2022年05月21日

舞台『薔薇王の葬列』公開稽古レポ——両性具有の主人公を演じる若月佑美・有馬爽人らが意気込みを語る

舞台『薔薇王の葬列』公開稽古レポ——両性具有の主人公を演じる若月佑美・有馬爽人らが意気込みを語る





Wキャストとして両性具有という難しい役どころとなるリチャードを演じる若月佑美は「これから稽古で詰めていきますが、キャストの皆さんにたくさん影響をいただきながら頑張ろうと思っています。面白い舞台になると思うし、そうしなければとも思っています」とやや緊張をにじませた表情で率直な想いを口にし、同じくリチャード役の有馬爽人は「殺陣の稽古など初めてのことが多く、僕にとっても新たな挑戦。本番までにリチャードをもっと追求していきたい」と目を輝かせた。


リラックスした様子で松崎とコミュニケーションを取る和田


ヘンリーにひざまずくヨーク公爵リチャード(谷口賢志)の真意は……


リチャードの宿敵・ヘンリーを演じる和田琢磨は「自分の地位や権威、人の欲望、愚かさ、醜さをすごく美しく描かれている作品」と原作の印象を語り、「いろんな役者の表情を間近で観られることが個人的にも楽しみ。そしてそれをお客様に伝えられるように頑張っていきたい」と意気込む。



リチャードの兄でヨーク家の長男・エドワード役の君沢ユウキは、男女でのWキャストという本作ならではの配役について触れ、「個人的にはリチャードとヘンリーの関係性が好き。男性キャストがやる上での女性になれないという苦しみ、女性キャストがやる上での男性になれないという苦しみが、全然違うように見えると思うので楽しみにしてほしい」と熱弁し、次男・ジョージを演じる高本学は「最近の2.5次元舞台は歌やダンスの表現が織り込まれている中、『薔薇王の葬列』はお芝居だけでやるというのがチャレンジだなと感じた。演劇の持つパワーで原作の世界観を真摯に伝えていきたい」と力強く宣言。


長い手足で華麗な殺陣を繰り出すケイツビー役の加藤将


ヨーク公爵リチャードに忠誠心を見せるウォリック伯爵(瀬戸祐介)。ヨーク家を取り巻く人間関係も本作の見どころ


リチャードが生まれた頃から仕えている世話係・ケイツビー役の加藤将は「ケイツビーとしてはWキャストの二人を最後まで見守る存在でいたい」と役さながらにコメントし、ヨーク公爵リチャードの参謀的存在・ウォリック伯爵を演じる瀬戸祐介は「シェイクスピアが題材になってはいるが、僕はスパイス的にしか意識していない。演出が信頼の置ける松崎さんなので“シェイク史也”として後世に語り継いでいきたい」と笑いを誘った。



ヘンリーの息子でリチャードに心惹かれるエドワード王太子役の廣野凌大は「それぞれが正義を持っていて、純粋に生と愛にしがみついている作品」とし「本作はそこまで映像や音楽に頼っておらず、あくまでも人間の力で演じる作品だと思う」と真っ直ぐに伝える。


ヨーク家の家族愛を感じさせる一幕。しかし、リチャードには葛藤が……


この日、初めて稽古に合流したというウォリック伯爵の長女・アンを演じる星波は「アンは素直で純粋な子なので、アンのピュアさを大切に演じていきたい」と真摯に語り、続けてリチャードの母親ながらリチャードを忌み嫌うセシリー役の藤岡沙也香も「周りに何を言われても自分の考えを貫いていくセシリーを歩んでいきたい」と笑顔を見せた。

ヘンリーの妻・マーガレット役の田中良子は「顔合わせの時に俳優さんたちを見て、原作にふさわしい俳優さんたちだと感じた」と第一印象を振り返りつつ「最終的にはただの一人の母親として存在していきたい」とコメント。


ヨーク公爵リチャード役の谷口賢志


役に入ると厳めしいオーラをまとう谷口も、松崎と演出プランをすり合わせながら笑顔をのぞかせる


リチャード、エドワード、ジョージの父であるヨーク公爵リチャードを演じる谷口賢志は、コロナ禍での演劇界についても言及。「演劇が社会にとって必要なのかというのは僕の中でもずっと考えている。心が苦しい時は楽しんだり癒される作品の方がいいと思うけど、それが果たして社会のためになるのか。今回僕たちは社会と繋がる覚悟を持って命がけで世界に演劇は必要なんだと胸を張って言えるように戦っていきたい」と真っ直ぐに前を見据えた。

そして、先ほど松崎から大絶賛を受けたジャンヌダルク役の佃井は「松崎さんに嬉しい言葉をいただいて気が引き締まる思い」とし、続けて「ジャンヌはリチャードとすごく関わりがあるので、お二人と関係を大切に作りながら素晴らしい作品を届けたい」とアピール。



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最後に有馬は「リチャードが主人公だけど、登場人物ひとりひとりが濃い作品。もし僕がお客様として観たとしたら、一回観ただけでは満足しないと思う。若月さんのリチャードとしての物語、僕のリチャードとしての物語はまた違ってくると思うし、他の人物での視点として観ても面白いはず」とファンの期待を煽った。

さらに若月は「皆様の原作へのリスペクトが半端ない。皆様と話すことでよりリチャードの感情が見えてきたり、こういう物語だったんだと気づくことが多い。カンパニーがちゃんと愛を持って『薔薇王の葬列』を上演したいと思っていることを一番にお伝えしたい。そして、お客様が観終わったあとにたくさん感想を言い合えるような舞台にしていきたい」と意気込んだ。

(撮影:編集部、取材・文:榎本麻紀恵)

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(C)菅野文(秋田書店)/舞台「薔薇王の葬列」製作委員会

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