(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
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2022年04月19日

<考察>『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』このスペクタクルはハリウッド超え!?

<考察>『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』このスペクタクルはハリウッド超え!?

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「真実はいつもひとつ」


知力と脚力で解決する“あの探偵”が今年もやってきた!

青山剛昌の大人気コミック劇場最新作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が公開。映画館は賑わいをみせている。本シリーズは作品を重ねるほどにハリウッド顔負けのアクションとなっている。

『名探偵コナン ゼロの執行人』では、迫りくる電車に向かって江戸川コナンを乗せた車が突撃し、間一髪で切り抜ける。『名探偵コナン 紺青の拳』ではシンガポールを舞台に400戦無敗の空手家・京極真とコナンが、拳とサッカーボールで殴り合い、マリーナベイ・サンズが前代未聞の爆発を引き起こすのだ。もはや『ワイルド・スピード』に匹敵するアクション超大作になっているのである。

さて、最新作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』はどうだろうか。筆者が観賞したところ、アクション映画としてハリウッドを超えるレベルに到達していた。今回は、本作におけるスペクタクルの緻密さについて考察していく。

※本記事では『ハロウィンの花嫁』の核心に触れているため、劇場で観賞後に読むことをおすすめします。

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奇襲、銃撃、爆破のフルコース

■その修羅場、凶暴につき



華やかな結婚式が襲撃される。駐車場では首輪型の爆弾を付けられた男が逃げる。2つの修羅場が激しく折り重なる。結婚式は、侵入者とそれを止める参列者によって、もみくちゃになる。

不幸にも花婿が銃撃の餌食となってしまう。しかし、これは警察の演習だった。ドキッとする緊張の時間が安堵の空間へと変わり平穏を取り戻していく。



駐車場では最悪な結末を迎える。助けを求める男は爆発する。公安警察の風見裕也は爆風に飛ばされる。仲間の降谷零は風見を助ける中で殺し屋プラーミャに首輪型の爆弾をつけられてしまうのだ。

ここから本題が始まり、観客が息をつく暇はない。コナンたちが毛利小五郎とランチに向かう道中、ボロボロのタブレットを持つロシア人と遭遇。彼は紙を落とす。灰原哀はそれを彼に渡す。突然大爆発が起こり、彼女は道路へ投げ出される。そこへトラックが通りかかる。彼女を守ろうとした毛利小五郎は重傷を負ってしまうのだ。

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は徹底して、修羅場から観客を解放することなくノンストップで駆け抜けていく。このように物語が落ち着きを見せ始めても油断はできないのだ。

少年探偵団がなんも変哲もないおつかいを頼まれる場面ですら容赦しない。おつかい先に起動数分前の爆弾が出現したりするのだ。シリーズ最凶クラスでコナンたちを殺しにかかる物騒なジェットコースタームービー。

これが『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の正体である。

■「君、この程度の危機慣れているよね。」



観客の緊張とは裏腹に、ある異変に気づくだろう。それは江戸川コナンをはじめとして、登場人物が手慣れた手つきで修羅場を処理していくのだ。お馴染みのタイトルシーンを思い出すと、灰原哀がコナンに

「早く、いつもの台詞いいなよ。」

とメタ発言しながら迫る。修羅場に愛されているコナンと愉快な仲間たちにとって、トラブルシューティングは朝飯前だ。たとえ銃口を突きつけられても、焦りは滴る汗にとどめ平然たる態度を崩さない。爆弾のある部屋にコナンが閉じ込められても、彼は少年探偵団に指示を出す。少し焦るものの、少年探偵団は粛々と布を張って彼の脱出を待つ。ヒントがキリル文字で書かれていても、それを解読し真実に向かって駒を一歩を進める。



このように事態の深刻さに対して手際があまりに良いので降谷零に、

「君、この程度の危機慣れているよね。」

と言われてしまうし、もはや毛利小五郎を眠らせることなく粛々と潜入捜査を行ってしまうのだ。

つまり、本作は修羅場のプロフェッショナルの仕事ぶりを楽しませてくれる作品に仕上がっているといえる。ハッピーエンドになるであろう安心感と、次々現れる修羅場をどのように切り抜けていくのかが観どころであり『ミッション:インポッシブル』を彷彿とさせる高揚感がある作品なのだ。


■降谷零と仲間たちのアクションに注目



『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』がプロフェッショナルの映画だとするならば、降谷零と警察学校時代の同期メンバーによるチームワークに注目してほしい。

緊迫の潜入から形勢逆転、劣勢からチームワークによる脱出へのプロセスが華麗である。雑居ビルに立て籠り犯がいるらしい。降谷零と松田陣平が、問題の部屋にたどり着くと、男が縛られている。ロシア人らしい。ロシア語で情報を引き出し、解放する。

奥の部屋に、犯人らしき人物(プラーミャ)がいる。爆弾がある。降谷はプラーミャを追い詰めることとなる。一方、松田は爆弾解体に専念する。曲芸のように移動する、プラーミャ。死角から銃弾を撃ち込み、扉を投げつけていき、急上昇、急下降する難敵だ。その手強い逃走により、プラーミャは松田の背後から銃口を突きつけるのに成功してしまう。

これは絶体絶命だ。ここでチェックメイトかと思うと駆けつけた仲間がカバーする。外れた扉で松田を守る。フックショットで、数十m先のビルに飛び移ったプラーミャに追いつくため、即席でジャンプ台を作り、降谷を隣のビルへ撃ち放つのだ。



雑居ビルの高低差と、迷路のような複雑さをチームワークで攻略していく立体的なアクションに、最強同期軍団によるプロフェッショナルの流儀を味わうことができる。

この回想シーンの高低差アクションは、現実パートへと引き継がれている。序盤では、爆弾のある部屋に閉じ込められたコナンが、外のパイプを伝って地上へ降りようとする。しかし爆発による熱で溶解しボロボロ崩れ去るパイプ。それをアニメ的コミカルさで下っていく。

コナンパートではこのような小さな高低差アクションの挿話を繋いでいく。ビルの屋上から地下へと東奔西走する中でダイナミックな動きへと化し、渋谷全体が高低差アクションの舞台となるのだ。

このミクロな視点からマクロな視点への発展は、次章のガムとサッカーボールの関係性から深掘りしていくとする。

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