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2022年05月23日

「鎌倉殿の13人」第20話:戦の天才・義経は最期まで戦いを楽しんだ

「鎌倉殿の13人」第20話:戦の天才・義経は最期まで戦いを楽しんだ


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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

本記事では、第20話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「鎌倉殿の13人」第20話レビュー




「おまえが日の本一の英雄となった。平家を倒したのはおまえだ。ようやった、九郎!」
藤原秀衡(田中泯)の言葉に義経(菅田将暉)は唇をわななかせて涙をこぼす。
それはきっと、頼朝に言ってほしかった言葉なのだ。

義時、平泉へ


藤原秀衡を頼り、奥州平泉へ身を寄せた義経。このことで、平泉は鎌倉に対抗しうる勢力を持ったことになる。
しかし、まもなく秀衡が逝く。残されたのは国衡と泰衡という仲の悪い兄弟。秀衡は兄弟で力を合わせるように言うが……。

一方、義経を連れ戻したい義時(小栗旬)だったが、頼朝(大泉洋)は義経が生きて戻ることを許さないという。泰衡に取り入り義経を討たせて、勝手に義経を討った藤原を大義名分のもと鎌倉が討つ。この世界に信じられるものなどない、と思わされてしまう。

何か言いたげな表情をにじませる義時に頼朝は「あくどいか? あくどいよのぅ」と言う。
戦のない、平和の世にするためには鎌倉に抵抗し得る勢力は徹底的につぶさなければならない。
義経が頼朝に盾つくとは思えない。しかし、頼朝は信じられないのだ。

 奥州へ向かう義時。そのそばには善児(梶原善)の姿が。
「なにかと役に立ちますよ」という善児に視聴者は震撼するばかりである。

女たちのそれぞれの最期

平泉も義経をあっさりと引き渡すわけにはいかない。
だからと言って慌てふためき、右往左往する青さは義時は、もうない。
義経に鎌倉を討つよう煽り、危険性を感じた泰衡が動いてくれればそれでいい。

畑仕事に励み、一見、毒を抜かれたように見える義経に、義時はわざとらしく静御前の話をする。
自分の身元を明かすなと義経に言われていた静。しかし、比企能員の妻・道(堀内敬子)にあおられ、自分が静御前であると言い切る。
名を騙っているかもしれない、と実際に舞を見せることになるがそれでも、義時は今からでも間に合う、下手に踊って言い逃れをするように言い含める。できれば、義時としては静の命を救いたいのだ。

 

が、静は結局、頼朝たちの前で美しい舞を見せた。「女の覚悟」である。その覚悟を受け止められたのは政子(小池栄子)だけだっただろう。

静に向かって義時は「あなたは身勝手だ」と言ったけれど、確かに黙っていれば生き延びることもできた。おなかの子を殺されることもなかった。それでも、静には女のプライドがあった。そしてそのような道を選んだ静を義経は誇りに思ったかもしれない。

しかし、義経に静の話は効果てきめんだった。

 一方、平泉まで義経と共に来た正室・里(三浦透子)。まもなく泰衡が攻め入ってこようというところで、恨み言を口にする。こんなところへ来たくなかった、畑仕事もしたくなかった。まさか義経と夫婦になったことで、このような未来が待っているとは想像もしていなかっただろう。

そんな中、里は京で襲ってきた刺客は自分が手配したものだったと告白する。静を殺すつもりだった、と。あの事件が分岐点だった。頼朝が刺客を送ってきたと思った義経は周りのそそのかされたとは言え、挙兵を決意したのだ。

取り乱した義経はそのまま里を刺し殺す。一撃で。ハッとした義経は息絶えた里の体を抱きしめ涙を流す。

 里という女性をどう受け止めるかは人によって変わりそうだ。
なぜ、このタイミングで告白したのか。義経への恨みか、懺悔か。抱えたまま死ぬには苦しすぎたか。
静への嫉妬に狂った里が義経を破滅に導いたとも見える。その苦しみが里の中にあったのだろうか。
それともどちらにせよ奪われる命、それなら義経に殺されたほうがいいと思ったのか。
おそらく、里を殺したあと、義経は自らの手で娘も殺している。その荷をひとりで追うのは、義経がうけるべき罪なのか。

ある種、静も里も、自分の意思を貫き通し、生きたい道を全うしたとも言えるのかもしれない。最悪の中で選んだ最善なのかもしれないけれど……。

戦の天才、逝く


死の直前、義経は義時を呼び寄せて話をする。
義経は義時がわざと自分の憎しみを募らせようとしていたこと、頼朝の企みも気がついていた。
「自分の手を汚さず泰衡に討たせる。兄上の考えそうなことだ」
そんな義経に、義時はそれがわかっていながらどうして、と言う。

 「そこまで兄上にとって私は邪魔なのか。そう思うとどうでもよくなった」

 義経のこれまでの頼朝への想いの積み重ねはここに繋がる。
そして、義時に「人を信じすぎる」と言われた義経は「この首で平泉が守れるなら本望だ」と笑う。守れない。最後の最後まで義経は人を信じすぎた。

 そんな義経が披露したのは鎌倉の攻め落とし方だった。その方法を喜々として語る義経は、まるで楽しいゲームの話でもしているようだ。
さらに鎌倉に攻め入る場合、三浦を味方につけておく、という。

「親父ではなく息子のほうだ。あいつは損得の分かるやつだからな」

三浦義村……ちゃらんぽらんな風に見えて、いざというときに義時が頼ってしまう義村(山本耕史)……。しっかり義村の手綱を握っておけよ、というアドバイスだったとしたら……。

 戦が好きで天才で、兄である頼朝が好きで認められたくて義姉の政子を慕っていた義経。
兄とふたりきりで語り明かす。その夢は義経が生きているうちに叶うことはなかった。

義時がこれから進む道


少し前の義時なら、義経にわざとらしく静御前の話をすることはできなかっただろう。

多くの死が重なっていく中で、義時は頼朝に似てきてしまった。義村の言葉通りに。そしてこの時代を生き抜くためには必要なことだ。

が、無邪気に八重(新垣結衣)に山ほどのお土産を持ってきていた義時はもういないのだと思うと寂しくて仕方がない。息子の金剛が帰ってきた義時に「お土産は?お土産は?」と聞いていたけど、きっと八重が話して聞かせたんだろうなあ、と思うとほっこりする。

義時にとって、八重と金剛は唯一の安らげる場所で、守りたいもの。以前のような義時の表情も垣間見える……がすでに来週の予告が不穏である。このまま、八重さんには義時と添い遂げてほしいけれど……。

(文:ふくだりょうこ)


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