会話に入れてくれる感じとか、会話にオチがつかないときにも反応してくれる感じとか。
阿部：なんかそういうところに気づかれていたんだって思うと恥ずかしい……！
板垣：ふふっ！ たぶん本人はさりげなく無意識にやっているのですが「そんな人なかなかいないよな〜」と感心しながら、そんな人と一緒に作品を作れて本当によかったなと思いました。
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阿部：僕も瑞生は優しい人だなって思っていたけどね。誰にでもラフに話しかけられて、相手に心から興味を持てる人ってなかなかいないよ。あとは、瑞生はバラみたいな人だなと思いました。品があるけど、尖っている。そこのバランス感覚がちょうど良いなって。品があるからこそ、泥くさい一面も素敵に見えるし、みんなから愛される要素がある人だなと思っています。
板垣：嬉しい……！ そんなに褒められることないから、今すごく照れています（笑）。
「生きていてよかった」と振り返るシーンも
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――本作を拝見して、すごく遊び心が溢れているなとの印象を持ち、まだまだ「実は……」というポイントが隠されているんじゃないかと感じました。おふたりが特に注目してほしいポイントはありますか？
阿部：たしかに、小物とかフィギュアも監督やプロデューサーが持ち寄ったものだったりするので、ぜひ注目してほしいです。でも、正直、僕らが気付けていないようなこともある気がする。
板垣：僕は顕嵐が運転するシーンにぜひ注目してほしいですね。あのシーンは「カメラのギリギリまで来てください」と言われて撮影したのですが、テストのときは緩やかなスピードで確認したんです。それなのに本番になった途端に、顕嵐が本気でスピードを出したので、助手席でとても焦ったんですよね。
阿部：あれね！ 僕も「カメラを壊しちゃうんじゃないか」ってすごく焦った。
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板垣：本当によくあんなギリギリで止まったよ。助手席で「人轢いちゃうんじゃないか」ってすごく焦ったもん。カットがかかったあとでも、しばらく放心状態だったよね。
阿部：そうそう！ かなりスピードを出していたし、砂利道だったからブレーキが効かなくて「ごめんなさい！」って思った。あれはもう2度とやりたくないな……。
板垣：そうだと思うよ！ 海も近かったから、本当に怖かったよね。たぶん僕、顔に出ているんじゃないかな。今思い出しても「本当に生きていてよかったな」って思うもん（笑）。
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――ぜひおふたりの表情に注目してみます。最後に、今回の映画を観る人に見どころを教えてください。
阿部：ヤクザが出てくる映画って聞くと、少し抵抗がある方もいると思うのですが、構えなくても見られる内容ですし、敷居が高くないので、気軽に見てほしいですね。あとは、ムダなことを多くしているようで、全てに意味があるような作品だと思います。
板垣：僕は顕嵐とは少し違って、良い意味で意味がない作品だなと思っています。でも、人生って意味がないことをどれだけやるかの話だとも思うんです。イチとハチも意味がないことをどれだけ楽しんでいるかの人生ですし、僕たちもそう。仕事をしなければ生きている意味がないのかと言われたら、そんなことはないし、仕事そのものだって、ある人から見たら必要がないことだとも思うんです。でも、そういう意味のない必要なことをどれだけ楽しめるかということが、この映画に詰まっていると思います。
阿部：たしかにね。そういう意味では、最初は流し見でも良いと思います。一度見たら、絶対にもう一度見たくなると思うので、まずは劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです！
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（撮影＝Marco Perboni／取材・文＝於ありさ）
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