2022年05月26日

「このラストは“エンド”ではない」映画『恋い焦れ歌え』主演・稲葉友インタビュー

「このラストは“エンド”ではない」映画『恋い焦れ歌え』主演・稲葉友インタビュー


音楽経験が作品に役立った?


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――稲葉さんはもともと音楽をやられていますが、今回役立ったことはありますか?

稲葉:曲をつくったりラップをしたりは趣味でやる程度なんですけど、ヒップホップやラップに全く抵抗のない人間だったという意味では、音楽経験が生きたかもしれないです。

音楽には本当にさまざまなジャンルがあるし、わからない人にはわからないということもあると思うんです。特に言葉を大事にするジャパニーズヒップホップと呼ばれるジャンルは未成熟だからこそ、いろいろなスタイルやカルチャーなどの要素があって、全く触れていなかった人にはハードルが高いかもしれない。それに昔から触れていてハードルなく入れて「役に立った」という実感すらなかったことは、気づいていなかったですがよかったことかもしれないです。


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――ハハノシキュウさんがラップの監修をされたんですよね。

稲葉:スタジオでラップを録音した映像を見てもらって、リモートでアドバイスをいただきました。GOMESSさんという若手のラッパーさんがいるんですけど、「GOMESSさんみたいなかっこつけ方ができるといいかもね」とか。そういう内容が理解できたのも、元からラップが好きだった経験が活きました。

――最近ハマっている音楽があれば教えてください。

稲葉:どうしましょうね……? こういうときなんですよね、悩むの。

(考えてから)KREVAさん。ラッパーであり、DJであり、アーティストですよね。先ほどいろんなジャンルやスタイルがあるとお話したんですけど、KREVAさんはそのどこからもリスペクトを勝ち取っているし、武道館でソロでやられてても成立する。「一人でゆっくりせりあがってきくるだけで、こんなに魅せられる人がいるんだ」と思うような、男としてもかっこいいなと思う瞬間が多くて。


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僕はラジオのレギュラー番組もやってて、アーティストの方がゲストにいらっしゃるんですけど、そこにKREVAさんもいらっしゃって「好きです!」みたいな感じでいろいろお話して。何度お話してもずっとかっこいいんですよね。何気ない言葉の返しとか、ふとした気づきだったりとか。こっちの興奮の仕方も完全にファンのそれになっちゃっています。「(声のトーンが高くなって)え~今日KREVAさん来るの? もっとおしゃれしてくればよかった! KREVAさんと写真撮るじゃん、今日! 言ってよ~!」 みたいな(一同爆笑)。

でも昔から好きだったいちファンが実際会っても、より好きを増させるようなパワーも含めて、やっぱりKREVAさんかっこいいな、好きだなと思いますね。ソロでの活動が多彩だし、今のご年齢になって若手の方をフックアップするような活動もされていますし、どう切り取ってもダサくない。「こんなことKREVAさんにしてほしくなかった!」みたいな瞬間がないんですよね。

このラストは「エンド」ではないと思う


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――この映画は観る人によっていろいろな受け取り方や感想がある作品だと思います。稲葉さんは、ハッピーエンドだと思いますか? バッドエンドだと思いますか?

稲葉:ああ~。うーん……なんか、二択じゃないような気がしちゃうかもなぁ……。

ハッピーエンドでいいと思うんですけど、それはバッドエンドとは言いたくないという節があるから、というか。ラストは「エンド」ではないという気持ちもあって。もちろん作品としてはここからここまででエンドロールが流れておしまい、ではあるんですけど。ここから続いていくぞというような未来の匂いがするというか、希望の匂いがちゃんとするので。そういう意味では、ハッピーエンドと言ってもいいかもしれないんですけど……。

――仁的にはどうでしょうか?

稲葉:それこそ仁的には最悪ではないですよね。愛する人を守れたし、気持ちを伝えられたし、ひとつになれたというところとか……。

稲葉友の「生きる力」になっているものとは……?


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――この作品は「生きる力を取り戻してもらいたい」という願いもある作品だと思うのですが、稲葉さんの生きる力はどんなところから沸きますか?

稲葉:わかんないですね……!

面白い演劇を観ると元気になります。……仕事じゃねぇかっていう(笑)。演劇も映画もドラマも好きだし、音楽も観に行くしいっぱい聴くし、お笑いもテレビも配信もラジオも大好きなんですけど、中でも「面白かった~!」と垣根なく言える演劇を観た後ってすごく元気だし、めちゃめちゃ生きていこうって思う。

内容がハッピーなものでも重くなるものでも「面白かった」とピュアに思えたら「まだやっててもいいかな、ピュアに続けられるかな」と思えるというか。

――最近観た演劇で「面白かった!」というものはありますか?

稲葉:「もはやしずか」という加藤拓也さんという同世代の演出家の方がやられた作品です、主演されてた橋本淳くんと黒木華ちゃんという昔から知っている二人が出ていて。もともと二人が出てるから行こうと思っていたんですが、二人とも連絡をくれて「この二人がわざわざ『来る?』って聞くっていうことは面白いんだろうな」と思って、実際観たら抜群に面白くて。ご時世で面会もできないから、終わってすぐ二人に「めちゃめちゃよかったです、あれがよくてこれが素敵で……」とバーッと送って「早く帰ろう!」「早く帰ってビール飲もう!」と元気になって帰りました(笑)。生きる力がわくのは、そんな作品に出会えたときですね。
 

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(撮影=渡会春加/取材・文=ぐみ)

 

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